◆008配信準備 地球編1
たくさんのブクマや評価ありがとうございます。
ニマニマしながらランキングを探すのが日課になっております。
それでは本話もお楽しみください。
何かよく分からない順番付からさらに一週間が経過した。
おれは今、新居の整備をしている。
「あ、パソコンはそっち。電気関係は任せる」
「了解っす」
「クリス、そっち持ってて」
「その道具、面白い」
「ああ、電動ドライバーね。動かさないようにしてて」
きゅいーん、と高めのモーター音が鳴り響き、組み立て家具を作っていく。大悟が契約したアパートの引き渡しをしたのだ。ちなみに大悟の両親を説得するにあたって、一番頑張ってくれたのは環ちゃんだ。
おれとクリスの拠点になると聞いて、一肌脱いでくれたのだ。
「お兄ちゃん、好きな人ができたんだって。三次元に」
環ちゃんがお母さんにそう告げただけで、大悟が二次元にしか興味がないことを心配していたお母さんは狂喜乱舞し、即座に一人暮らしを許可されたらしい。
普通なら不純異性交遊を心配してもいいところだと思うんだけど、まぁ絶食系の二次元ヲタクだものね。犯罪に走ることより、モニターに頭突っ込んで感電死することを心配されてたもんね。
ちなみに犯罪対策と銘打って環ちゃんが合鍵を預かるところまで合意済みとのことだった。
計画性が高すぎて環ちゃんが怖い。
そんなわけでレンタルルームからおれの荷物を引っ張ってきて、現在はちゃっちゃか整理を進めているというわけだ。
ちなみに環ちゃんはおれとクリスの洋服やら下着やら買いに行ってくれている。財源はもちろん大悟だ。
いらないって言ったんだけど、
「形崩れたら治らないんですよ!? 絶対に要ります!」
とのことで、おっぱいのサイズを測られた。
年下の女の子にぱんつ一枚まで剥かれて、おっぱいのサイズを測られたのだ。
ブラジャーを買うために。
おれは、おとこのそんげんを、うしなった。
とりあえずブラジャーはできるだけ付けない方向でいこう。これ以上おれの男としての性意識が削られるのは不味い気がする。
あ、精神年齢的なのを考慮した結果なのか、環ちゃんはおれに敬語で接するようになりました。
嫌われたくないし、とかいじらしいことを言っていてちょっと悶えた。
ついでにクリスも測ったのだが、Bカップでした。多分だけど向こうの世界は栄養状態がいまいちなのと、勇者として激しい戦闘を繰り返したせいでカロリー消費が多かったんだろうね。
本人曰く15歳だとのことだし、今は定期的に刺激を与えてあげているしそれなりにバランスを考えた食事を取っているからきっとこれから育つだろう。もう少し年上かと思ったけど、大人っぽく見えただけらしい。
ちなみに現在はスマホでやるゲームに夢中で、基本的には静かに過ごしている。ベッドの上では可愛い悲鳴をあげるけどね。
大悟が借りてくれた部屋はカップル、もしくは若い夫婦向けの物件と言うことで割と広い。軽量鉄骨の3LDKだ。
玄関を上がって右手側にトイレ、洗面所付きのお風呂と続いて大悟用の部屋が一つ。突き当りにキッチン付きのリビングダイニングがあって、左手側は寝室と、配信用の部屋、と言った感じの作りであった。築年数は結構なものだけど、リノベーションをしてくれているので床も壁もきれいなものだ。
そして何より気に入ったのは、キッチンがカウンターになっていることであった。
料理系の配信をやるなら絶対必須だよね。
いや、おれ料理とかしたことないしまだやるとは決めてないんだけど。
「とりあえずこれで良いか」
寝室にはキングサイズのベッドが一つ。マットレスはイチトリの奴で、圧縮してあったからギリギリ玄関から入ったけど、出すときには絶対引っかかるよねコレ。
ベッドボードは左右に間接照明がついた大きなものにしたのですっごくいい雰囲気だ。夜とかね。
次いで配信用の部屋。隅には大きめのデスクがあって、おれのアパートから持ってきたパソコンが鎮座している。ゲーミングチェアも買ったんだけど、おれの身長が足りないからって子供用のイスも用意された。
解せぬ。
部屋の片側は何もないスペースを作っておいて、配信の時に背景として活用する予定である。
トイレと風呂場の整備は環ちゃんに任せることとした。
リビングダイニングには四人掛けのテーブルと、L字のソファ。テレビも買う予定だったんだけど、これからの家賃のことを考えて断念した。
「というわけで、ちょっと始めてみようか」
まずはパソコンを起動して、プイッターにログインする。
そしてスマホで撮影したおれの写メ、クリスの写メをアップする。検索用に付けたタグは『異世界』『コスプレ』『女剣士』『女勇者』『ロリ』である。
クリスはプイッターの仕組みをよく分かってないようだったけれど、
「クリスとかおれの姿を見せることでお金を手に入れる。姿絵だったり、ちょっとした活動をしているところだったりを見せると、きっとお金が手に入る」
「……勇者のときと同じか。構わない」
なんか誤解してるみたいだったけど許可は降りたので問題ない。
兵士たちの士気高揚のために演説したり、先陣を切ることもあったらしいので基本的にどんなことにも動じないクリスだ。一応アップ画像は毎回クリスの許可を取ってからにするし、神経質になりすぎることもないだろう。
「次はチックタックか」
「例の激しい踊りか」
大悟を呼んできて、ショート動画の投稿サイトであるチックタック用にダンスの動画を撮る。
といっても20秒くらいのもので、人気ドラマの主題歌のサビのところだけなので簡単な作業である。サキュバスボディは絶対前世のおれよりスペック高い。
ちなみにクリスは初見で完コピだった。
「幻魔族の魔法連射を撃ち返すよりずっと楽」
たとえは分からないけれど、ダンスだったら相当難しいものでも大丈夫そうだ。
それらをチャチャッとアップし、あとはしばらく放置するだけ。
だったはずなのだが。
「……先輩。スマホ、鳴りっぱなしっすよ?」
「でんわ? タマキからか?」
違うんだよクリス。これは電話のコールじゃなくてプイッターの通知音なんだよ。
スマホの通知をオフにしてパソコンで様子を見ると、おれとクリスのツーショット画像を載せたプイートに「良き!」が付いていた。
見ている傍から数字は少しずつ伸びていき、みるみる間に50を超えた。中にはリプイートで拡散してくれる人や、「かわいい」「みたことない。国外からかな?」などのコメント付きのものもあった。
とりあえず近日配信用のチャンネルを開設する旨だけさらにプイートして通知を切った。
「これ、結構伸びそう?」
「どうっすかね。コスプレ界隈は狭いようで広いっすから」
とりあえず滑り出しは順調、といったところだろうか。
わくわくしながらも初回配信の内容を考えるのであった。
ストックが切れるまでは毎日最低一話ずつ更新します!
更新無かったら予約ミスってんなコイツ、くらいの生温かい目で見てやってください。
ブクマや評価等を頂けますと作者のモチベーションが超絶上がりますので、ぜひともお願いします。
それでは次回もお楽しみに!