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三章 パート3

ページを開いて頂きありがとう御座います。投稿遅れて申し訳御座いません。

今パートは初日に襲って来た女について語られます。「ミオスタチン関連筋肥大」の女は何者なのか?

「この写真ってどう見たって盗撮だよな? 相変わらず趣味悪ぃなお前」

二つの画像はどちらもカメラ目線ではなかった。

「そうだよ。マスコミ関係が使うタバコケースとか小物に小型カメラを仕込んだヤツで目標のスクープを撮るのに使うんだよ」

ニコッと満面の笑みを浮かべているがやってることはただの犯罪行為だ。

「それで、柏原さんたちとこの若女将はどう言った関係なんだ?」

「うん、その前にまず商店街で秋久君を襲ったのは女の人から話そうか」

彼女に関しては、ミオスタチン関連筋肥大という異質な体質を持っているということ以外その素性を全く知らなかった。どこかで生きていると思っていたが柏原によって殺害されていたことは残念だった。

「彼女の名前は都沢幸子(みやざわゆきこ)、秋久君の二つ下の八九年生まれの二一歳、血液型はAB型、それとスリーサイズはバストから……」

ちょっと待て、っと自慢げに個人情報を暴露する明日乃を制止させる。

「もう、ちゃんと分かってるよ。せっかちだなぁ」

良いところで親に風呂だと言われて水を差された少年のようにムスッと秋久を睨む。

「ユッキーは生まれ付きあの体質を持ってた訳じゃないんだよ。あのミオスタチン関連筋肥大は人為的に身に着けられたモノなんだ」

「五歳の時に定期診断で都内の病院である病気だと診断されて療養の為に山奥の病院に入院したことで彼女の運命が狂わされたんだよ」

柏原の件もそうだが何かしら理由で集っているようだと秋久は認識する。

「運命って大げさだな、そんなの当人の立ち回り次第で幾らでも変えられるだろ。ようは個人の問題だろ? そんなことを言えば俺の体質なんて『運命』で済んじまうだろ。俺はな自分の人生をたった一言で割り切りたくねぇんだよ」

運命っと言ってもそれは誰かが決めたものではない。だから、望まないのであれば違う道を歩めば良いだけの話だ。運命を言い分けにして直ぐに諦める奴が一番気に入らない。

だが、運命を否定する分は全ての結果に責任を持たなければならい。自身で選んだ道には必ず責任が着いてくる。

「そうだね、秋久君の言うとおり、ある程度は当人の立ち回り次第で回避は可能だね」

明日乃は空を見上げながら言った。その表情はどこか切なさを感じさせた。

「話を戻すけど、入院先の病院でユッキーは治療と称して五年間、注射、投薬など色々とやらされてたみたいだけど、一向に治る気配がなかった、って言うより逆に悪化して発作を何度か起こしている」

「それを両親は何にも思わなかったのか? 普通なら不信感を抱くだろ」

秋久の言葉に明日乃は溜め息を吐く。

「あのねぇ、素人なら普通、担当医から投薬の副作用で現在の医療技術ではこうするしか方法がない、なんて言われたらよっぽど知識がなければ誰だって真に受けるよ」

「セカンドオピニオンがあるだろ?」

セカンドオピニオンとは簡単言えば別の病院で再受診を行うことだ。

「秋久君、僕が言うのはどうかと思うけど、子供を持つ親の気持ちを理解出来るの?」

さすがの明日乃は呆れ顔で秋久を見る。その目線が鋭い針のように秋久に突き刺さる。

「いいかい、分かり易く説明するから良く聞いて……」

幼稚園児に教えるような優しい声で明日乃は言う。

「大事な自分の娘が急に大きな病気に掛かったなら。その時、秋久君ならどうするの?」「そりゃ、必死になって町中の病院に駆け込むな」

そこで、と明日乃は話を区切る。

「秋久君はまず何処の病院に行くの?」

「当然、大きな病院に行くだろうな……」

そこまで言われて秋久は明日乃が言いたいことを理解出来た。

「都内で一番大きな病院で診断された結果なら正しいと思ってしまう、ってことか?」

「七十点ってところかな。なかなかいい着眼点だね」

明日乃の採点ではまだまだ満点ではないらしい。と言うより憐れみで加点されたと見れる。

「ユッキーの場合だと、定期診断の際に異常があるから総合病院で受診を勧められたんだよ」

それで、っと明日乃は話を切り替える。

「発作を起こすようになってから二年後、ユッキーが十二歳の時に身体にある変化が現れ始めたんだ」

ある変化って、秋久は反復する。

「秋久君も察しがついてると思うけど丁度この時期に今の身体が出来始めていたんだよ。最初は歩く度に重量感を感じたハズだよ。なんたって記録じゃ体重は七八キログラムあったそうだからね。それと同時にそれを感じさせない程膂力も上がって来たから気にならなくなっただろうね」

明日乃は悠然と言ってはいるがそれが事実なら彼女の身長が平均身長と同じだったと仮定して、同じ十二歳の平均体重を三五キロも上回る、その体重差からどう考えても肥満体になるかゴリラのような筋肉質な体格なるはずだ。

「それでもユッキーは筋肉が肥大化することなかった」

「なあ、ミオスタチンってのは筋肉の生成量を調整するタンパク質だろ? それが何らかの原因で減少するから筋肉質な身体になるんじゃなかったか?」

秋久の言う通り筋肉生成量を制御するミオスタチンの分泌量が減少すれば筋肉は肥大化する原因になる。

だが、それはミオスタチンの分泌量が減少すればの場合であって、もし、一定量の生成量の維持が可能ならば大げさに肥大化することなく筋力をつけられる。

「それはユッキーは第二世代の強化技術の実験台に使われたからだよ」

「第二世代の強化技術? つうことは第一世代もあるって訳かよ」

明日乃の言っていることが飛躍しているが、都沢の膂力を身を持って経験したのだ信憑がないなんて思えない。それに明日乃は嘘を付くのは決まって自身のことを話す時だ。

「うん、一九九〇年代から始まった人体強化プロジェクトだよ。六〇年代の脳をいじくり回す第一世代の強化プログラムだと被験体の社交性を著しく下げてしまって、制御不能になるんだよ。そこで筋肉生成量をコントロールするミオスタチンの遺伝子を薬物などを用いて人為的に操作する『ミオスタチン操作』が立案されたんだよ」

「宮沢はその『ミオスタチン操作』の実験台に選ばれた、って言うのか?」

話がぶっ飛び過ぎて全体を把握しきれない。だが、今は必要な範囲だけを把握すれば良い。

「うん、そうだよ。まあ、難しい話だけどゆっくりと理解していけばいいんだよ。時間は十分あるから無理をしない程度を頭に入れれば問題ないよ。無理して考え込んで仕事に集中できないのはさすがにマズイからね」

初めからそのつもりだ。自分が情けなくなるから気を遣って欲しくない。

「次に柏原雄大の話をするよ」

「ああ、その話はなら、昨日、本人から聞いたよ」

そうなんだ、っと明日乃は少し驚いた表情をした。その表情はまるで幼子のように可愛く、どこか友人として胸にモヤッとしたものが込み上げた。

(これじゃショタコンじゃねぇか! こいつは同期だぞ。ストレス溜まってんな俺……)

余所から見ればただ子どもと話しているようにしか見えない。

都沢幸子は人体強化プロジェクト「ミオスタチン操作」によって後天的身につけさせられたようです。

明日乃は一定外観から一切成長していません、彼も都沢や秋久とは違う秘密がありそうです。

次回は随時投稿します。

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