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二章 パート6

ページを開いて頂きありがとう御座います。

今パートは舞台となる「桜花崎学園」について少し踏み込んだ内容になっています。


昼休みの終わりを告げるチャイムが室内に響いた。綾乃たち五名は以前室内に残っている。

「とりあえず、五時間目はサボる。これに限るだろ」

岡崎は滅茶苦茶なことを平気で口にする。

「私は授業サボる気はなかったのにぃ!」

岡崎に抗議する。どうしてサボることになったかと言うと、これからのことを五時間目を使ってこれからのことを説明するからだ。

「全くもって迷惑な話だよ。ねえ、瀬川君だってそう思うでしょ」、っと綾乃は瀬川に同意を求める。

うん、そうだね。っと瀬川は子供のように無邪気な笑顔でそう答える。

「ああ! どうしてそんなに可愛いのぉ? もう、我慢出来ない合体したいぃ!」

「迷惑なのは瀬川の方だろ。どう見ても」

瀬川に抱きつく綾乃を見て磯原は呟く。当の瀬川もかなり引いていた。

「バカのお守りは大変だなぁ」

「全くだな、先が思いやられる」

それを見て菅谷と岡崎は肩を降ろして落胆する。

「オラ、お前ら、続きは後日改めてやれよ!」

菅谷が瀬川に抱きつく綾乃を力付くで剥す。

「ああ、私のドリームタイムがぁ!」

必死の抵抗も虚しく綾乃は夢の時間から現実に引き戻された。

「みんな、聞いてくれ」

岡崎は手を叩き視線を自分に向けさせる。

「いよいよか?」

岡崎の手拍子に磯原は真っ先に反応する。

「えっ? 何が始まるの瀬川君教えてよ」

綾乃は頭に?マークを浮かべながら瀬川に尋ねる。

「うーん、『第三次大戦だ』て言うのは冗談で本格的に行動を開始する為の計画を練るんだよ」

瀬川がサクッと解説したので、手間が省けたことに他のメンバーが心の中で感謝いた。

グッジョブ、っと岡崎は瀬川に親指を立てる。

「へえ、『天パの人』みたいに色々なネタを知ってるんだね」

綾乃は高等部の癖毛の少年と瀬川を重ねて目を輝かせる。

岡崎は『天パの人』で何かを思い出すそぶりを見せたが話題に出さなかった。

「いいのか? アイツのことは触れなくて」

菅谷が癖毛の少年の話題を拾い上げるが岡崎は構わないと伏せた。

「あの人に触れるのはまだ早い。それにどんだけ調べても何も分からないからな。下手に憶測並べても意味がないだろ」

岡崎は『天パの人』に警戒しているようだ。

「あの人がどうしたの一体?」

綾乃は相変わらず理解力に乏しいらしい、記憶力は桁違い高いくせに。

「あのな、お前とあの『天パの人』と内の担任の秋久とあともう一人高等部の教師を含めて、今年度に教師と生徒それぞれ中等部と高等部それぞれ四名ずつ理事長の独断で入って来ている。だから、それぞれどのような特徴があるか調べてんだよ」

岡崎は溜め息混じりで言った。

「要するに理事長は君たちを何らかの目的でこの学園に招いた可能性がある訳だよ。でも四人同時に招くなんて不思議だね」

「どうして四人同時に招くのが不思議なの? それにそれぞれの要素って?」

瀬川の解説に理解できないらしくただひたすら『?』を浮かべる。

「まずこの学園の状況から説明すべきだった」

岡崎が口を開く。

「この学園は一九九一年のバブル崩壊した後権力者たちが立て直した学園だよ。当時潰れる寸前の学園に当時の有力企業が大量の寄付金を出したことにある」

つまり、どういうこと? っと綾乃は首を傾げる。

「いいか? 次が大切だ」

岡崎は綾乃の質問をスルーして続ける。

「この西区画はバブル当初に開拓して作られた土地だ。この桜花崎学園もその時に創立したんだ」

ここまでは分かるな? っと岡崎は念を押す。綾乃は『うん!』っと頭を縦に振る。

「そんじゃあ、理解している前提で進めるぞ」

岡崎は若干不安に思うが構わず続ける。

「バブルが崩壊して若者は都心部へ行き、残された高齢者は企業側が用意した施設に移り住まされた……っとここまで言ったらどうして権力が支配するようになったのか勘が良ければ気づくはずだ」

綾乃は自身の勘をフルに働かせて考える。

昨日の夜、癖毛の少年も同じことを言っていた。西区画は現在その全てを学園側が所有しているっと言って良いだろう。つまり、学園は半ば独立した状況になっている。

そのまで考えてやっと気づいた。

「それじゃあ、力の持ってる人たちの天下じゃない!」

「そう言うことだ」

岡崎はゆっくりと椅子に腰を下ろす。

「もう、今年二〇一〇年まで、およそ一九年間お前の言うようい『力を持つ奴らの天下』と言った状態が続いてる。まあ、言い換えれば『権力者たちの横暴』というところか」

物騒な例えだが、力なきモノに従うモノは少ない。公共道徳を説いた宗教がしっかりと機能していれば暴力に頼る必要性も減るだろう。

綾乃は学園の現在の状況を許すことが出来なかった。力を持っているからと言って持たぬモノを虐げていい理由にならない。

「今の学園の体制を裏サイトの掲示板からの引用して『学園貴族主義』っと読んでいる」

「一部の特権階級が指導的立場に立つ貴族主義なのは分かったけど。私はどうしても彼らの行い納得することが出来ない! 気に入らないよ、こんなの」

綾乃が感じている憤りは一部の『持っている人たち』の為にどうして尻尾を丸めて震えなければならいのかということだ。

「うっしゃあ、お前のその言葉をオレ等は待ってたんだ!」

菅谷が横から肩を組んで来た。綾乃は警戒するが、さらに逆サイドから磯原が肩を組んで来る。

どういうこと? っと綾乃は叫びに近い声を上げる。

「今から俺らは運命共同体だ。新しいメンバーは歓迎するぜ。なあ、誠基?」

先程の殺伐と雰囲気が抜け磯原が突然有効的に話しかける。

「全くだぜ。お前が協力しないなんて言ったら、オレとしても口封じとして無事に返せなかったかもしれなかったしな」

菅谷も便乗する。

「綾乃さん、さっきまでみんなが取っていた態度は君が協力しない可能性を想定していたから、その際は覚悟を決めなければならなかったんだよ。でも、本当はみんなすごく優しくていい人たちなんだ。彼らの言いなりだった僕を助けてくれて、対等に扱ってくれたんだ」

秘密を外に持ち出されるのを防ぐ為に『口止め』を行うのは当然のことだ。人は誰しも他人を疑い思考に溺れる生き物だからだ。


だからその行為をおかしいと感じるなら、それはとんだ『平和思考』だ。


「大丈夫、私はこの人たちを信じるよ」

岡崎を中心に綾乃が加わり中等部の『抵抗派』が結成された。

岡崎たちは柏原雄大が言っていた「抵抗者」の一つだけど、綾乃を含め生徒五人だけとどこか心許ない感じがしますけど・・・

彼らと綾乃は力を持つ大人たちを相手にどのように太刀打ちするのか?

特殊な成り立ちの桜花崎学園、秋久、綾乃、もう一人の教師、癖毛の少年彼らの行動が様々な交錯を生み、変革をもたらすのか?

長くなりました次回は随時投稿致します。

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