放火と強盗と脱税騒動
素敵な屋敷、その大きさと言ったら、1億5千万の借金男を助けたお嬢様のお屋敷レベルの大きさ、燻ればいくら金が出てくるか楽しみである、すでに日は落ちているが、月明かりも曇りで見えないが、しかし周囲はとても明るく、そして何より暖かかった、なぜならば
《ブァァァァァァァァァ》
すでに屋敷周辺には火が放たれ、屋敷周辺の芝生はどんどんと黒くなり屋敷に向かって火が走っている状況だ、流石は火炎魔法使い、見事な火加減で屋敷を燻っている、煙は屋敷を包み込んで白く綺麗であった屋敷を汚してく、そろそろケツに火のついた商人と息子が金を加えて出てくる筈だ、俺は屋敷裏の馬車の中、鼠に化けて荷台に隠れていた、変身スキルは人外にも化けられるが、動き方がわからずほぼ動けない、しかし潜伏するにはちょうどよかった
「はやくしろ!!、乗れ!」
「くっそ!、誰だ!こんなバカな真似した糞野郎!、明日も税金取らせてやろうぜ!」
小太りの爺とラビットにボコられたアホがまんまと馬車に乗り込んだ、息子の手には金貨がごっそり入った麻袋がある、しかも二つ、あれだけあれば借金返しても釣りが来るというもんだ
馬車がある程度進み人気のいない場所まで来ると俺は鼠の変身を解いて女の姿になり、そっと、そっと馬鹿息子の隣にある金貨袋に手を伸ばした
《チャリ!!》
無論中の金貨の音がなる、バット商人親子が振り向いた瞬間俺は馬車の荷台から飛び降りた、此処からが本番、俺の仕事である、此処から2kmほどの距離にある井戸まで移動、その井戸に袋を落として変身を解除すれば無事終了というわけだ、後はラビットがうまく逃げてくれる
「おい待て!!、この泥棒!」
「はぁ!、待てと言われて待つものですか!!」
俺はすぐさま森のなかに逃げ込むと、商人親子も馬車を降りて追跡してくる、麻袋は案外重く足手まといであった、しかし捨てるわけにもいかないので何とか逃げ惑う
「このアバズレ!!、どこに逃げやがった!」
おいおい、案外足が速いじゃねえかあの息子、森のなかをがさがさと逃げ惑い、井戸に向かって足を進める、
《バシュ!!》
俺の隣の木々に矢が刺さった、後ろの足音がやけに多い、恐らくだが警察か私兵を呼ばれたのであろう、いよいよまずくなってきた、、、
「リュウタ殿、森は燃やすといい臭がするです、どうするですか?」
俺の目の前にホムランが現れた、恐らく宿の放火から逃げてきたのであろう、ということは後ろの兵士を引き連れてきたのはこいつだ、、、まったくもって何というか
「燃やしてしまえ!、ついでに井戸まで行ったらお前も落ちろ!」
「では行きますよ~」
《ブォン!!》
ホムランが杖を振るうと恐ろしいほどの勢いで森が燃えていく、風向きの関係で見事敵の方へ煙が向かい、良い足止めになっている。
「ははははは!!、なかなかスリリングですねリュウタ殿!」
「ああ、スナッチ張りの大強盗だな、まったくもって背筋が凍る」
「言う割には楽しそうじゃないですか?」
「最高だね、帰ったら宴会だ!」
しばらく走ると井戸が見えてきた、森のなかにある古びた井戸に金を投げ込んだ
「どうだラビット!、受け取ったか?」
「よくやった!、二階級特進物だ!」
「今からホムランも落とすから!。そこ開けろ!」
「了解!」
こうしてホムランと金を落とせば後は姿を男に変えてここに居るだけでいい、簡単な仕事だ、すると兵士たちが俺の方へ走ってきた、弓に槍に重装備、商人の私兵であろう
「魔道士の女と少し背の大きい女性を見かけなかったか?」
「それならば先ほど右に曲がって行きました」
「あの糞野郎ども、森に火までかけやがって、、、見つからなかったら殺されちまう、ありがとね」
まあ彼らに盗まれた金を奪い返すもはもう無理な話だ、もう彼らは積んでいる、森のなかで捕まえられなかったのが運の尽きだ
「ラビット~、もう兵士いないし、さっさと税務署行っちゃおう」
