プロローグ前編
「ロイド君、ここはあなたみたいな子供が来るところではありませんよ
もう少し大きくなってから来てくださいね」
ここは冒険者ギルド
酒臭い大人たちが一日中騒いでいる場所だ
そこに14歳になったばかりで少し汚い姿のロイドが受付嬢に追い返されていた
「俺だってゴブリンだって倒せるのに
字も読み書きできるのに
俺はもう子供じゃないのに、、、」
子供だと言われたことが悔しくて泣きそうになる
入ってから帰るまでに浴びさせられる罵声もさらに悲しくなった
悲しくなるにつれ、今までの生活がフラッシュバックしてくる
気が付いたらスラム街で住んでいた
お世辞にもきれいなところとは言えないが、スラムに住んでいる子供や住んでいた冒険者たちが世話してくれたおかげで死なずに生きてこれた
そんな事情もありここに住む子供たちはみんな兄弟みたいになっている
他の子供たちと同じように町のごみを集めたり、弟、妹たちの世話をする生活をしていたある日
冒険者になってスラム街を一緒によくする夢を分かち合った親友が病気で死んだ
様々なところに頭を下げに行ったが、お金がないために助けられなかった
悲しかったが、あいつの分も冒険者で稼ぐぞ、高みを目指すぞという決意が固まった
「兄ちゃん、俺に剣を教えてくれ!
兄ちゃんみたいにここのスラム街の兄弟たちのため、冒険者になりたいんだ!!!」
冒険者の兄ちゃんたちに生きる術を教えてもらうため剣を教えてもらいにいった
最初は断られたが自分の決意を伝えると隔週で教えてもらえるようになった
「最初この木刀で素振りをしておけ
コツは力任せにしないこと
丁寧にコツコツと練習しろ
それができたら敵をイメージして動きながら剣を振れ」
そう言われたので、コツコツ空いてる時間をすべて素振りにささげた
時には疲れすぎてやる気がなかったり、街のチンピラに笑われたりと挫けそうになった時もあったが、そんな時はいつも親友の顔が浮かんだ
そのおかげで立ち止まることなく毎日素振りやイメージの練習ができた
10歳になった頃には木刀でゴブリンを倒せるようになっていた
それを兄ちゃんに伝えると
「次は魔法を教える
剣もまだまだだが、ずっと挫けずゴブリンを倒すことができたんだ
魔法を少し覚えるだけで冒険者になった時に楽になるぞ」
と言われ身体強化の魔法や、生活基礎魔法の火や水生成の魔法を教えてもらった
これがすごく難しかった
これには兄ちゃんが感覚で使ってたというのもある
手こずっていたら次の日、冒険者仲間の女の人を連れてきてくれた
その人の教え方がよく、比較的すぐ覚えることができた
「これを覚えたらあとは毎日使えなくなるまで使い続けなさい
そうすると魔力が増えていくわ
魔力はあればあるほどいいもの」
よくよく聞けば、兄ちゃんに魔法を教えた人でもあり、パーティメンバーらしい
兄ちゃんよりも覚えが早いと褒められた
14歳になる頃には同い年の子たちよりはかなり強くなっていた
ずっと準備してきたのにギルドから追い出されて何も言えなかった自分が情けない
こんなんじゃスラム街に帰れないと思っていたら
「おい、坊主、こんなところでどうした?
ギルドは泣き虫が来るようなところじゃないぞ」
どこかで聞き覚えある声が外のほうからする
顔を上げてみるとそこには兄ちゃんたちがいた
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