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九話 絶対王政

二話連続投稿。

 今朝は、またもやジークさんとの登校タイムだった。流石に手を繋ぐのにも慣れてきてしまった。付き合ってもないのにけしからん、と自分でも思ったが……慣れって怖い。




「あら、おはようございます、咲原様」


 席に着いて鞄から筆記用具を出していると、そんな声が聞こえてきた。岡野さんだ。


「お、おはようございます、岡野さん。……その様付け、やめません?」

「まあ、とんでもありませんわ! 私は貴女様の足元にも及ばぬ人間。情け容赦など無用ですわ。ですが、気に入らないのでしたら、どうか罵倒して罰を与えて、調教しーー」

「あ、いいですいいです‼ 様付けっていいですよね! あははは……」


 頬を僅かに赤く染めて言う彼女の言葉を遮った。この人は、きっと救われないのだろう。無念だ。

 ふと、周りを軽く見回した。こちらに向いている視線がちらほらと……。


「……どうしよう」


 思わず呟いた。恐らく、岡野さんと私が親しげに話しているから、何事かと見ているのだろう。

 これは非常に良くない状況だ。今まで波風を立てまいと影を薄くしていたのに、注目が集まり始めている。岡野さん関係の争いに巻き込まれる可能性も否めない。


「あの、岡野さん。岡野さんのグループと他のグループ間の争いとかって……あの、私巻き込まれたりしません? この状況だと」


 少し声を潜めて、そう尋いた。今の彼女は少しばかり馬鹿っぽく見えないこともないが、実際はかなり狡猾だ。まだ一学期も終わっていないのに、この学年の半数以上の人間を従えている。彼女も、私が巻き添えになる可能性があることを知っている筈だ。彼女はどういうつもりで話しかけてきているのか、この質問の答えで恐らくわかる。

 私を貶めようとしてるかも、とか、完全にそのことを失念していた、とか、色々な予想が一瞬の内に脳内で浮かんでは消えたが、彼女の言葉はどの推測にも当てはまらなかった。


「大丈夫ですわ、、もうすぐ争いは無くなりますもの」

「へ?」

「だって、もうあと少しで一年の全派閥と決着が付きますから。勝利は確定。咲原様の絶対王政実現も、夢じゃありませんわ!」

「……夢だと良いんですが」


 鼻息を荒くして言う彼女に、引きつった笑顔を見せた。ああ、やっぱり彼女は救えないのか。


「と、いうわけで咲原様。絶対王政実現の為には、全派閥征服と共に、咲原様が生徒会に入って下さらなければなりません。何せ咲原様は謙虚な方。その謙虚さ故に貴女のことを知らない愚か者が大勢居ますわ。まず、彼らに咲原様の存在を知らしめなくては」


 突然落ち着いた口調に戻り、岡野さんは言った。

 ……え、ちょっと待って何て言ったんですか。


「一年生は会長になれませんが、まずは副会長かしら。確かもう生徒会選挙の参加希望者は募集中の筈。今日の放課後、早速職員室ですわ!」

「ちょ、ちょっと待って岡野さん、私は別にーー」


 ガラガラ、と音がして、教室の引き戸が開いた。担任の先生が入ってきたのだ。

 途端に、生徒達は席に着いた。岡野さんもそれでは、と私に一言かけて足早に自席へと戻っていく。

 そしてHRが始まり、担任の長い話を聞かされたが、私は全て右から左へと流していた。後で何を話されたのかクラスメイトに尋ねたのは、言うまでもない。

四話で二人が手を繋いでるシーンのイラスト描きました。画像の載せ方がわからないので、画像のURL載せときます。

http://uranai.nosv.org/img/user/data/d/d/3/dd33d1dd808510f43388f11f8c7527e1.jpeg

あんまり上手くありませんが、こんなイメージだと伝われば幸いです。白黒でコメディ系のラノベの挿絵をイメージしました。筆ペンとコピックです。

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