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閑話(前) 異世界にいこう?

「閑話前って何!?」

「閑話の前編ってことじゃない?」

「前後編なの!?」

「です! まえと、うしろ、です!」

「何落ち込んどーと?」

「おれ、もう一回前書きと後書き頑張るのか……」

「いつも通りですよ、いつも通り」

「まだ2部の前後書きの移植も終わってないのに!?」

「ほ、ほら! 作者も色々忙しいし!」

「あまねおねえさま随分作者の肩持ちますのね?」

「あまねさん……何か取引しましたね?」

「」ビクッ

「なるほど、次の新キャラについてですか」

「ち、違うし!」

「それじゃあ新しい方が入ってもお味見しないってことですね?」

「そんなこと言ってないし! それは別問題だし!」

「クリスさん」

「有罪」

「エッ!?」

※閑話では新キャラ出ません

「配信? 異世界で?」

「ですです。動画コンテンツって概念がない世界なので、信者獲得と信仰心アップにはすっごく効果高いと思うんですよ」

「……そんなに信者獲得って重要?」

「重要ですよ! だってあまねさんが、その、マジっぷぷっ、マジカルあまねになったときのパワーに直結しますし」

「今笑ったろ!? 絶対に思ってないよね!?」


 配信活動休止中。

 暇なのもあって皆でゲームしたり、デートしたり、口では言えないアレコレをしたりされたりしている八月の終わり。まったりコーヒーブレイクを楽しんでいるときに環ちゃんが異世界での配信を提案してきた。

 ちなみに今いるメンバーはおれとクリス、環ちゃんとアルマの四人だけ。

 柚希ちゃんはラナさんが結婚式で着る服を選ぶとかで、正樹さんとともにブライダル系のお店へと足を運んでいる。


「お兄な、ラナさんのことになると頭悪うなるけん」


 辛辣ながらも頷きたくなる理由だ。

 いやだってこないだだってバカップルでさえ真っ青になるようなイチャイチャを見せつけに来てたし。


「ラナば可愛かけん、自慢したか。ばってん、知らん人にジロジロ見られるんはちかっぱ(ぜったい)嫌やけん」

「もう、まぁくんったら。はい、あーん」

「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんっ!!!」


 お茶請けに出したロールケーキでイチャイチャするのやめてもらって良いですかね?

 というかイチャイチャを見せつけにくるのやめてよ! 大悟だってそんなことしないぞ!?

 いやまぁ大悟の場合はおれたちの前でイチャイチャしたら環ちゃんが怖いからってのもありそうだけども。ちなみにこないだは縁日で浴衣デートしておりました。

 三時から五時とかメチャクチャ健全なデートだったけど二人でりんご飴を買ってのツーショットを撮ったとのことなので、画像が手に入り次第すぐに環ちゃんへと転送する予定だ。

 リア充死すべし、慈悲はない!

 どいつもこいつもイチャイチャしやがって!


 ルルちゃんは悪い顔をした土御門さんに、「交渉の席での虚偽を見抜いて欲しい」とのことで時給200万で雇われていた。

 何その頭が悪い時給設定。

 思わず絶句してしまったけれど、土御門さん曰く、「精査系の術式は妨害される可能性が高いので、術式なし(素のまま)で真偽の判断ができるのは相当貴重」とのことだった。


「おかね、です! おいしいごはん、です!」


 ふんすと意気軒高(げんきいっぱい)な様子だったので、葵ちゃんに護衛をお願いして送り出すことにした。成果披露会の一件で宝くじみたいな金額の報酬をもらっているので必要ないんだけども、ルルちゃんがやる気満々なのに水を差すのも、という感じだしね。

 頼んでいないけれどもリアもそれにくっついてくことになって、今はきっと三人そろって土御門さんのところにいるはずだ。


「配信かぁ……クリスはどう思う?」

「強くなるのは良いことだ」


 どうやらクリスも賛成らしく、ロールケーキをもぐもぐしながらも頷いていた。口の端に生クリームがついていたのでそれを舐めとってあげる。

 気のせいかもしれないけれど、おれが食べていたロールケーキよりも甘く感じる。

 うむ、甘露甘露!


「んっ……ありがと」

「あーっ!? ズルいです! 私も! 私もぜひ!」


 環ちゃんがスプーンで生クリームを掬って自らの唇につける。

 あーうん、そうなるよね……。そうなるけど改めてやってって言われるとなぁ。環ちゃん、頭良いはずなんだけどなぁ。


「先っちょだけ! 先っちょだけで良いから!」

「その発言がアウトだから」

「環様。あまねお嬢様の手を煩わせずとも私がガンコな汚れもゴッソリ系の清掃装備Ⅲ型で」

「ちょっと待って! 私は汚れを取りたいんじゃなくて――」

「はいはい」


 後ろに控えていたアルマが腕をシャキっと謎のモップみたいなものに変形させていたので、急いで環ちゃんの方に飛んで、そのままぺろっと舐めとってあげる。というかそのまま高速振動する姿はホラーなので本当にやめて欲しい。


「あ、あまねお嬢様!? アルマめは汚れを落とすことすらできない無能だとお思いですか!?」

「いや、そんなことはないけど」

「汚れを! 何か汚れをください! もう原子そのものを崩壊させてあらゆる汚れをなかったことにしますので!」


 とりあえず生クリームの跡がうっすら残るお皿とスプーンを渡しておいた。

 原子を崩壊させるって何か色々まずくないか? いや、分かんないけどさ。とにかくアルマ(ぽんこつ)が静かになったので話を戻そう。


「異世界配信かー。何を配信するの?」

「そりゃもう女の子同士の良さを啓蒙すべくキャッキャウフフな――」

「却下ァ!」


 おれの配信は健全なの! 異世界でもコンプライアンスは変わりません!

