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二章 パート8

ページを開いて頂きありがとう御座います。

パート8にてパート一章パート6で名前でけ出て来た森田俊樹について言及が入りました。

岡崎たちと森田はどのような関係なのか?

「あの人とは自分の故郷の話とか昔のことについて話してただけだよ。あの人が私にその言葉を言ったのは、出したコップを直そうとした時に横に立って言っていたよ」

「それだけ分かれば今は十分」

今は癖毛の少年より秋久を助けるのが先決だ。岡崎は自分に言い聞かせるように胸に手を当て深呼吸をする。彼の性格からして一度疑問に思ったことは自分の納得のいくまで答えを見つけようとする為、時に周りが見えなくことがある。それを防ぐ意味合いとして先程のように胸に手を当て深呼吸をして気持ちを整理させている。

(昨日のことは他言無用にって言われてたけど言っちゃって大丈夫かな? あの人が知ったら怒るだろうなぁ。きっと)

綾乃は少年に対し心の中で後ろめたさを感じた。

「そのことは今は保留して、秋久先生のことだけど、昨日、先生が何者かに襲われたって言う情報が入った。俺たちは今そいつらを差し向けた奴を探している」

綾乃は考える、秋久は昨日の時点で何者かに襲われたと言っているが、それ以前にも襲われている可能性も考えられる。秋久の存在を疎く思う者がいるとしたら、なるべく自分に疑いが掛かりにくいようにするのが普通だ。もし、自分の家に連れて来てそこで始末するようなことがあるなら、それはかなり追い詰めらた状態かただの馬鹿だ。

「それで、昨日の内に俺の方で怪しい奴を三人ピックアップしておいた」

岡崎が目星をつけた三人の写真を机の上に並べた。そこには校長と濃いメン教頭、学年主任の篠田の三名がそれぞれ映っていた。

「この三人に共通してることは、昨日の突然の新学期の準備を行う予定を組むことが出来るもしくはそう進言することが出来る立場にいるってことだ」

綾乃は校長の写真を拾い上げる。

「ねぇ、聞きたいんだけど校長先生って先生の件に関係あるの?」

岡崎に疑問をぶつける。校長は無関係だろうと言いたそうな口調で……

「聞き返すようだけど、なんで校長が関係無と思ったんだ?」

「それは、雇用するには最低でも教頭、校長、理事長レベルの管理職の人たちの話し合いが必要な筈だから、先生が採用されたということは少なくとも彼らに認められたと見ることが出来るから……」

「自身で招き入れてから淘汰するのはおかしい……っと言いたいんだろ」綾乃が言い切るより先に岡崎が話をまとめた。

うん、っと綾乃は頷いた。

「そうだ。校長、理事長、教頭はその理屈だと外れる訳だ」

そう言うと校長と理事長の写真をしまう。

「今のは中々の推理だったぞ。案外、頭を使ったことが向いてるんじゃないか?」

褒められた経験が少ないので、岡崎に褒められた綾乃はどう反応したらいいか分からずただ微笑んで見せた。

「綾乃の推理を補足するなら、今回の件で秋久先生他高等部の二名を招いたのは理事長の養子の夜代結だ。他の連中はアイツに利用されているに過ぎない……」

夜代結の名前が出た途端、他の三人の顔が険しくなった。

「チッ、あのヤロォが関わってやがんのか?」

今にも殴りかかりそうな勢いで菅谷が立ち上がる。

「落ち着けって誠基」

磯原が椅子に座らせる。

「……続けるぞ」

岡崎は一度確認を取る。

「そうだ、お前の言う通り今回の件はあのヤロォが関わっている」

それを聞いて菅谷はさらに青筋を立てる。

「ただ、今回は招いた側だ。前の時のように排除している訳じゃない」

どうやら、この三人と夜代結は浅かるぬ因縁があるらしい、っと綾乃は今のやり取りの中で徐々に学園内の人物相関図を構築していく。

「実際にお前らをこの学園に招き入れたのは理事長と校長と中等部と高等部の教頭だ。それにバックに理事長がいるアイツの決めたことに逆らえる奴なんてこの学園内にいないだろう。嫌でも賛成するしかないさ」

「夜代君ってそんなに危ない子なの? いつも窓側席で一人難しい本を読んでるけど」

夜代がどれだけ危険な人物なのかは岡崎たちの緊迫した様子から理解出来た。ただ、何がどう危険なのかが話の中でしか推測するしかない。なので岡崎たちを含めた一部の人々が勝手に彼を危険視しているだけで、実は『危険性の全くない大人しい少年』っという可能性もまだ完全に否定出来ない。

