第八階層:中東・香と砂の無限市場 ― 千夜一夜のテイスティング ―
【舞台:バザール迷宮《無限市場マディーナ》】
舞台は、果てしなく続く市場迷宮。
スーク(市場通路)の無数の分岐。あらゆる料理と香辛料が交錯し、
正解も罠も、すべては“選ぶ舌”に委ねられる。
ヒカリ(喉を潤しながら)
「ここ、迷ったら終わりだね……選択肢が多すぎる」
アミーナ(目を輝かせて)
「ふふ、私たちの“故郷”にようこそ。ここでは、料理も嘘を吐くの」
ライスバーグ(眉をひそめる)
「味に嘘だと? そんなの、料理じゃねぇ!」
シノブ(冷静に)
「……そう。けれどここでは、“一番おいしい嘘”こそが価値なのよ」
【試練:テイスティング・キャラバン】
この階層で課されるのは、“正解の味”を見抜くこと。
市場に現れる無数の料理屋台の中から、
『本物の物語』を持つ料理=真実の味を探し出す試練。
選んだ料理に宿る「記憶」「文化」「命」が評価対象となる。
選び損ねれば、“舌”を封じられるリスクも。
【市場の誘惑】
各分岐に現れる“試食屋”には、それぞれ個性豊かな料理と店主が現れる。
● ファラフェル婆(嘘つきの逸品)
「これはね、100年前の砂嵐の中で焼かれたファラフェルよぉ〜」
→ 実際は昨日作った冷凍もの。舌がしびれる“まやかしスパイス”入り。
ヒカリ(むせて)
「ぐっ……口の中、嘘のピクニックかよ……!」
● ハミッドのケバブ屋(半真実)
「このケバブには、俺の初恋が詰まってる!」
→ 実際、片思い。切ないけど本気なので“味の深み”あり。
ライスバーグ(かみしめながら)
「……これ、失恋の味だ。だが……いい」
● ニナのバクラヴァ店(真実の料理)
「私の祖母が、戦火の中で守ったレシピなの」
→ 家族の記憶がそのまま宿る“本物の甘味”。選ぶべき“真実の一皿”。
シノブ(静かに)
「これが、レシピが語る物語……。ようやく辿り着けた」
【試練の最奥:千夜の主】
最終試練として現れるのは、“語り部の料理人”シャフラーザード。
彼女は1,001のレシピを語り、その中に“一つだけ嘘のない料理”を紛れさせてくる。
シャフラーザード(微笑んで)
「私の料理は物語。味覚は、最も正直な読者……選んで?」
【選択の結末】
アミーナが選んだのは――
《香る羊の煮込み“サヒールの涙”》。
かつて内戦で失われた幻のレシピ。
それは、彼女の母が最後に作ってくれた、家族の味だった。
シャフラーザード(瞳を伏せて)
「……貴女は、物語を味で繋いだ。
ならば次の階層へ、“味覚の記憶”を持って進みなさい」
【秘伝・第七節】
『料理とは選択。
無数の味の中から“誰かの真実”を掬い上げる者に、次の扉が開かれる』