 環ちゃんも本気ではなかったのか、ですよねー、と笑いながら次の案を提示してきた。


「教義を説いたり、物語を朗読したりとかはどうですかね?」

「うーん……それって面白いかな?」

「配信って概念そのものがないんですから、バッチリですよ! それに物語の朗読も内容を選べばモラル向上とかを狙えますし」


 確かに、イソップ物語とかは寓話として有名だし、あまね真教国のモラルが向上するのは願ったり叶ったりである。

 降臨祭で王都周辺の治安はかなり上向きになっている。

 とはいっても政変後はやはりゴタゴタが多いらしくて小さな問題はたくさん起こっているとのことだ。

 福音(エヴァンジェル)騎士団(オーダー)の中でまともだった人間を中心に聖翼騎士団(あまねオーダー)なる組織が再編され治安維持に当たらせているものの、ちょっとした泥棒やらケンカでの出動が絶えずにかなり疲弊していると聞いた。

 リアと葵ちゃんが指導した、とのことなので戦力的にはかなり安心だろう。

 ちなみにリアルタイムで情報を持っているのは、アルマが向こうに改造マイクを置いたからだ。

 アルマに直接つながるように改造され、バッテリーの持続が約2年と化け物みたいな時間に改造されたマイクは、シンセロさん率いる首脳部の会議室に設置されている。

 『聖なるあまね像』の中に隠す形で。

 色々突っ込みたいことはあるけれど、まぁ今は割愛しておく。

 ともかくアルマの報告によると、かなりヘロヘロになっているのが現状らしい。どんなに精強な騎士であっても、睡眠時間が削られる程忙しくなると厳しいんだろうね。


「朝晩の訓練である『あまね様バンザイ走』も少しずつ記録が下がっております」

「ちょっと待って?! その訓練は何!?」

「『あまね様バンザイ』と叫びながら両手をあげたまま長距離を走り続ける訓練です。持久力と信仰心の向上を見込めます」

「無駄な訓練するのやめよう!? ヘロヘロなのは絶対にそれのせいでしょ!?」

「そんなことはありません。信仰が不足しているのです。その証拠に最初は三時間は走れていたのに、今では一時間程度で倒れる者が出てくる始末。不甲斐ない連中です」

「追い詰めるなよぉぉぉぉ!? 死んじゃうだろ!?」


 おれの絶叫にアルマはこてんと首を傾げる。


「この国の労働に準拠したつもりだったのですが」

「どこのブラック企業がお手本だよ!? 労働基準法どころかブラック経営者でもそこまでしないぞ!?」

「企業と言いますか……」


 アルマは少しだけ言い辛そうに視線を逸らしながらも、


「大悟様の働き方を真似したんですが」


 その言葉にクリスと環ちゃんの視線がおれへと集まる。


「ち、ちがう!」


 あれは大学に通いながらも動画編集とかして、その上で梓ちゃんとのデート時間を確保しようとする大悟自身が招いた結果だよ!? その上エロゲのプレイ時間も減らさない大悟が悪いんであっておれのせいじゃない!

 

「おれ自身は一度も指示とかしてないし!」

「そうです。あまねさんは悪くないです」


 おお、環ちゃんは分かってくれ――


「兄貴が過労死すればメンタル弱った梓ちゃんとワンチャンありますもんね!」

「違うよっ!? 何で故意に過労死させようとしてるみたいな言い方してるの!?」

「えっ、じゃあナチュラルにブラック思考なんですか?」


 何その二択?!

 どっちも最悪じゃん!


「あれは大悟の業と、梓ちゃんへの愛です! おれは無関係! 以上!」


 反論は認めません!

 生温かい視線を感じて居心地が悪いので、とりあえず話題を変える。


「とりあえず、異世界行くかぁ……みんなが揃ったら異世界行って、本格的に配信内容決めよう」

「じゃあ魔力の充填が必要ですね?」

「よし、行くか」

「ベッドメイクは済ませております」


 まって。

 なんで二人してやる気満々なの。

 というかアルマも良い笑顔でベッドの報告してるんじゃないよ!?


「み、皆が帰ってくるまで待とう!?」

「前菜です前菜。コース料理は順番に出てくるものですよ?」

「そうだな」


 それはおれが食べる側の場合でしょ!?


「あっ、待って! 尻尾はだめ!! だめー!!!」


 三人がかりでベッドまで引きずられて、バイキング形式で貪られました。

 ぐすん。

「後編……明日21時」

「クリス、もうちょっと丁寧に!」

「んー、充分伝わると思いますよ?」

「エッ」

「わかりやすかー。良か宣伝ばい」

「エッ」

「かんぺき、です! みならう、です!」

「ず、ズルいぞ!? なんかクリスだけ評価甘くなってる!」

「クリスおねえさま、最高ですわ……ところで今夜、あまねおねえさまをいただく順番についてですが――」

「こらぁ! 目的が読めたぞぉ!?」

「読めたっていうかリアお姉さまが語っただけですね。目的を読むって言うのは環さんみたいに――」

「葵ちゃんの心の中にしかいない環ちゃん像は聞いてませーん! それは妄想でーす!」



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