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二章 パート9

ページを開いて頂きありがとう御座います。

いよいよ秋久に刺客を送り込んだ黒幕が判明するかも?

パート4からぶっ通しで続いた場面もこれが最後です。

五限目の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。


「警察の調べだと失踪する日に、学年主任の篠田先生から飲みに誘われてたそうだ」

「とすると、篠田先生が今回の件にも関わっている可能性が高いって訳なのね」

「そういうことだね。けど、警察は事件性はゼロだとして捜査は打ち切った。当時捜査の指揮を執ったのは警視正の岡崎君のお父さんだよ」

(だから、岡崎君は人一倍責任を感じてるのね)

岡崎は窓から映る雲を眺めている、その背中は同じ中学生とは思えないほど悲しい何か感じさせた。

「後悔したって何も変わらなねぇだろぉが! だから、オレたちがこの学園を改革すんだろ?」 菅谷が岡崎の肩に手を置き励ます。それを綾乃は本当に申し訳なさそうに見つめる。

「そうだな、誠基」

そう言うと岡崎は振り返る。

「俺の代わりに説明してくれてありがとう瀬川」

お礼を言われて瀬川はうつむいて照れを隠す。

「綾乃、今回の秋久先生を狙っている件は学年主任の篠田が噛んでいる、と俺は踏んでいる」

岡崎は携帯を取り出しながら言う。

「それって岡崎君の携帯?」

「いや、これは俺のじゃないよ。これはセキュリティ会社が行っている個人情報保護の為のサービスで一時的に電話番号を借りることが出来る奴だ。釣りの為のな」

そう言いながら岡崎は電話を掛ける。

「一体誰に掛けるんだ?」

「しっ……」

今だに状況を把握しきれていない磯原を岡崎は口元に人差し指を当てて黙らせる。

『もしもし』

周囲に聞かれるとまずいのか相手の男は小声で話す。電話の声は篠田のモノだと一同は瞬時に理解した。


磯原唯一人を除いて。


「ご多忙の中、申し訳御座いません」

中年男ような太い声で岡崎は受話器越しの相手に話す。

『聞かない声だな、お前は誰だ?』

「申し遅れました。本日は例の件について代理として私が連絡させて頂きました」

岡崎は冷静に答える。一同はただ静かに見守る。

『例の件だと?』

「はい、去年の森田氏の件に関してのお話です」

『ああ、そのことか。後処理をアンタらに頼んで本当に良かった。まさかあれで死ぬなんて思わなかったからな』

今の発言で森田先生を殺害したのが篠田であることがハッキリした。

「秋久と言う男が妙な動きをしていると聞きますが、如何なさるおつもりですか?」

『あの男のことに関してはこの前に伝えていたはずだ!』

「それのことは聞いていますので知っています。確か、殺し屋をお雇いになられたとか」

『そうだ、奴らは『始末屋』と言うらしい。戦国時代から存在している暗部組織だ』

「彼らはことごとく失敗しているようですが?」

予想以上に篠田から聞き出すことが出来たようだ。岡崎は仕上げに掛かる。

『そ、それは……』

「気を付けてください。何分ことが明るみにでもなればこちらにも被害が及びます」

『分かっている! だが、予想以上にしぶとい奴なんだ』

「確かに彼はしぶといですね」一呼吸置き「そこで私から提案がございます」っと鞭の次に飴の香りを匂わせる。

『提案だと?』

篠田を誘い出す為岡崎は慎重に逃げ道を与えるように運んで行く。

「ええ、それには貴方に手伝って頂くことが前提なんですよ。もう、お互いに手を汚さずになどと甘いことを言っていられる状況ではないでしょう?」

その飴にも条件を付けて篠田を追い込む。この条件を呑めば確実に背水の陣に立たせることが出来る。最後の一押しだ。ここで正体がバレたら全てが台無しになってしまう。今までのは全て会話上でのことなので物的証拠が一切ない、今欲しいのは篠田を一発で追い詰められる程の強力な物的証拠である。

『ことが明るみになれば間違いなく私は学園から切り離される! もしそうなれば今まで築き上げて来た私の地位が、家庭が』

声色から焦っているのが確認出来る。

(幾らなんでも、やり過ぎよ。これじゃあ、篠田先生がかわいそうだよ。先生には家族がいるのに。まだ、私はまだ篠田先生意外にもっと複雑で大きな何かが関わってる。そんな感じがする)

綾乃が岡崎を制止させようと手を伸ばそうするが、菅谷に止められた。

どうして、っと口に出しそうになるのを堪え止めた理由を眉間に少ししわを寄せて集中する。

すると菅谷は手出しは駄目だと手をクロスさせてバツ印を作る。

瀬川が電話の内容を聞くように二人の肩を叩く。


磯原はと言うと話に着いて行けず、せめて邪魔しないように教室の隅で一人寂しく膝を抱えて体育座りをして、話に着いて行ける綾乃たちに呪われそうな淀んだ眼差しで見つめている。


そんな目で見るなよ、っと言いたい気持ちを綾乃たちはそっと胸の中にしまう。

そんなやり取りをしている間に岡崎は篠田との取引を続けていた。

「これは私が急に申し出たことですので、まだ上との連絡を取れていません。それに私も準備をしなければならないので、大変お手数なのですが上に話を通しておいて頂けないでしょうか?」

言葉巧み岡崎は篠田の行動を制限させる。

『大丈夫なんどろうな? 本当に上手くいくのか?』

完全に隠蔽を頼んだ業者の人間だと信じたのだろう。焦りで正常な判断力を無くしているのか篠田は心配をしているが警戒して素振りが見られない。

「私の言う通りにしていただければ大丈夫です。こちらもプロですから、仕事に間違いは御座いません」

今の話を聞いて安心したのだろう、受話器から安堵の溜め息が聞えて来る。

緊張からか五分間余りが一時間に感じられた。


岡崎は電話を切った。


「今夜の八時、学園と都心部を繋ぐ橋の下に篠田を誘い出した。そこでアイツを追い詰める。そんじゃあ、そろそろ教室に戻らないとな」

岡崎はそう言うと立ち上がり教室を出る。岡崎の後を追い掛けるように菅谷、瀬川、綾乃そして磯原が教室を出る。


「篠田は人を殺している。だから、厳正な裁きを受けて罪を償わなせきゃならない」

「なあ、真夜ぁ、そんなに上手く行くのかよ? オレには心配でならねぇ」

「ここは岡崎君を信じて。今の僕らは『出来ることを精一杯やる』しかないだから」

「篠田先生って自身の黒い部分を隠してたんだよね? もし、秘密を知ってしまったら私たち口封じされるんじゃ……」

「俺の気づかない間に話がかなり進展してんな……あれから一体どこまで進んだんだ?」

「卓巳、後で嫌ってくらい説明してやるから。今は我慢してくれ」

「綾乃、昼間のカレーパンのことだけど」

「それがどうかしたの?」

「実はあれはピロシキだ。お前は最後まで気づかなかったみたいだけどな」

「えっ、ってうえェエ! もう、自分の推理を確信させる為に騙したのね! 違う種類のカレーパンだとばかり思ってたよ」

「最後まで気づかなかったところを見ると当たりだったな」

「具の違いに意識がいかなかったみてぇだな」

「まあまあ、綾乃さん落ち着いて」


風に乗って綾乃たちの会話が無人になった教室に響いていた。

篠田利章が今回の件に関わっているようです。綾乃たちは篠田にどう対抗するのか?

次回から本格的動き始めます。一つの終わりと始まりが近づいて来ました。

ということで次回は随時投稿致します。

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