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◆013【第一回配信】前編

たくさんの方に読んでいただき、評価やブクマもいただくことができました。

本当にありがとうございます。

非常に嬉しいので本日は09:00と18:00の二回更新します。


【本日1回目】の更新ですので、お間違えのないようお気を付けください。

「おっはにちばんわ! 新人サキュバスの宗谷天音(そうやあまね)です!」

「元勇者のクリスです」

「はーい。というわけで、これから2人で配信をしていこうと思います」

「よろしく」


 ルルの目の前にはかめらが設置してあります。このかめらをあまね様に向けていれば、たくさんの人があまね様を見ることができるようになるようです。異世界、と言っていましたが、この世界は不思議なことがたくさんあって難しいです。

 早くあまね様の役に立てるような人間になりたいです。


「さて、まずは簡単に自己紹介を!」


 あまね様がふわりと浮きました。

 サキュバスと聞いてすっごくびっくりしましたが、むかーしパパに聞いた魔族とは全然違っていました。怖くもないし、偉そうでもない。

 そして何より、見惚れてしまいそうなほどにきれいでドキドキします。

 ルルを買ってもらった日だって……あう、やめるです。

 あまね様は背中からお尻の辺りを天井に向けるようにしてふんわり浮きながら、アメジストのような瞳で私を見つめてくれました。

 違いました、たぶんかめらを見てるですね。


「おれは、新人サキュバスです! 生まれてからまだ一か月経ってません!」


 ここでくるんと一回転。

 月光みたいな銀髪から見える巻き角。

 背中から覗くこうもりみたいな形のちっちゃな翼。

 先っぽがハートみたいな形になっている小っちゃくて細い尻尾。


「見ての通り、背中の翼で飛ぶことができます。なんてったってサキュバスですからね! それと、角と尻尾が種族の特徴です!」


 ふわふわしたまま簡単にお辞儀をする。魔族は乱暴で凶暴で凶悪って聞いていたけれど、あまね様はすっごく優しくて本当に魔族なのか分からなくなります。

 あ、でもあの尻尾は悪い子です。するっとルルの服の中に入ってきて、色んな所をこしょこしょしたりするのです。

 あまね様の意思とは関係なく動くみたいなので、あまね様は悪くありませんが、いたずらっ子なのです。

 

「魔族軍にスカウトされてたんだけど、ちょっと嫌だったから就職見送って日本で配信者やることにしました。よろしくお願いします。次は、クリスだね」


 あまね様の自己紹介が終わると、次はクリス様です。クリス様はすごく静かで、でもいっつもパリッとしたカッコいい人です。騎士様なのかと思ったら、元々は勇者様だったって聞きました。

 それも、あのゼリエール聖教国の認定勇者様です!

 勇者様と言えば、魔族をやっつけるために戦ってる偉い人のはずなんですが、クリス様は魔族のあまね様と一緒にいます。

 一度、そのことを訊ねたら、「魔族とか人間とかじゃない。あまねはあまねなの」と、頭を撫でてくれました。普段はあんまり表情が変わらないクリス様ですが、あまね様の話をするときにはなんとなく、ふんわり柔らかくなるような気がします。


「クリスティナだ。故あって家名は捨てた。元勇者である。よしなに」

「はい。なんとクリスは、ちょっと前まで現役で勇者をやっていたのです!」

「今はこの撮影すたじおにて住み込みで警備を任されている。勇者より良い職だ」


 ドレスアーマーに身を包んだクリス様がそう言い切る姿はすっごく恰好が良いのですが、あまね様は何故かクリス様を見ながら笑っています。

 ルルは知っています。

 あの笑みは、ルルの耳をはむっとしたり尻尾でルルをこしょこしょしたときにする笑顔なのです。


「さて、それではこれからマシュマロを公開します。私とクリスがどうして配信者になったのかを話しながら、マシュマロの質問を待とうと思います」


 ましゅまろ、というのは白くてふわふわした食べ物です。この間タマキ様に食べさせてもらいました。でも、あまね様によるとマシュマロはあまね様に色んな人が質問をできるようにしてくれるものみたいです。

 この世界の食べ物には色んな効果がついていて不思議です。


「そうですねー、どこから話しましょうか。まずは私とクリスとの出会いですかね?」


 クリス様は寡黙な方なので基本的には聞き役です。


「実はおれ、生まれたてほやほやのときに山賊に襲われそうになってたんですよ」

「山賊じゃなくて連合軍側の逃亡兵」

「あ、そうそう。それで、あわや大惨事! ってなる直前にクリスが助けてくれたんです。クリスも勇者として戦争に参加して怪我してたのに、ちょちょいのちょいだったんですよ。ね、クリス?」

「腐っても勇者だから。いくら怪我してても戦場の端っこから逃げ出す雑兵よりは強い」

「でも、クリスはそこでおれがサキュバスだって気づいちゃったんですよね」


 ここであまね様のこーはい?のダイゴ様が真っ白で大きな紙を持ち上げてアピールしました。かめらには映らない位置です。


「おお、ここでマシュマロ第一弾! 二人のプロフィールをもっと詳細に知りたい、とのことです。質問ありがとうございますー」


 あまね様はぺこりとかめらに頭をさげる。


「えーと、さっき言った通り、おれはサキュバスとして生まれてまだ一か月以下です。正確には、15日くらい? あ、生まれた時からこの体形でしたよー」


 指折り数えながら言うと、


「ざっくりですが、身長は150cmくらいで、体重は39kgです。あと――」


 ここでまた、あの笑顔を浮かべるとことばを区切りました。どきっとするほど綺麗な笑顔です。


「この配信は健全な配信なので何がとは言えませんが、Aではないです」


 胸に手を当ててふふん、と宣言しました。


「次私? 年齢は16」

「クリスの住んでた国は数え年なので、日本換算で15歳ですね」

「身長は64エルテで、体重は44きろぐらむ? っていうんだっけ」

「えっと、160cmよりちょっと大きいくらいかな? おれが柱に印付けて測ったかぎりだと148cmなので、比べてみてください。体重は昨日、お風呂のあと日本の体重計で測りました」


 言いながら、クリス様とあまね様は並んで立ちます。

 吟遊詩人が謳うお姫様と騎士の物語のようで、思わず見惚れてしまいます。お二人は恋人なのかと思って訊ねたことがあったのですが、あまね様はにっこにこしながら黙っていて、クリス様はそんなあまね様を睨んでいたので結局分からないままです。

 でも時々あまね様は寝るときにルルのことを呼んでくれます。ふわふわのベッドでぎゅっとされながら眠るのは弟たちが生まれるよりも前にパパとママにしてもらったのが最後だったので、とっても嬉しいです。

 あまね様の尻尾が悪い子でなかなか寝付けませんが、不思議な夢を見た後、気付くと朝になっているのできっとぐっすり眠れているのです。

 今日はベッドに呼んでもらえるでしょうか。

4/10

ひょうか、ひょうか、ブクマもほしい

たくさんもらえて れんぞくこうし

うれしっ です


4/11

ひょうか

ぶく


※次回は本日(4/11Sun.)18:00更新です。お楽しみに!

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― 新着の感想 ―
[一言] ここは健全な場だから悪いしっぽにはおしおきしなきゃ……
[一言] 4/11 晴れ ブクマ オス ヒョウカ ズミ ゴゴコウシン タノシミ コンゴトモヒトツヨロシク
[良い点] 面白い作品だ、気に入った この作品を評価するのは完結後にしてやろう
感想一覧
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