#1 看護師までの経緯
憧れの看護師になりたくて看護学部看護学科に入学して、看護を学び病院実習を全て最高単位を取得してきた。そして明日はいよいよ看護師国家試験。
「鞠花、明日の国家試験絶対に頑張ろうね」
「うん! 一緒に看護師になろうね」
私、星川鞠花は、いよいよ明日看護師国家試験を受験する。
集大成の病院実習を終えて、この国家試験に向けて努力してきた。試験範囲とされている【人体の構造と機能、疾病の成り立ちと回復の促進、健康支援と社会保障制度、基礎看護学、成人看護学、老年看護学、小児看護学、母性看護学、精神看護学、在宅看護論及び看護の統合と実践】をひたすら勉強し続けた。
いよいよその頑張りを試すとき。夢の実現まであと一歩。その試験が行われる会場前につき受付を済ませ試験が行われる場所に案内された。
黒板に予定が書かれていた。
【午前の部】 9時50分~12時30分
【午後の部】 14時20分~17時00分
遂に運命の1日が始まる。
◇◆◇◆◇◆◇◆
看護師国家試験合格発表から2か月後……
新人教育のしっかりしている第1希望だった病院の新人看護師としてイキイキ働いている鞠花の姿があった。
「鞠花ちゃん、いよいよ夜勤解禁なんだって」
先輩看護師であり鞠花の指導看護師の中川瑠璃が声をかけた。
「瑠璃先輩、聞いてください! 新人教育頑張ったんですよ」
「らしいわね、師長が言ってたわよ。今年の新人は可愛い顔してなかなか根性があるわねって誉めてたもん」
「凄く意地悪だったんですよ! こういう症例の場合はどういう対処しますか? って聞かれて答えたら、「そうですね。その後考えられる急変は?」とか「その処置は?」もうね、看護実習生に戻ったかと思っちゃいましたよ」
「あはは。あの教育担当看護師長、ねちっこいもんね。鞠花ちゃんご愁傷さまぁ~~」
「もう瑠璃先輩、ちゃんと聞いてますか?」
「うんうん聞いてる聞いてる。トップ成績だったらしいじゃん。ウチの病棟看護師長喜んでたわよ。自慢してたもん」
「そうそう、その新人教育が終わったら新人ナース夜勤デビュー&初担当患者受け持ちだもんね。期待してるよぉ……鞠ちゃん」
会話に割り込んできた先輩看護師の中野千里。
「千里先輩、お疲れ様です。頑張ります」
新人看護師として病棟に慣れるため新人教育を受けて病院の様子にも少しずつ慣れてきた新人看護師、先輩看護師の優しさに包まれて憧れの看護師の道を歩みだした鞠花だった。