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第7話 ブサメン勇者に会う。(下)

 うめしゅんと違って筋肉がついてるわけでもないので、春川あやなは限りなく本人に近い印象だった。化粧っ気がないので、女優のプライベートという感じ。

 そして、その顔の下にはFカップが法衣やコートを押し上げ自己主張している。


 ちょうどこの前テレビで『おっぱいセパタクロー』というやや古い映画が放送されていて、ずるずる最後まで観てしまったぼくにとっては、その主役だった春川あやなはとてもタイムリーな芸能人なのである。

 高校の弱いセパタクロー部が大会で優勝したら顧問をしている春川あやなのおっぱいが見れるという約束をして超頑張るという内容で、合宿で山籠もりしたらすぐ近くに国際的テログループのアジトがあって、なんだかんだでテログループを壊滅させるというハチャメチャなものだった。

 内容はさておき、春川あやなは可愛くて、おっぱいを強調した服装もとても良かった。

 で、映画で一番大事なおっぱいが見れるのかどうかのシーンは、結局事件が大きくなり過ぎ大会には出場できなくて、おっぱいはおあずけってなかったんだよね~。

 何だよそれ! って思わず天を仰いだよ。家族の前で。父とともに。


 ハッ! そのおっぱいが目の前にあるっ!

 あのおっぱいを見るためならぼくも頑張るわー! とテレビを観てる時思っていたおっぱいが。

 今のこの状態ってミラクルチャンスじゃないの?

 見るどころか、ツンツンも出来る! うわー、ツンツンしてもいいのかな? いいとも!

 いや、やっぱりダメだろ。でも、少しくらいならいいかも。どうなんだろう?

 神様に聞いてみよう。

 か・み・さ・ま・の・い・う・と・お・り……ってどっちをツンツンしていいか決めてなかったわ。

 ええい、もうツンツンしちゃえ。


 いや、待てよ。伸ばした指先を慌てて引っ込める。

 仮にツンツンしてる最中に《時間停止》が消えたらどうなる? しばし考える。


 突然現れたブサメンに胸をツンツンされていたら、当然春川あやなは絶叫するよね。

 で、隣の勇者のうめしゅんにも当然見られる。

 再度《時間停止》をかけて、妖精を持って行って再会……って、無理無理!

 うん。リスクが高いから止めておこう。

 取りあえず勝手に《時間停止解除》した原因を調べてからにしないと危険過ぎる。

 ここは一先ず見るだけで我慢しよう。


 実際時が流れていたら30分くらいはガン見した後、後ろの人達に注目する。


 「あー、見たことある」


 3列目の2人組も男女のペアで、女性にしては背が高くコートの下に紺色のローブを着ているのは有名モデルだった。

 確かCyuncyunか、runrunだかの女性ファッション誌の表紙を毎月飾っていたと思う。

 ローブを着ていて右手に白くて細い棒を持っていることから魔法使いだね。

 顔が綺麗系なので、首と手首に高級そうな装飾品を付けた魔法使い姿はとてもよく似合うのだが、弱冠白い棒がプラスチックみたいで安っぽくそこだけ浮いている。

 ぼくの持ってる映画のレプリカの棒と交換したほうがずっと見栄えがよくなると思う。


 その横の男性を見る。

 うん、おっさんだね。まゆげがやや下がり気味で、人の良い部長って感じ。現在はやや緊張して辺りを伺っているので、急に社長に呼び出されたって感じがする。

 コートの下は春川あやなのような法衣だったが、向こうは白に対しこちらは薄い緑色。春川あやなの上司的な僧侶なのかもしれない。

 右手には先端に緑の宝石が付いたバトンくらいの鉄の棒を握っている。ああ、ロッドとか言ったっけ。

 そして、なぜか左手に火の灯ってないランタンを持っている。

 灯が消えた瞬間? 消えてるのに気が付かないのかな? でも、今って昼だし、謎だ。

 一応細かいウネウネした文字が書かれているので、魔法の道具なのだろう。

 効果が全く想像できないので、妖精を連れてきた時に聞いてみよう。


 最後の4列目は男性の二人組で盗賊と戦士だ。

 後ろを気にしている盗賊は1列目とほぼ同じ黒い装備で、顔がシュッとしてるややイケメンだ。

 大学生くらいの年齢だろうか。

 背はぼくと大体同じくらいで、彼だけ手ぶらで行動している。

 ベルトに小さめのダガーが左右に3本ずつ装備されてるので、投げる人なのかもしれない。

 戦闘中に6本投げちゃったらどうするんだろう? 隙を見て拾いに行くのかな?


 その隣の戦士の男は名前は憶えてないが、バラエティー番組で1・2度見たことがあるプロレスラーだった。

 こちらも元の世界とは違い、顔にはやや大きめの刀傷がある。

 コートの下は犬の毛のような茶と白のまだらの皮鎧で右手には斧を持っていた。

 戦斧と言うより薪を割ったりするサイズで、刃の両面に魔法陣が彫られているが2m近い体格の男が持つ武器としては小さ過ぎると感じた。

 左手には使い込まれたごつい黒鋼の盾を持っていて、両の手の手袋は灰色で青い魔法陣が描かれている。

 

 以上8名が妖精を救出にきた勇者のパーティーだろう。

 妖精の所に帰って聞いてみよう。


 「へ? うめしゅんって誰ですか?」


 あ、そっか。こっちの世界では名前が違うのか。

お読みくださりありがとうございます。

次回は勇者の視点になります。

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