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ユウシャバスター  作者: ゆったり彩's
第1章「この異世界に転移したのが間違いだったのだろうか」
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捜索:「敵はどこにいる?」

「この村にユウシャがいるんですね…。どうやって探しましょう、レイジくん?」


知るか。

アホみたいに村中の家を総当たりでもしてろ。


エゼットがオレに聞いたときは既に行動を開始していた。

手近な木の上から、屋根づたいに移動。

いつも通りできるだけ高い場所に陣取って、空から不審者を探す。

住人が全員幼女なら幼女じゃないヤツを見つけりゃいいだけのハナシだ。





「ありゃ、もういない。はぁ…またわたしは置いてけぼりなんですね。」

きっとレイジくんはレイジくんなりのベストな捜索手段があるのでしょう。

それを是非とも教えて欲しかったのですが、彼の運動神経にわたしがついていけるとはとても思えません。


仕方ないのでわたしはわたしの方法でユウシャを探しましょう。



「村中の家を総当たりでまわればきっと見つかりますよね…。」



村を見下ろしていた崖から降りると、すぐそこに小さな関所のようなものがありました。

きっと外部の人はあそこから村に入れということなのでしょう。


「こんにちは、おねえさん!こんなむらにくるなんてものずきだね!」


関所でわたしを出迎えてくれたのは8歳くらいの女の子でした。

窓口から顔を覗かせ、屈託のない笑顔で見つめています。


門番の役割を与えられているのでしょうか。体格に似合わない無骨な装備を纏っています。いざとなればこの子が不審者と戦う一番槍なのですね。


「ごようじはなーに?おかいもの?それともだれかにあいにきたの?」

彼女は透き通った瞳でわたしに聞きました。


「ここに怖い人が来なかったか、調べているんです。何か心当たりはないですか?」

ユウシャが周辺に潜んでいると知れば、村の女の子たちを怯えさせてしまうので、敢えて口には出しませんでした。


いえ、むしろ子どもたちは戦いの準備を始めるかもしれません。子どもが戦うということはとても辛くて悲しいことです。


…。


それだけは絶対に避けなくてはなりません…!


「ここさいきんでこのむらにきたのは、おねえさんだけだよ!」

小さい門番さんは元気よく答えてくれました。

肝心のユウシャの情報は得られませんでしたが、まだ焦る必要はないでしょう。


「『りーだー』にきけばわかるかも!むらでいちばんおっきいたてものにいるよ!」

…おや、全くムダってこともなかったみたいですね!


門番さんにお礼を言い、わたしは『リーダー』というかたを探しに村に入りました。




ぱっと見た感じ、他の村に引けをとらない具合の平凡な村に見えました。

大工仕事をしている娘がいたということは、女の子たちが一からこの村を作ったということなのでしょうか。

それも失踪事件が始まってからの短期間でこの出来栄えです。

どれだけの苦労があったか、想像には難くありません。

妄想の具現(リアライズ)の恐ろしさを改めて実感しました…。



この世界にやってきたユウシャは、多くの場合自分の足でギルドに向かい、クエストのターゲットとして、対象エリアにおびき寄せられます。

向こうの立場からすれば、冒険者として仕事を請け負ったはずが、まんまと罠に嵌められるわけですから驚きですよね。


でも少なくない頻度でギルドに頼ろうとしないユウシャもいるのです。当然のことながら、そのままこの世界に溶け込んでしまって発見が遅れます。


そんなとき、潜伏しているユウシャを探す指標にもなるのが妄想の具現(リアライズ)です。

現実離れした異常事態が起こっている場所にはユウシャがいる…と協会は提唱しています。


狂ってしまった世界に困っている人のもとへ向かい、ユウシャを倒して解決する。

ここだけ聞くとまるで協会は正義のヒーローですね。


…わたしは正義のヒーローになれていますか…?






一人の幼女が伝令に走った。

「ゆーりさま、がいぶからのらいきゃくです。ふしんなじんぶつをそうさくしているそうです!」


『ゆーりさま』と呼ばれた少女は、玉座に腰かけたまま微笑む。

「ふーん、協会かな。どこまで勘付いてるかな…?」


「使えないヤツなら寄越さない方がマシだけどね。」

小さなため息が室内にこだました。



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