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寝坊って嫌ですわね。

誤字脱字等あれば報告いただけると嬉しい限りです。



「…様、クロリス様!」



 夢はいつの間にか消えてしまい、自分の名前が呼ばれ現実で目を覚ます。



「うぅん…スミス…?」



 まだ目の前がぼんやりしているけど、よく知る顔が映った。私のことをクロリスと呼ぶ使用人は数人しかいない。ふあぁ…と私は欠伸をしながらその名を呼ぶ。外をみると既に空は青い。

 夢をみると寝た感覚は薄くなるが、今日は特にそうだった。



「もう皆様起きていらっしゃいます。クロリス様が起きられないことは珍しいと思い様子を見に来たのですが…」


「あはは…癖ってなかなか治らないのよね…」



 じとっとした目を向けられる。苦笑いのような笑い方をするしか私は出来ない。どうせ結婚していないのだし、もう婚期は逃しかけているし、別にいいではないかと思う。私は寝ている最中、偶に寝相が悪く着ているものが脱げていたりする。今日はそこまでではない。ネグリジェなので中の下着が脱げていたりするだけだ。



「なぜ…まぁいいでしょう。朝の支度は私が致しますので、早く起き上がってくださいませ。」



 催促されると私はゆっくり起き上がる。スミス以外は私がいる時間に寝室に来ない。だから知っているのはスミスと王宮の侍女の数人だけだ。のんびりとしていると私も怒られてしまうので寝起きで動きずらい体をなんとか動かす。昔からの付き合いなのでスミスは主人である私も叱るのだ。



「今日からよね、あの二人の教育…はぁ。王子はまだいいわ。頭は弱いけれど国王陛下の勘の良さを受け継いでいる。問題はティファーレ嬢ね、学園にもこちらから通うのよね?」


「ええ。そういうことになっています。朝食後、すぐに馬車で登校するようですね。レイ様は別の時間で行くようですが。」


「レイは今日、遅めでもいいのかしら?」



 スミスなら予定を把握していると思い聞いてみる。

 この国の学園は自分の選択した授業を受けることとなる。必修科目の単位と選択科目の単位、学期末のテストの合計点数が基準値を超えれていれば進級できるシステムだ。授業は基本あるが、こうして偶に空いている時間も存在するのだ。普通、その時間も学園で過ごすがレイは一限目が空いている時は屋敷にいることが多い。



「そうですね。あとは、ティファーレ男爵令嬢が「一緒に行きませんかっ?」とお誘いなされていたので、それ避けるためでもあると思いますよ。」


「…っふふ…」



 真面目な顔してまま声までそっくりにして教えてくる。笑うなという方が無理だろう。頭の中にそのときの光景がありありと浮かぶ。笑っているとメイクが出来ないのでしばらく笑っているとスミスに注意された。

 メイクといっても私はそこまでしない。パーティーやお茶会など公の場ならともかく自分の屋敷内で完璧にする必要はないと思っているからだ。



「さあ、終わりましたよ。他の皆様は既に朝食を食べ始めていますので。」


「そうなのね。今日、私はだいぶ遅めに起きてしまってみたい。」



 髪を緩くハーフアップにして白と黒のリボンで留めている。メイクもしているので人前に出るのは問題なさそうだ。




 ◇




 食堂に着くといるのはレイだけで既に二人はいなかった。レイも食べ終えており、食後のコーヒーを飲んでいた。



「あ、おはよう御座います、クロリス様。今日は遅かったですね。」


「おはよう、レイ。夢を見たからかしら。全然起きられなかったのよ。」



 レイがこちらに気がつき挨拶をする。軽く会話をしながら私も席へと座った。

 朝食は基本ワンプレートで軽く。パンにスープ、サラダ、フルーツが基本。それに好みで追加をしていく。好き嫌いはあるが私は特に朝はない。今日は自分でサラダをパンに挟むようで切り込みがあった。



「レイは王子達と一緒には行かなかったのね、どうして?」


「どうしてもこうしても…一応二人は想い合っているんでしょう?そこに入るのは気まずいですよ。それに、」


「それに?」


「…ティファーレ嬢の態度が苦手というか、王子がいるのに僕の方に来てほしくないんですけど…」



 気まずそうに目を逸らすレイ。それが普通の反応だ。でも、ティファーレ嬢の周りは違う。



「学園でも見たでしょう?ティファーレ嬢の周りにいた人はどんな反応をしていたかしら?」


「彼女のような天真爛漫な少女は見たことがない、可愛い、とかですね。新鮮だとは思いますが、貴族としてのマナーを無視して成り立つ行為です。いい顔はされないでしょう。」


「そういうものよ。新しいものが来たとき、人は受け入れてそれをいいものと思うか違和感を感じるか。人それぞれだとはいえ、学園ではそのバランスが少し変見たいね。思春期だからなのかしら。」


「思春期…ってなんですかそれ?」


「色々考えて影響されやすい年頃のことよ。それよりも、私としては学園の様子を見たいわね…。」


「えっ、来るんですか?」



 驚いたような顔をされた。何を想像したのか、顔がすごいことになっている。多分、私が学生として来ると思ったのだろう。そんなことは流石にしないし無理がある。

 学園に行ってみたいとは思うが方法をどうするか。少し悩んだところでいい案が浮かび、私は朝食を終えると馬車に乗った。



 行き先は王宮。国王陛下のところである。



今日は気力があればもう一話投稿します。

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