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異世界大泥棒~異世界での泥棒生活~  作者: カミキリ怪盗
序章 【麒麟強奪と兎の仲間】
2/7

プロローグ後半~麒麟強奪作戦~

 星が空に散りばめられ、月は満月、星と月の光で昼と間違えるほど明るい夜のことである、俺は森のなかに潜み虎視眈々と機会を狙う、今宵この道を上級冒険者が通るのだ、索敵能力を今できる最大まで貼り、姿を適当な娘に変え、潜伏能力も出来る限りかけている


 森の外の道をガラガラと音を立てて7人ほどの冒険者が歩いてきた、金色の装備で大きな剣を持った奴だったり、緑色のマントの凄いよさ気な杖を持った魔道士、普通にやりあえば殺されることは間違えないであろう


「きゃああああああああ、助けて!!!誰か!!!」


 俺は少女の声で森のなかから多くな声を出した、案の定冒険者が2人ほど森のなかに入っていく、俺はその間に森に入った冒険者に化けて道に残った冒険者に近づいた、化けた冒険者の姿は青い髪の剣士風の男、かなりイケメンでありこの容姿ならモテるであろう、、妬ましいものだ


「おい、どうした?、森を見に行くんじゃなかったのか?」

「いいから!少し馬車に乗せてくれ、早く!」


 俺は不思議そうにする上級冒険者に何やら慌てた感じを装って馬車に乗り込む、周りはどうしたといった顔で俺のことを眺めている


「すまん!、少し馬車を移動させるぞ!、一刻を争うんだ!」

「あ、ああ、どうしたんだ?」


 俺は馬車を急いで進める、上級冒険者はぽかんと眺めている、無論この嘘も時間の問題、そう長くは持たないのは目に見えていた


「おい!!、アイツ偽物だ!!」


 後ろからガナリ声が聞こえてくる、予定よりも早くバレたようだ、、、しかしあちらとて魔法をぶっ放すことはできない、なぜならこの馬車の荷台には麒麟の素材があるからだ、つまり冒険者はスキルに物言わせて絶対に走って追っかけてくる


「拘束術式!泥沼!!」


 後ろから魔法名が聞こえてくる、すると馬の速力が急激に落ちた、、デバフか、、、まあそれでも馬に追いつけるほどあちらも早くはない、俺は蛍川に向かい全速前進した、


「いやっほ~、悔しかったらこっちまで来るんだな!!」

「まて!!!、この泥棒!」


 挑発して判断力を鈍らせ、戦意をそいで、そして全力で逃げる!、捕まれば俺の命はない、ミリオンダラーの大仕事、日本では味わえなかった緊張感である


 しばらくして蛍川の端が見える、ラビットは急いで乗り込んで煙幕を焚いた、そして急いで橋を渡るや否や即座に橋に火を掛けた、橋は勢い良く燃え上がり一瞬で渡れる状況ではなくなった


「よくやった相棒!、こいつはすげえ!」

「早く逃げるよ!、魔道士は恐らく浮遊魔法使えるしょ!」

「いいや、浮遊は使えない、、、なぜならあの煙幕は催涙効果がある、もし落ちたらと不安がある以上そうそう飛べはしないさ!、私達の勝ちだ!!!」


 ラビットは俺の顔を見るや大笑いした、変身は解除したというのに何でであろうか、、まさかにかついているのだろうか


「どうしたんですか?ラビット」

「あんたすごい笑顔だね、ははははは、楽しかったか?」

「、、、はい」


 正直すごく楽しかった、まるで自分が映画やアニメの怪盗になったかのようなあの感覚、心臓がどくどくと脈打ち、唇が乾き、背筋が凍るあの感覚、、、正直癖になりそうであった


「ははは、そいつは良かった、無事に荷物を売り捌けば宴会だ!」

「それは楽しみですね、はははは」



・ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 しばらくして街についた、その街はそう大きい物ではなかったが、それなりに人はいるようであった


「変装スキル使って顔を変えな、私もマスクするから」


 足がつかないように素顔を隠すらしい、しかしラビットがウサギマスクって、、、正直吹きそうになった、ラビットだけにってかと喉元まででかけた


 街の中を進み、古びた商店に入るとそこには背の低い爺さんが座っていた、店内には骨董品であろう食器や武器が木棚にずらりと並んでいる、爺さんは俺達を見るとゆらゆらと俺の方へ歩いてきた


