ミリアムの衣装室
短くて申し訳ありません!
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薄桃色のタフタで幾重にも重なったフリルが可憐なドレス、それは丁寧に織られた白地に小花柄のテキスタイルのドレス、紺のストライプに夏の草花が刺繍され爽やかな印象のサマードレス。
ここ最近のミリアムの衣装部屋は華やかだ。
三人の魔女達が見立てたあのミントグリーンのドレスを見たカパローニ侯爵家の面々は、翌日には仕立て屋を邸に呼び、ミリアムのドレスを仕立てさせた。
生地や意匠を決めたのは主に母タチアナと兄レオナルド。ミリアム自身に決めさせると地味な方向に行ってしまうので、今回は口を挟ませてもらえなかったが、自分では選ばないであろう色や形のドレスはどれも新鮮だった。
「今日はどのドレスをお召になられますか?」
侍女がいくつか候補を選び、ミリアムに尋ねる。
鏡台の前に腰掛けたミリアムは、窓の外に目を向け思案する。今日は朝から日差しが強く、気温が上がりそうだ。幾重にも重なったフリルやしっかりと織られた生地のドレスは暑いかもしれないと思い、少し薄めの軽い生地で首の部分はレース生地を使用した水色のドレスを選ぶ。
選んだドレスを侍女が手早くミリアムに着せると、やや癖のある胡桃色の髪は編み込み、襟足もスッキリと纏め上げ、仕上げにドレスと同色のリボンを飾る。
「とてもよくお似合いですよ。ようやくミリアムお嬢様がご自身を着飾ることに目覚めて下さり、感激です」
ミリアムの幼少期から付いているベテラン侍女はやや涙ぐみながら目を細めると、その様子を見たミリアムは苦笑する。
「大げさよ。でも、そうね。踏み出してみるとそんなに大変な事ではないのよね。相応しくないと思い込んでいたけれど、こうして季節に合わせた毎日の装いを考えたりって楽しいものだったのね」
「先日仕立てたドレスも届いております。どれもきっとお嬢様にお似合いになりますよ」
「お母様とお兄様が見立てて下さったドレスね。2着ずつで4着だったかしら?」
先日母と兄に意匠と色を確認されたドレスを思い浮かべる。確か4着用だったはずだ。
「いえ、5着でございます」
「え?確かに4着だったと思うけど…」
不思議に思い衣装部屋を確認する。
母と兄と確認したドレスが4着に、見覚えのないドレスが1着。
「お姉様のドレスが紛れてしまったのかしら?」
「いえ、どれもミリアムお嬢様の寸法で作られております」
「そうなの?じゃあ、お母様かお兄様が追加なさったのかしら?後で聞いてみましょう」
ミリアムはチェストの上に置かれた、繊細な装飾の施されたお気に入りの時計を確認し、そろそろ朝食の時間だと自室を出て朝食室へ向かった。




