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17 隣国アーロッシ帝国侵略2

初投稿です。誤字・脱字等ご指摘いただけると幸いです。

とりあえず、最後まで書き終えました。煮詰めつつ投稿する予定です。

【隣国アーロッシ帝国侵略2】転移6年6月


 王子はリョータたちと合流すると、早速作戦を実行し始めた。

 オペレーションモフモフの開始である。


 まず、進軍している上空に体長50mのドラゴンをとばす。

 ドラゴンは飛ぶだけで空が黒くなり、突風が吹き荒れ、雷雨が降り注ぐ。

 全力で吠えてもらうと、大変なことになるから軽く吠えてもらう。


『おおっ、神がお怒りだ!』


 信心深くなくても、恐れおののく兵士が続出した。

 中には、地面にひれ伏して動かない兵士も少なくなかった。


『ひっひっひ』


 夜になれば、不気味な笑い声や泣き声で兵士を寝かさない。

 昼には、霧を立ち込めらせ、幻影を見させる。


『オレたち、祟られてるんじゃないのか』


 これは、ウニャ丸による幻覚魔法である。

 敵の軍隊には、当然、結界が張られている。

 しかし、ウニャ丸の幻覚魔法にとってはその程度の結界は児戯に等しかった。



 リョータたちは作戦上にある村から食料をもって村人を避難させた。

 置いてある食料は全て下剤入である。

 後日、手当をする約束をして。


 井戸にも下剤。

 これも後日、毒消しをする約束をして実行した。


 そして、まず兵站部隊を襲う。

 とはいうものの、夜間に忍び込んで食料・水を奪うだけである。

 それらは途上にある村々の補填にあてることになった。


 また、馬は早々に森に逃し、後日回収した。

 馬は当時の高級な財産である。


『おい、食いもんがなくなってるぞ』

『水もすっからかんだ』

『すまん、腹の調子が……』

『馬はどこへ行った?』


 現場は大混乱をきたしていた。

 敵兵たちは三々五々と部隊から逃げ出し始めた。


 進軍速度は限りなく遅くなり、腹をすかせ、喉を乾かせ、ようやくたどり着いた村で食料を調達し、井戸から水を飲んで一息つこうとするものの、すぐに地獄に襲われる。



『エラーノにたどり着けば、食い放題・飲み放題だぞ』


 指揮官が奮い立たせるが、兵站部隊が襲われた時点で既に無理筋だった。

 そもそもエラーノ攻略に何日かかると思っているのか。


 兵士たちの離脱速度が急速に速まった。

 20万人いた兵士は既に10万人を切るまでになった。



 さて、あと少しでエラーノに辿り着こうとした敵軍。

 腹をすかせ、何やら臭いニオイをあたりに撒き散らしてはいたが、

 それでも10万人近い大軍団である。


 対するは2万人いるかどうかのエラーノ守備兵。


 ここで、ウィリアム・ビッグスクーター機甲軍団。

 後方を確認後、ジェットに火をつけた。


『キィィィーン!』


 爆音と共にエンジンが点火した。

 50台ものエアジェットの爆音は凄まじい。

 周りのものは恐れおののいた。


 大きめのスクリーンカウルに顔を伏せると、

 そのまま、10万人の大部隊に突入した。



『敵襲!』


 敵は精神的にすり減っていた。

 そこへ聞いたことのないような爆音。

 殆どが戦意を喪失しかけていた。


 中には気のしっかりしたものもいる。

 しかし、矢や魔法はバイクに掛けられた防御・結界魔法に弾かれた。

 その前に、バイクにあてることができなかった。速すぎて。

 突然の奇っ怪な車馬の出現に、隊列が乱れ、まともに攻撃ができない。


 ウィリアム王子は大軍団を前にして、術をかけているようなふりをする。


『いでよ、異形の物たち』



 無論、リョータを始めとするモフモフ軍団の助けがある。

