あっさりした答えと確認
「目が覚めたと思ったら何かされて、気絶させられたの。二度寝と言えば二度寝かな? そして次に目を覚ましたら私は凡人になってました!」
言い切った。やりきったみたいなどや顔をナマリとミラに見せ付けるフィリア
「え!? 終わり!?」
「うん、回想終了」
「シンプルだな」
「纏め過ぎじゃないですか? もうちょっと深掘りしましょうよ」
ナマリの言葉にそれもそうかとフィリアは首をコキコキ鳴らして咳払いして、改めて口を開くが、そのまましばし固まった。
「ど、どうしました?」
「…………って何か言おうとしたけど、気絶させられた奴らも心当たり無いし、どうやって力を取られたかも分かんないや」
拍子抜けした言葉の返答に場の空気が砕けた。
「真面目な会話が一向に始まらないな」
「会話が進展しない!」
ミラの言葉にナマリも痺れを切らしたような声を上げる。
「でも私の力を無くしたのか、奪ったのかで事は大きくなるね」
…………はい? とナマリはフィリアの方を向く。
それを聞いてミラは確かにそうだなと相槌を打つ。
「ナマリ、私の力はラスボス級だよ? 大魔王とまで呼ばれてたんだよ? ミラはその様子だと色々と知ってるのかな?」
「ある意味有名だからな。だから私たちの組織が管理するように綯った訳だが、まずは本当に力を失ってるか確かめる必要があるかもな」
そう言ってミラは立ち上がると食事してたスペースから離れて手招きでフィリアを誘う。
「え? ミラはずっと疑ってたの?」
「嘘を付いてるようには見えないが念のためだ。確認を済ませたらすぐ本部へ連れていく」
「えー、痛いのは嫌だなーー。もうこりごりなんだけど……。わかった、手加減してね!」
そう言って渋々フィリアはミラの方へ向かう。
「せ、先輩。いくら何でも……」
「ナマリ、お前は食事の後片付け頼むぞ。あと、帰還ようのヘリの手配もな。それと、これくらいは常識だ。隙を付かれて殺されることもありえる。覚えておけ」
ミラの言葉にオロオロしてるナマリを見てフィリアは微笑む。
「ナマリ、今回はミラが正しいと思うよ。直ぐに初対面の人は優しくても警戒しなきゃね」
そう言ってミラに何でもこいと言わんばかりに合図を送る。
「さーー、こーい! 痛いのだけは止めてね~~!」
「とりあえずこの程度で良いか。いくぞ」
ミラはフィリアの方を人差し指と中指で指差すと指先の先端から魔方陣を展開させ、火炎弾を放った。
「無詠唱の陣式魔法かぁ! って火炎弾大きくない!? ってか早っ…………!?」
わたわた何やら言いながら火炎弾を手で受け止めようと右手を差し出したフィリアだが、火炎弾はフィリアの手に触れるのと同時に爆音をあげ激しく爆散した。
「先輩、加減間違えてませんか!?」
「彼女なら防げると想定して威力は調整はしたが……」
…………返事がない、彼女は火炎弾と共に爆散したようだった。