こまったまご
登場人物
● おばあちゃん――帰り道で巨大な卵を拾う。
■ おじいちゃん――おばあちゃんと暮らしている。ツッコミ役。
▲ 孫――二人の孫。ちょっと変わったことをするのが好き。
『こまったまご』
ある日のこと。
おばあちゃんは買い物を終え、家へ帰る途中だった。
●「今日は何を作ろうかねぇ」
そんなことを考えながら歩いていると――
●「ん?」
道の端に、何か白いものが置かれていた。
近づいてみる。
●「……卵?」
そこにあったのは――
巨大な卵だった。
普通の卵とは比べものにならない。
人が一人入れそうなくらい大きい。
●「ずいぶん大きな卵だねぇ」
おばあちゃんは卵の周りをぐるっと回った。
●「何の卵だろうねぇ……」
しばらく考えたあと――
●「まあ、おじいさんに見せてみよう」
おばあちゃんは巨大な卵を家まで持ち帰った。
*
●「ただいま」
■「おかえり」
おじいちゃんが玄関へやってくる。
そして――
■「…………」
巨大な卵を見て固まった。
■「ばあさん」
●「何だい?」
■「そのでっかいのは何じゃ?」
●「卵」
■「それは見れば分かる!」
おじいちゃんは巨大な卵を見上げた。
■「どこで拾ってきたんじゃ、こんなもの!」
●「帰り道」
■「そんな普通に答えられても困るわ!」
おばあちゃんは巨大な卵をポンポンと叩いた。
●「せっかくだから、割ってみようか」
■「食べる気なのか!?」
●「卵なんだから、割らないと中身が分からないだろ?」
■「まあ……それはそうじゃが……」
二人は巨大な卵を割ってみることにした。
*
●「いくよ」
■「お、おう」
コンコン。
おばあちゃんが卵を叩く。
すると――
ピキッ。
殻にひびが入った。
■「おっ!」
ピキピキピキ……。
二人は卵から少し離れた。
そして――
パカッ!
巨大な卵が割れた。
中から現れたのは――
▲「ばあちゃん! じいちゃん!」
●「…………」
■「…………」
二人は目を丸くした。
●「孫!?」
■「なんでお前が卵の中におるんじゃ!?」
中に入っていたのは、二人の孫だった。
孫は笑いながら卵の中から出てくる。
▲「二人に会いに来た!」
■「普通に玄関から来い!」
▲「でも、びっくりしたでしょ?」
●「びっくりしたよ」
■「びっくりどころじゃないわ!」
おじいちゃんは、割れた巨大な卵を見る。
■「そもそも、この巨大な卵は何なんじゃ?」
▲「僕が作った工作!」
■「工作!?」
▲「じいちゃんとばあちゃんを驚かせようと思って作ったんだ!」
●「よく作ったねぇ」
■「感心するところか!?」
どうやら巨大な卵は本物ではなく、孫が作った工作だったらしい。
孫は二人を驚かせるため、その中に隠れて待っていたのだ。
■「まったく……」
おじいちゃんは頭を抱えた。
■「困った孫じゃ」
▲「へへへ」
*
すると、孫が何かを思い出した。
▲「あっ! そうだ!」
■「今度は何じゃ?」
▲「卵も持ってきたよ!」
●「卵?」
▲「うん! いっぱい!」
孫は持ってきていた袋を取り出した。
中を見ると――
本物の卵がたくさん入っていた。
■「なんでそんなに卵を持ってきたんじゃ!?」
▲「卵の中から登場するなら、本物の卵も必要かなって」
■「どういう理屈じゃ!」
●「せっかくだから、みんなで食べようか」
▲「食べる!」
■「まあ……それならいいか」
*
三人は孫が持ってきた卵を使って料理を作った。
焼き上がった卵料理を皿に盛る。
そして仕上げに――
ごまをパラパラ。
▲「できた!」
●「おいしそうだねぇ」
■「いただくか」
三人は食卓を囲んだ。
▲「いただきまーす!」
●「いただきます」
■「いただきます」
三人で一口食べる。
●「おいしいねぇ」
▲「うまい!」
■「うむ。これはなかなかじゃ」
おじいちゃんは卵を食べながら、孫を見る。
■「しかし、本当に困った孫じゃな」
▲「また巨大な卵を作って入って来ようかな」
■「もうやめてくれ!」
●「ふふふ」
三人の笑い声が家の中に響いた。
そして――
ごまたまごは美味しかった。
『こまったまご』
――終わり――
最後まで見てくれてありがとうございました。




