第二章:「麻婆の嵐、ドルマの誓い」
中華料理帝国──。
その首都、**味覇都**では、全世界料理統一記念の祝宴が開かれていた。
豪奢な回転テーブルの上には、全長3mの北京ダック。蒸気を立てる小籠包の滝、エビチリの海。
その中央に座すのはもちろん、中華の皇帝にして「五香将」の長、**麻辣尊**であった。
「フランス料理、完食済み。イタリア料理、完食済み。日本料理……自己消化済み。ふっ……我が中華を止められる者など、いまやどこにもいない」
周囲の料理臣たちが腹を打って笑う。
「我らは香辛料を超えた存在──“食覇種”なのだ!」
しかしそのとき、味覇都の城門を叩く音が響いた。
ドン。
ドン……!
「なんだ? 新たな献上か?」
門番が開けると、そこには一人の男が立っていた。
風になびくチェルケスカ(民族服)、手には丸く包まれた不思議な料理。
「名乗ろう。アゼルバイジャン料理の使者、アスラン・ドルマグル。これが我が民族の誇り、
**“バスマティ・インフェルノ”**だ──!」
男の声が響いた瞬間、彼の手の中のドルマが淡い金色のオーラを放ち、空気が焦げた。スパイス魔法——**「ハルヴァ・フィールド」**が展開される。
「な……なんだ、このスパイス圧……!?」
味覇都の兵たちが咳き込み、鼻を押さえる。中華料理の強烈な香りを打ち消す、馥郁たるミントとラムの香りが空間を制圧していた。
アスランは静かに言い放つ。
「我が民族の料理は千年の歴史と他国の融合で磨かれた“混成料理”。中華よ──我々の誇りを、食べてみろ」
そこに立ちはだかったのは、中華帝国が誇る五香将のひとり、「麻婆の将軍」フェン・ユンレイ。
彼は両の拳に麻婆豆腐を纏い、灼熱の唐辛子魔法「紅蓮煮込み拳」を放つ!
「この熱さに、異国の豆など耐えられるかァァ!!」
「……豆ならこっちも得意だ!」
アスランは愛用の銅鍋を構え、反撃の必殺技を叫ぶ!
「ドルマ・ラグナロク――!」
ぶつかる両者の一撃。弾け飛ぶスパイスと豆腐、吹き飛ぶ香草の嵐。その爆風の中、城壁にひびが入った。
──戦いは、始まったばかりだった。
キャラクター紹介(続編に向けて)
アスラン・ドルマグル
アゼルバイジャン料理の戦士。誇り高く、実直な性格。武器はドルマ(ブドウの葉包み)と各種スパイスを駆使した戦術料理魔法。
口癖:「俺たちのスパイスは、魂に効く」
フェン・ユンレイ(麻婆の将軍)
五香将のひとり。全身に火辣の呪文を刻み、麻婆豆腐と融合した肉体を持つ。
必殺技:「紅蓮煮込み拳」「花椒の舞」
皇龍・麻辣尊
中華帝国の皇帝。すべての料理を取り込み、「真なる完全中華」を作ろうとする狂気の支配者。
禁断の料理魔法「天帝炒飯」を持つ。