「ほほう、その身なりは、盗品販売かのう、何を持ってきたんじゃ?」


 爺さんがそう言うとラビットはぐいっと身を乗り出して返答した


「麒麟だよ麒麟、最近上級冒険者が狩ったっていうあれ」

「ほほう!!、あれを盗んだとはやるのう!!、ははははは、それは楽しみじゃ、商品見せてみい」


 麒麟の皮や角、ウロコを見せると店主は布で擦ったり、光を当てて見たりとシッカリと査定する、その目は鋭く、さすがプロといった感じだ


「正真正銘本物じゃが、、、すこし数が少ないのう、解体に失敗したんじゃな」

「マジかよ爺さん!!、じゃあなに、安いの?」

「いや高い、うん、金貨90枚じゃ」


 ラビットが驚い表情で固まっている、俺にはこれが高いのか安いのか分からないがために物凄くドキドキする展開だ、、安かったらがっかりするな~


「喜べリュウタ、家が二件立つぞ」

「!?」


 衝撃の結果だった、まさかあの一夜で家に二軒分の報酬が手に入ったのだ、嬉しい事この上ない、もう胸がすくような気持ちであった


「ラビット、今日は少し美味しい物食べちゃおうか」

「なあに言ってんだ、あの街一番の酒を飲むに決まってんだろ馬鹿野郎!!」



☆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 俺達は最初の町に戻り、この街一番の食事処【ハインケル・プラコリア】と言う店に入った、そこは和風なお店でありとにかく高くとにかく旨いと有名な店であった、店内の大きな宴会席に二人で入ると早速座り込み大きなテーブいっぱいに料理を頼み、樽ごと酒を持ってこさせた


「じゃあ、強盗成功ということで乾杯!!」

「いえ~い」


 俺達はテーブルに並ぶ料理を次から次に平らげ、水のように酒を飲む、牛飲馬食とはこのことだ、ステーキに唐揚げに、カエル料理に魔獣の肉まで、有象無象の限りなくテーブルの上の物を平らげた


「いや~、美味しいね~」

「ああ、最高だな、ははははは」


 ここでラビットが麻袋から金貨をテーブルに並べて、金の使いかたについて話し合いをしようと持ちかけてきた


「どうするよこの大金、90枚だぜ~」

「まあう~ん、、、共同で家なんか買わない?、冬越しにはやはりあったほうがいいんでしょ?」

「そうだね、安めの家を購入して後は割り勘、ってところだね」


 そう言うと俺に金貨67枚渡してきた、明らかに取り分が多い


「家の購入はお前に任せた!、購入したら明日の夕方には組合に来いよ!」

「うん」


 別にここで盗んでもいいのだが、何というかそういう気分にはならない、というのもこれで一生生活はできないわで、彼女とともに今後も仕事をしていく必要があるからである。


「じゃあ明日の朝に色々見て買うから、組合にいてよ?」

「おう相棒!!、じゃあ酒をもっと頼もうか!!」



★=ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 後日談、上級冒険者パーティー【ハーメルン】は麒麟討伐の証拠を提示できなかったとして依頼失敗、街中にはあの上級パーティーの麒麟を盗んだアホが居ると酒のツマミになっていた、街中この話題で持ちきりだ、この話題は下級冒険者にとっては笑い話であり、上級冒険者には身の毛もよだつ恐怖談になっている


 強盗騒ぎで賑わう街の中、その話題の言わば主役の一人である俺は何食わぬ顔で安めで広めな物件を探している、そうすると市街地より少し離れた場所に少々古いがお屋敷レベルの大きさで、しかも安い物件があった、その額なんと金貨25枚


「この物件いいな~、なになに、家主は大通り、マリサ道具店、、、ほうほう」


 かくして俺達の強盗は終わり、見事大金を手に入れたわけだが、しかしまだまだこのろくでも無い異世界生活の序章でしか無かった、そしてこの現実はこの家を購入してわずか数分で思い知り事になった。

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