Ep.56「birds of a feather」
「――翠玉君」
「ん? あれ、凛さんだ。鍛練お疲れ様、皇彌さんすごく厳しい――」
「……君は……、皇彌君のものだよね?」
「は?」
「……」
「なにそれ。どういう意味?」
「……いや。……なんでもないよ」
「……」
「……じゃあ」
「凛さん」
「……なに」
「僕はゆと君が大切だよ。僕は彼みたいにいろんなひとを平等には好きになれない、僕の一番は皇彌さんだけのものだから、それが覆ることはないけれど。……それでも、ゆと君は大事」
「……何が、……言いたいの」
「ハニーさんはまあ、いいとして。――凛さんはなかなか手ごわいからね、一応」
「……回りくどい言い方をしないで、……はっきり言いなよ」
「ふうん、あっそ。じゃあはっきり言うけれど――」
「……」
「ゆと君のこと、傷つけたらただじゃおかないから」
「……」
「守り切れなくても一緒だよ。ゆと君の体に傷のひとつでも増えたら僕はあなたを許さない……体だけじゃない、心もだからね凛さん」
「……それは、僕の台詞でもあるのだけれど……」
「は? なにそれ、僕がゆと君を傷つけるって? ――ありえないよ」
「……大した自信だね」
「とにかく、そういうことだから。――ゆと君のこと、〝ちゃんと〟大切にしてね凛さん」
「……」
「なに?」
「……皇彌君が、言っていた通りだね……」
「?」
「……すごく、……生意気だ」
「――っふ。ははっ、同じ穴の狢ってやつだよ、凛さん」
「……」
「僕からはそれだけだから、じゃ」
「……」
「……危険な子だなあ……」




