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チャンス

「最初から説明すると、君達はとある事故によって今生死の狭間を彷徨っている訳だ。

 別にこっちは誰も助けるつもりなんて無かったし、何もしなければ全員御陀仏で終わってたんだけどね?

 そこで別の『ヤツ』から待ったがかかったんだよね」


 いきなり話し始める仮称『死神』に話が理解できていないような他の面子を見て、自分の頭が冷えて行くのを感じる。

 下手に口は挟まない方が良さそうだ。

 しかしながら、ここには空気と言うものが一切分かっていない男もいるのだ。

「何で俺たちじゃ無いといけなかったんだ!」

 ライトの馬鹿はどうやっても治らないらしい。


「特に無いけど?理由なんて」


 その言葉に誰も声が出せなかった。

 まあ、それはそうなるだろう。

 ある程度さっき迄の言葉で分かってはいた。

 しかし、実際に言葉にされるのと、頭の中だけで存在するのとでは意味が違う。

 まあもしかしたら、ライトの奴は意味が無いなんてかけらも疑って無いだけだったのかも知れないが。

「話の腰を折って悪かった。続けてくれ」

 俺はそう言って続きを促した。

 俺にとって大事なのは、誰が生き残るか決める、この言葉だけだ。


「ホントにいいの?何か他の子は言いたそうだけど?」


 どうだって良い。

 聞いたところでどうにもならないなら聞かない方が楽で良い。

「どうにも出来ないんだろ?

 今の状況もお前がさっき言ってた事も、もう決定した事で、俺達にはどうしようもない事なんだろ?

 じゃあ聞く意味が無い」

 俺が言うと死神の顔中に喜びが走る。


「面白いね。

 じゃあ手っ取り早く行こう。

 待ったをかけた奴は3人生かせと行ってきてね。だから3人迄は生かして返すから、君達で決めて欲しいんだよ。

 こっちはあまり誰それを決める権限が無くってね」


 そこで死神は少し言葉を切って、俺達の顔を見た。

 値踏みするように。

 いや、実際に値踏みしている。

 権限が有ろうが無かろうが、実際に生かすのは目の前のコイツの仕事だ。

 だから俺は笑ってやった。

 引き攣っていただろう。

 でも笑った。

 ようやく、やってきたんだから。


「まあ腕っ節で決めようとすれば男が有利だし、運の勝負はこっちの介入が有るからね。

 だから指名制で決めてもらうよ。

 誰を助けるか君達自身で決めるんだ」


 随分と甘い。

 でも助かった。

 こっちの方がよっぽどチャンスが有る。


「指名できるのは2名まで。自分も指名出来るけど、2名の指名を同じ人物には出来ない。

 自分に2票は無理って事だよ。

 じゃあここに砂時計を置いて行くから、それが落ち切るまでに決めてね、それより後は無効票だから。

 上位3人が助かる。同率は無しだから気を付けてね」


 じゃあね。と言って死神は姿を消した。

 後に残された俺達はもう出来る事は一つしか無かった。

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