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双子の流星  作者: はぎま
竜星の力
3/38

緋炎竜。

 

「あれ? 大きくなっているし…なんか色々赤い…」


 リゼルは自身の変化に理解が追い付かない様子で少し混乱していた。

 視点が高くなり、髪は赤い。

 赤いドレスをヒラヒラさせながら緋色の竜翼をまじまじと眺めていた。


『ひゅふ…ひゅふふ……良いね良いねぇ、良い戦闘データが取れそうだ』


 魔導機兵が喜びに満ちた声を響かせながら、左腕をリゼルに向ける。

 左腕の先端からギュルギュルと回転する機械音が響き、白い光が収束していく。


≪リゼル、来るぞ≫

「あっ、うん。えっと……こう、かな」


 リゼルが両手を魔導機兵に向けると、緋色の炎が出現。

 炎が回転し、球体になったところで…

「えいっ」

 炎の球体をぶん殴る。


 ぶん殴られた炎が高速回転しながら魔導機兵に向かう。

 構えた盾に衝突した瞬間…


 激しい火花が散る。


 衝突しても回転が衰える事はなくギュルギュルと音を立てながら盾を熔かしていった。


『何? 魔鋼銀の盾が熔けるだって? ひゅふっ、魔力シールド展開!』


 魔導機兵の盾が白い光を放つ。


 すると回転していた炎が失速。

 徐々に小さくなり、消失した。


 炎が消えた事に中の男は安堵を浮かべたが、前方にリゼルの姿は無かった。

 魔力の波を飛ばし周囲を索敵。


『――上か!』


 上空に視点を向けると、竜翼を広げ両手を魔導機兵に向けるリゼルの姿。

 広げた右手を上に、そして広げた左手を下に構える型は竜の顎のようで……


「本当にこれで良いの?」

≪あぁ、やってみろ≫


 緋色の竜翼から炎か吹き出し、炎の竜翼へと変化。

 構えた両手から、緋色の炎が溢れてくる。


「燃えろ…スカーレットブレス!」


 ――ゴォォオオオ!

 構えた竜の顎から放たれた緋色の炎。

 ドラゴンブレスのようにうねりを上げて魔導機兵へと向かう。


『ひゅふっ、魔導砲』


 リゼルに標準を合わせ、白い砲弾を放つ。

 魔力を収束したエネルギーの塊が緋色の炎と衝突。


 一瞬の拮抗。

『――何!』

 だが直ぐに白い砲弾は炎に呑み込まれた。


 白い砲弾を呑み込んだ炎は眼下に立つ魔導機兵を直撃。

 緋色の火柱が上がる。

 ダーグを運んでいた兵士達が吹き飛ばされ、ダーグも離れた所に投げ出された。


「……疲れた」

≪初めて竜星を使うからな…上出来だよ。でも…まだ終わっていないぞ≫


『ひゅふっ…ひゅふぁふぁふぁふぁ! 凄い! 凄いよ君はぁ!』


 嫌な笑い声か響き渡り、火柱から白いエネルギーが漏れだしていく。炎の檻を抉じ開けるように徐々に光が大きくなっていく。


 やがて白い光が火柱を弾き飛ばし、魔導機兵の姿が現れる。

 黒い装甲は熔けドロドロになっているが、駆動部分は生きている。


『リミッター解除!』


 装甲に張り巡らされた白いラインから光が溢れ、高速でエネルギーが循環。

 魔導機兵内部の稼働音が増大。


 無理矢理に戦闘力を上げ、リゼルの竜星変身を上回る。


「どうしよう…強くなった」

≪仕方無い…三つ行くか。リゼル、次は炎に雷を合わせろ≫


「解った。【炎】【雷】【成長】…竜星変身」


 轟音と共に緋色の稲妻がリゼルに落ちた。


 バチバチと周囲に電気が走り、リゼルの姿が現れる。

 雷を纏う緋色の竜翼。

 髪は少し黄色味が入り、朱色に近い。

 瞳の色は赤と黄のオッドアイに変化した。


「…炎雷竜・スカーレットライザー」


『ひゅふ…戦闘力が一万を超えるなんて! 欲しい! 欲しい欲しい欲しい欲しい!』


 魔導機兵が盾を投げ捨て、両手をリゼルに向ける。

 ガシャン! 両手が合わさり大きな砲身に変化。

 白い光が砲身に集まっていく。


 リゼルは両手を向けブレスの構え。

 バチバチと、雷を纏う炎が形成されていく。


「スカーレットライザーブレス!」


 上空から放たれた雷を纏う炎。


 赤い稲妻が落ちるような激しい音を響かせる。


『――超魔導砲』


 大きな砲身から放たれた白いレーザーが、周囲を白く染めながらブレスに衝突。


「くっ……これ…キツい…」


 炎雷のブレスがバチバチと白いエネルギーを侵食していく。


『まだ戦闘力が上がるのか! あぁ…不味いな、壊れる。兵士達ー! 撤退だー!』


 ボシュッ。魔導機兵からカプセルが射出。

 待機していた兵士の元へと飛んでいく。


 その瞬間…


 勢いを増したリゼルのブレスが魔導機兵に直撃。

 雷で内部を焼き付くし、炎が装甲を熔かしていく。


 やがて、魔導機兵が熔けてドロドロになった。


「はぁ…はぁ…勝った…けれど疲れた」

≪お疲れさん。子供の身体には負担が大きいからな。ゆっくり休めよ≫


 リゼルの変身が解け、子供の姿に戻る。

 その瞬間全身が筋肉痛になったような痛み。


 立っていられずにその場でペタリと座り、疲れた顔を兵士達に向ける。


 兵士達はカプセルを開け、内部から取り出した男性を抱えて逃げ出していった。


『ひゅふぁふぁふぁ! 覚えてろぉー! 絶対次は負けない!』


 兵士に抱えられた軍服の男が捨て台詞を残し、撤退していった。


「……」


 後で見ていた竜人達は、呆然とリゼルの戦闘を眺め……


「「「うぉぉぉおお!」」」


 自分達の勝利に雄叫びを上げる。

 大人達は素直にリゼルを褒めていたが、子供達は畏怖の表情を浮かべる者も少なくない。


 リゼルはそれをチラリと見て、フラフラと立ち上がり自分の家へと歩き出した。


「……はっ! リゼル! 待ってくれ!」


 我に返ったデリカがリゼルに走り寄る。

 戸惑いながらもリゼルを呼び止め、振り返ったリゼルから無機質な視線を受けたじろいだ。


「…族長、生きているよ」

「えっ、あっ、親父!」


 遠くに投げ出され、倒れていた族長ダーグが痛みに顔を顰めながらリゼルを見ていた。

 デリカが駆け寄り周りの大人に救護を求める。


 大人達も我に返り、ダーグの治療や現状確認に奔走。



 リゼルはダーグに軽く一礼して、その場を去った。


 称賛も、賛美もリゼルにとって意味は無い。


 力を手にしたリゼルの行動は、もう決まっていた。


紹介。


【緋炎・スカーレットドラゴン】

【炎】【成長】の竜星変身


能力値

攻撃・D

防御・F

速度・B

体力・F

魔力・B

特殊・B+

潜在値・C


戦闘力・7000

技・炎撃・スカーレットブレス



【炎雷竜・スカーレットライザー】

【炎】【雷】【成長】の竜星変身


能力値

攻撃・D

防御・F+

速度・B

体力・F+

魔力・B+

特殊・B+

潜在値・C


戦闘力・10149

技・スカーレットライザーブレス、炎擊、雷擊、炎雷擊

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