「それを説明するには、去年のことから説明した方がいいな」

「去年?」

今年に転入して来たのでその時のことを知らない。それに岡崎たちがどうして『学園貴族主義』に対し危険が及ぶのを承知の上で対抗するその理由も……

「当時、俺たちはアイツと組んでたんだ」

その時のことを思い出したのか獰猛な肉食獣のように犬歯を剥き出して菅谷が机を全力で叩いた。

「誠基、もしアイツと対立することがあっても絶対こっちから手を出すな」

「悪りぃがそれは保障出来ねぇ」

岡崎の忠告を菅谷は納得出来ないようで今にも殴り込みに行きそうな勢いだ。

「はぁ、ったく」

深い溜め息とともに岡崎は肩を落とす。


「話を戻すが去年の丁度今日、アイツとコンビを組んだ。学園を変えたいという目的は同じだったからだ。アイツはこの学園で一番の切れ者だ。人手が欲しかった俺たちにとっては、断る理由がない。組んで一か月経った時にアイツから当時担任だった森田俊樹に協力するように進言された。その時は大人の協力を得ることでより安全で効率的に活動出来ると思って俺はその進言を受け入れた。それがまさかあんなことになるなるんて……」

そこまで言うと綾乃以外の全員が一斉に暗くなる。その奇妙な行動が夜代結の異常性を物語っていた。

「いいか? 誠基、あの時にアイツの真意に気付かなかった俺の責任だ。お前が気にすることじゃない」

ひとまず殺気立つ菅谷を落ち着かせる。

「その後、森田先生はどうなったの?」

さっきから話を割って入ったりして繋がりを見失いそうになるほどグダグダになっている。

それでも全て記憶することが出来る綾乃にとってこの部屋での会話を全て思い出すことは昨日の晩御飯を思い出すより楽な作業だ。

簡単にまとめれば、夜代結が招き入れた秋久と綾乃の二人の行動を密かに監視していた岡崎は綾乃の特殊な能力に気づいて、狙われないように磯原に挑発させて秋久に注意を向けさせたのが一日目の彼らの活動だ。そして二日目は強制連行する形で綾乃に接触して囮に使った秋久を今度は自分たちの手で救出しようと動いてる訳だ。何とも都合が良い。

(まず、理解しなきゃいけないのは岡崎君と夜代君の二人の学園内でのお互いの立ち位置に関してよ。そうじゃなきゃこの二人がただの小者だということもあるかもしれないし、ちょっと強引だけどそうなると二人の背後でもっと大きな絵を描いてる人がいる可能性も……)

一番避けねばならないのは強大な敵の掌の上で動くことだ。彼らの意思一つで握り潰されるリスクは避けねばならない。

最悪な事態を招くことになる。持たざる者は所詮弱者でしかない。それこそことわざの『備えあれば憂いなし』の通り、万事に備えるくらいの心意気が必要だ。それを岡崎真夜が持っているのかが重要なのだ。

「教えるよ。アイツは、夜代はこの桜花崎学園のトップに君臨する頭脳指数二〇〇の圧倒的な頭脳を持つ怪物だ。アイツは自分の障害になる相手をその脅威の頭脳で叩き潰して行き、今ではアイツの存在そのモノが禁忌になってる。それこそ『夜代結に手を出すな!』という風にな。アイツの提案で協力してもらった担任の森田先生がその日の内に突然行方不明になった。それから、二週間後に秩父山で森田先生の遺体が発見された」

「その森田先生が行方不明になった原因に夜代君にあるってこと? 岡崎君は見た感じ、頭脳派っぽいけど学園内での立ち位置はどうなってるの?」

「証拠はないけどアイツが関わってることは間違いない。お前の期待値に添えるか分からないけど俺はこの学園で二番目の頭脳を持ってるらしい。まあ、自分で言うとなんか小者臭いけどな」

ということはこれは桜花崎学園の頭脳派同士の戦いな訳だ。

「でも、どうしてそんな『智謀の魔人』みたいな人と手を組んだの? もし、私だったら絶対怖くて組む気になんてっ……」

綾乃は慌てて口を閉じる。

「ああ、お前の言う通りあれは俺の責任だ」

明らかに岡崎は落ち込んでいる。

「あわわ、ごめんなさい、岡崎君」

慌てて駆け寄って綾乃は謝る。悪気はないが思ったことは直ぐに口に出してしまう性分なのだ。

「綾乃さん、今は岡崎君をそっとしといてあげて」

瀬川が岡崎から綾乃を引きはがす。その時、気のせいか瀬川の力が想像以上に強く感じた。

「瀬川君、詳しく教えて! 森田先生が行方不明になった経緯を!」

微かに感じた違和感より森田俊樹のことが気になる。

夜代君はかなり嫌われているようです。特に菅谷からは仇敵のように見られているようです。

理事長は彼をフォローしているようだけど、ここまで嫌われるのは相当な行いをして来たのでしょう。

次回は随時投稿致します。

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