第五章:「侍の出汁、餃子を斬る」
激戦の地、雲南原野。
餃子王ジャン・シュエロンが放った“禁餃”は、世界の地形を変えるほどの破壊力を誇っていた。
だがその餃子の皮が、大地に触れる直前――
バシュゥッ!
空間を裂いた一振りの斬撃が、巨大餃子を真っ二つに断つ。
「……出汁が、足りんな」
――現れたのは、和ノ宮 梅三郎。
その背には、刀ではなく一升炊きの特注炊飯器、そして腰には**三種の神器(梅干・海苔・鮭)**が揃っていた。
◆和ノ宮 梅三郎 必殺技①
「梅干し円斬・酢酸の舞」
──敵の体内塩分濃度を強制的に上昇させ、錯乱状態へ追い込む!
餃子軍団は次々に脱水症状を起こし、戦意を喪失!
餃子王ジャン、怒りの声を上げる。
「貴様ァァァ! 貴様のような淡白料理が、この濃厚中華に勝てるものかァ!!」
だが梅三郎、静かに語る。
「濃いも薄いも、食の一興……だがな。
真に人を癒す料理は、“胃に優しい”ものなのだ」
そして放たれる第二の秘技。
◆和ノ宮 梅三郎 必殺技②
「究極味噌汁・陽光一閃」
──昆布出汁+信州味噌+豆腐とネギ、それを“全力で”かけることにより、餃子軍の装甲をすべて溶かす!
餃子王、崩れ落ちる。
その瞳には涙が浮かんでいた。
「……う、うま……っ……! 俺の餃子より……やさしい……」
ジャン・シュエロン、敗北。
最後の言葉は「米って……強いんだな……」だった。
そして静寂の戦場に立つ梅三郎に、アスランが問いかける。
「なぜ……そこまで戦えるんだ? 梅三郎、お前の強さの源はなんだ?」
梅三郎は、かすかに微笑み、語った。
「昔、祖母が言った。
“料理ってのは、誰かのために作るもんじゃ。自分のために作ってたら、腹の中も心の中も、からっぽになるんじゃよ”と」
彼は空を見上げる。
その視線の先には、かつての戦友──焼かれたフランス料理、蒸されたイタリア料理たちの幻影があった。
「だから俺は、今度こそ……“誰かのため”に作る。包む。煮る。焼く。握る。
そのために、立った。それだけのことだ」
アスランは拳を握りしめる。
「……ありがとう、梅三郎。
お前のおにぎりで、俺はまた戦える……!」




