01 虹の彼方へ
初投稿です。未熟者ですので、誤字・脱字等ご指摘いただけると幸いです。
【虹の彼方へ】
目が覚めた。
しかし、まだ夢うつつで現実と夢の区別がついていない。
ボーとしているし、天井もなんだか変に感じる。
お腹の上に軽く重みを感じる。
手をのばすといつものモフモフが……
いつもの？
いやまて、オレさっきまでテーブルでぼんやりしてなかったっけ。遺影の前で。
遺影？
急に頭が冴えてくる。
そうだ、ウニャ丸ーオレの愛猫は死んだんだ。
おれはウニャ丸の葬式をしてたはずだ。
じゃあ、このモフモフは？
てか、この部屋の景色おかしいぞ。
床も芝生のような感触だ。
オレはお腹の上のものを丁寧に抱え込みながら、上半身を起こした。
『にゃー』
おお、やっぱりウニャ丸じゃないか。生き返ったのか……？
オレはウルウルしながら猫を抱きしめた。
ウニャ丸はザリザリとオレの頬をなめる。痛い。現実？
あれ、なんだかウニャ丸、
やけに体重が軽いな。
それにやけに小さいな。
黒猫のせいもあり暗がりではっきり見えなかったのだが、
目がなれるにつれ猫の全体像が顕になる。
確かにウニャ丸は小さくなっていた。
学生のときに拾ってきた猫だ。
もう１０歳ぐらいにはなっている。
元々ウニャ丸は猫としては小柄だが、それでも３kgはあったはず。
それが今は生後４ヶ月ぐらいの子猫にしか見えなかった。
とりあえず猫を抱えたまま、出口とおぼしき場所から外に出てみる。
今まで適温だったせいで気づかなかったが、外はちょっと冷える感じだ。
今月は９月だ。
盛夏は過ぎたが、それでも残暑は残っているはずなんだが。
そう言えば、オレはＴシャツ半パンで過ごしてたよな。
今は普通に長袖長ズボンを着用している。
数歩歩いて遠くを眺めてみた。
周りは草原。１００ｍほど向こうからは森林。
ところどころピンクの花が咲いている。
桜か？ 季節外れの？
オレはぐるりと回りを見渡してぎょっとした。
そこにあるのは直径が１０ｍ程度、高さの見当のつかない超大木だった。
混乱しながら、視界の右上方でチカチカしているマークに注意を払う。
どう見ても【MENU】だ。
すると白く光り、メニューのステータス画面が目の前に浮かび上がってきた。
■ステイタス
名前 リョウタ・ミコハラ
年齢 １９歳
性別 Ｍ
出身 異世界・日本
種族 ハイ・ヒューマン
特記
HP ３４２
MP ０
○筋力 ７７(一般男性４０)
○体力 ６７(一般男性４０)
○速度 ６８(一般男性４０)
○知力 ９８(一般男性４０)
○精神 ５０(一般男性３０)
○意思 １３０(一般男性４０)
○物理基礎力 ８６
○魔法基礎力 ０
これは夢か。現実か。【MENU】って。
これ、あれじゃないか。
『ウニャ丸といっしょに虹の橋を渡っちまったてのか？ 異世界転生？』
でもちょっと考えてみた。
オレは生きてるし、体の異常もない。
ウニャ丸も元気で子猫に戻ってずっと可愛くなった。
もともと可愛いやつだったが。
虹の橋渡ったとしても、まあいっか。
いやいや、『まあいっか』じゃねえよ。
混乱してんじゃねーぞ。
１９歳ってなんだよ。オレは２９歳だぞ。
１０歳も若返ったのか？
体を確認してみる。
１９歳ってのはオレ史上最も体力が充実していたときだ。
確かに少し出てた腹もシックスパックになっている。
グダグダしてた結果たるんだ心身に、力が注入されていくような気がする。
少しだけ気分がよくなってきた。
それにしても、出身が異世界・日本ってのは笑えるな。
しかしハイヒューマンってなんだ。
魔法基礎力とあるから、魔法のある世界か。
MPがゼロだからオレは魔法を使えないのか。
虹の橋に異世界転生したんだったら、魔法は使いたいぞ。
いや、使わせてくれ。そこ、一番大事なところだろ。
しばらくは６時と１８時頃に投稿します
面白いと思った方、ブックマーク、ポイントを宜しくお願いします。
