第11話:「消えない憎しみ」
俺たちは一歩も動くことができなかった。
怖い……。
何で窓に赤い血がついた手が何個もあるんだよ。
手から下が無いのかな?
そう思って俺は窓の下をのぞき込んだ。
「翔ー何やってんの、危ないよぉ」
明奈は俺を心配してくれる。
俺は暗くて良く見えなかったので、もういっかいのぞき込む。
すると
こっくりさんの顏がすぐ目に入った。
「ウワァァア!」
俺は叫び見るのをやめて後ずさりしてしまった。
何でこっくりさん……手があるんだよ。
顏だけだったじゃないか?
ずっと顔だけだとおもっていたのに……。
俺は勇気を振り絞って、赤く血がついた手が全体にある窓をもう一度見渡した。
そしてもう一回下を見てみる。
こっくりさんの姿はなかった。
でも……この窓全体に何個もある手はなんだ?
こっくりさんじゃないのか?
そう思っていた時
手が窓を突き抜けて真理の首を強く絞め始める
「く………るし……ぃ」
真理は泣きながら出ない声をおもいっきり出そうとする。
すると、残りの手もドンドン中に入ってきた。
俺たちの首を強く絞める。
苦しい……!
もう、イヤだ!
俺たち4人は首を絞められたままだ。
すると
明奈がつり上げられた状態に上に持ち上げられていた。
このままじゃ明奈が死ぬ!
「明……菜」
俺は苦しい首の痛さを押し殺し、聞こえるか聞こえないかの声を
一生懸命出した。
本当に苦しい
この手の握力はいくつあるんだというくらいに。
その時
誰かの遠い声で叫んでいるのが聞こえた。
「キャァァァァアア!!」
俺たち4人は廊下の方を見た
廊下の方から聞こえてくるから
何故かだんだんこっくりさんの手の握力がなくなっていく。
あれ……?
明奈はドサっと倒れ込んでしまった。
真理も光も倒れ込んでいる。
「死ぬかと思った・・・」
光はゲホゲホと咳をして涙を流しながら皆に言う。
俺も、死ぬかと思ったよ
明奈も何とか大丈夫そうだった。
俺たちはゆっくり顔をあげ血のついた窓をみる……。
するとそこには。
こっくりさんの顔が映っていた。
俺たちは怖くて声も出ない。
「邪魔が入ったから今日はこれで終わりにしてあげる」
そう言って消えてしまった。
”邪魔が入った?”
俺は感づいて廊下の方へ猛ダッシュで走る。
「翔、どこにいくのよ!!」
俺は真理の言葉を無視したまま廊下に出た
何故か窓につり下がっているのは女の子……
あれ、優!
優は確か光の妹だ……。
「助けて!」
そう言われ、俺は優を助けようと思い手をだした……。
下を見てみると手が優の足を掴んでいる。
”死”へと連れて行こうとしているみたいだ。
”大切な人をころしていく……”
「助けて……」
光の妹優は、震えた声で俺に助けを求める。
俺は図書室まで聞こえる大きな声で叫んだ。
「光ー!」
すると光はすぐに廊下にやってきた。
「どうし……」
光は言葉を言いかけて優を見る。
その場に固まってしまった。
明奈と真理も廊下に出てきた。
「なにやって……あれ?優ちゃん!」
真理は驚いた様子を見せている。
そりゃそうだ……。
光の妹が窓につり下がっているんだから。
光は優の手を持ち引き上げながら涙を流す。
「何で……優……」
俺も優の腕を掴んで引き上げようとする。
だが、優の足に捕まっている手が優を引っ張る。
優は泣きながら光に答えた。
「お母さんが戻ってこいって言ってたから、迎えにきたの廊下歩いてたら窓の外からいきなりスルって赤い血が染まった
手が入ってきて私の髪を引っ張って、窓の外から放り投げようとしたみたい……だから窓にぶら下がって……」
そういうと何を言っているのかわからないような声で再び、おもいっきり泣き始めた。
俺たちも頑張って優を引っ張り上げる。
するとその時優の体がいきなり重くなった。
こっくりさんがぶら下がっていた……。
こっくりさんは俺たちを悲しい目で見つめる。
「何でこっくりさんが……」
真理が泣きながら俺に言う。
そんな事いわれたって俺も知らねぇよ。
その時……優との手が俺と光は離れてしまった。
「キャァァァァァァァ!!!」
「優ー!!!」