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双子の流星  作者: はぎま
南へ
7/38

コスト。

 

 森の中を歩いていると、リゼルが立ち止まる。

 お腹に手を当てて首を傾げていた。


「あれ? お腹が空かない」

≪竜星と繋がっているからな。栄養不足は解消されるぞ≫


「へぇー。楽で良いね」


 食事の時間を短縮出来る。

 リゼルにとって嬉しい報告だった。

 山菜を採りに行かなくても良いし、罠を張って小動物が掛かるのを待つ必要も無い。

 食事の準備が面倒で、食事を抜く事もよくあった。

 そのせいで華奢な身体になってしまったのだが…


≪今は無駄な戦闘は控えた方が良いかな。容量が低い≫

「容量?」


≪竜星を使うにはコストが必要なんだよ。リゼルの容量を3としたら、【炎】【氷】【雷】【成長】がコスト1。俺に至ってはコスト5だ≫

「えー…じゃあ容量を増やすには?」


≪竜星を使いまくるか、魔物を倒して魔石から力を得るか、リゼル自身が強くなるか…だな≫

「……むぅ」


 リゼルにとって、竜星を使うのは良い。

 だが魔物は戦った事が無い。

 魔物は魔石というエネルギーの塊を体内に内包した生物の総称。

 戦闘力は、最低50。


 戦闘力が5のリゼルにとって脅威な存在。

 例え竜星があったとしても普通の女の子だ。

 恐いものは恐い。


 それにリゼルは竜変身以外の努力をした事がほとんど無い。

 せいぜい家事程度。

 腹筋は一度も上がらない。

 腕立て伏せも同じく一度も上がらない。

 武器なんて解体用のナイフくらいしか持っていない。


≪リゼル…頑張れ≫

「努力…怖い」


 リゼルが顔を顰めている。

 余程嫌なようだ。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「……」


 森を抜け、リゼルの目の前には大地の裂け目のような崖。

 もう夕方に差し掛かる時間。

 低い角度から射し込む太陽の光が、崖の底を更に暗くしている。


 向こうの場所へは百メートル程。

 一メートル飛べるかどうかのリゼルにとって、絶望的な幅だった。


≪……リゼル、竜星変身使えば良いんじゃないか?≫

「……えっ」


 リゼルは衝撃を受けた。

 先に言えよと。

 そうすればわざわざ森を歩く事も無かった。


 恨みがましい視線をカイに向けるが、カイは黙ったまま。


 リゼルはもう、どっと疲れてしまったので木の上で眠る事にした。


「カイ…魔物が来たら教えて…疲れた。寝る」

≪はぁ…了解≫



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