 指揮官を狙い撃ちにして、地獄幻覚ツアーに招待したのだ。


 白い霧があたりに立ち込める。

 モフモフたちは一斉に幻覚魔法を発動する。

 範囲が広いので、多くの術者を必要としたからだ。


『ぎゃああああああ』


 突如と始まる、指揮官達の叫び。

 目は赤く充血し血の涙を流しはじめ、髪の毛はみるみる白くなっていく……



 異様な状況にさらされてきた帝国兵たちは、発狂したとしか思えない指揮官を目の当たりにして激しく動揺した。


 白い霧の中では、なにやら異形の者たちが多数(うごめ)いている。


 上空でいきなり(とどろ)く爆音と地響き。

 今までに見たことのない規模で核激魔法が炸裂した。何発も。


 急に辺りが暗くなったと思ったら巨大なドラゴンが空を飛んでいる。

 ドラゴンが吠えるたびに地面が大きく揺れる。


 いつの間にか、指揮官は地面に埋まっているではないか。

 なおも発狂しながら。



『『『『『オレは逃げるぞ!』』』』』

『敵前逃亡は縛り首だぞ!』

『死にたければここに残れよ』

『『『『『オレを置いてくなー!』』』』』


 帝国軍団は錯乱状態で一気に潰走を始めた。

 ここにとどまってはいけない。

 オレたちは神の怒りに触れたんだ。

 すぐに帝国に帰らなければ。


 撤退ルートには食料も飲料水もない。

 馬もいなくなってしまった。


 死ぬ思いで国境を越える。

 やっと一息つける。


 しかし、国境近くの村々にも食料・水ともになく、

 あっても下剤が混ぜられていた。


 しかも、国境を越えたあたりの森で兵士たちには道を失する魔法がかけられ、森をさまよい歩かざるを得なかった。



 戦闘による死者はほとんどいなかった。

 しかし、気が狂ったものは続出した。


 特に、指揮官クラスは壊滅した。

 彼等は地面に埋められた後、王国の捕虜となった。


 指揮官クラスは有力な貴族であり、領主である。

 人質と交換するのは、多額の金銭。しかも、彼等は既に心が壊れていた。

 戦死したほうがましだった。


 多くの領地で大黒柱が失われ、金銭的な打撃も重くのしかかった。

 帝国南部地域は立て直すのに、その後10年以上をかける必要があった。

 お家取り潰しになったところも少なくなかった。


 アーロッシ帝国の野望は、一方的な敗戦を被ることになった。

 兵士たちは気づいていた。帝国は間違った戦いをしたと。


『神の怒りに触れた罰だ』


 南部は帝国への不信が増大した状態で年月を過ごすことになる。



 株をあげたのは、ウィリアム王子である。

 王国の誰もが敗戦を覚悟していた。


 王子はエラーノ陣営の中で勇敢にも手をあげ、20万人にも及ぶ大軍団に僅かな手勢で立ち向かい、その知略と魔法力をもって一方的な勝利をつかんだ。


『僅か50騎で20万人を打ち破った』

『エラーノの奇跡だ』

『ウィリアム王子の功績だ』


 まさしく、エラーノの奇跡と讃えられる戦いが終わったのである。

 これを機に、王子の名声が爆上がりしたのはいうまでもない。



 勿論、ラヂオがその動きの一翼を担ったのは言うまでもない。

 ラヂオはなんと“現場実況”を敢行したのだ。

 王国中のそして帝国南部の一部に配られているラヂオの前には、

 空前絶後の人が集まった。


“現場実況”では多くの場合、事実を実況する。

 しかし、シナリオに基づいた“実況”もはさまれた。


 この放送により、架空の人物の英雄ができあがり、

 彼の死によって涙が誘われた。


 また、ある場面では戦場での儚い恋を“実況”し、

 やはり、多くの聴者の涙を誘った。


 この戦争で優秀なシナリオ作家・放送作家が何人も登場するのである。



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