「了解!」
かくして俺達は盗んだ金を税務署まで柄付きの別の袋に入れて持って行った、ついでにホムランは姿が割れているので井戸にお留守番である
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「は、はははははは、本気で盗みだしたのか!、はは、これは滑稽だ、はははは」
税務署まで行くと長官が大笑いした、金貨の数は170枚、彼の資産はほぼ全て銀行にあるためこれらは脱税金額と強制徴収の横流しの金であることはすぐに解った、強制徴収に金額は合計金貨4枚、俺達は金貨二枚を貰った後に金貨を綺麗な桐箱に移し替えてもらい税務署をでた
「では、お疲れ様でした長官殿」
「ああ、お疲れ様、強盗さん、ははは、最高だね君たち」
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その後、ホムランを回収して俺達の屋敷に入った、というか、、、、せっかく屋敷を購入したのにほぼ一日立ってから入るというはいかがなものか、しかし、ともあれ俺達は物凄い金額の金を手にしたわけだ
屋敷内は普通に綺麗であり、そんな物凄く大きいわけでもないが俺達では使い切れないほど大き勝った、すでに家具は置かれていたというか、、、マリサさんが置いてくれたのであろう、非常に綺麗な家具が置いてある
俺達は食堂と思われるところに行く、そこにある長テーブルに金貨の入った桐箱を乗せて少し大きすぎるテーブルの席に座ると3人共腹を抱えて笑った
「はははははははははは、最高だね、いや、まじで、ははは」
「そうですね、ふふ、まさかの金貨170枚、はは」
「最高です、いや、屋敷が燃える様は圧巻です、金貨も最高です、ははは」
その後は組合所行き宴会をすることにした、屋敷の掃除だったり、部屋の割り振りは後日行うことにしたのだ、俺達は金貨をボロい麻袋に入れると早速組合に向かった
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組合の中は相変わらずどんよりとした空気に溢れている、人は軽く40人もいるのに静かすぎて気持ち悪い、まったく酷いものである、まあ命がけで働いて、9割も金を盗られればこうもなるであろう、ラビットはニヤニヤしながら受付まで行くと、今回の宴会メニューを注文した
「えっと、ビールと牛肉のステーキお願い、あと私達の借金これで返済ね」
「金貨二枚、はい!、ぴったりです!、ところでお連れの方が居るようですが、ビールとステーキの数は?」
受付が数を聞くと、ラビットは金貨を10枚出して注文した
「ここに居るやつ全員にだ、釣りは私達以外のビールジョッキに均等に入れておいてくれ」
「うわお、太っ腹ですね~、了解しました!!、ビールとステーキ注文、全員分!!!、一人につきビールの中に銀貨225枚ぶち込んで!!!」
受付の子がそう言うと周囲の冒険者が一斉にラビットの方を向いた、その表情はまさに驚きの顔であった、そして銀貨入りのビールが各自に届けられるとラビットが大きな声で激励した
「野郎ども!!!!、私達三人のおごりじゃ!!!!、飲め!!!!、どうした、玉金ついてるなら何か言わねえか!!」
「サミ姐さん最高!!!、おめえら最高!、じゃあおごりで飲ませてもらいしょう!!!」
「「「「「「おおおおおおおおおおおおおお」」」」」
先程まで死人のようであった冒険者が急に活気づき始めた、まさに大宴会、その後俺達は酔いつぶれるまで酒を飲み、この日だけで金貨を40枚も使うという世にも恐ろしい金の使いかたで宴会を楽しんだのである
「ははは、最高だな相棒」
「ははは、最高だねサミ姉、やっぱこれはたまらない!」
「ふふふ、私の目に狂いは無かったです、このパーティーは最高に楽しいです!
「「違いない!!ははははは」」