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第1話 ブサメン高校生死す。

 ぼくは工業高校に通う3年生。

 午前の授業の終了を告げるチャイムが鳴り、先生が教室から出ていく。弁当持参者はカバンからいそいそ取り出す。ぼくもその弁当持参者の1人だが、まだ出さない。


「おい、ラード! 今日はマクドな」


 前髪をいじりながらクラスメイトの吉田が言ってくる。

 ちなみにラードとは、眼鏡で太っているぼくのあだ名で、当初は眼鏡ラードだったのが、いつの間にかラードになっていた。別段コンタクトに変えたわけでもないのに、あだ名から消えることもあるんだね。


 1年の時に吉田が名付けて以来、先生とわずかばかりの仲の良いクラスメイト以外は全員そう呼ぶ。たまに話したこともない他のクラスのやつまで、廊下でニヤニヤしながらそう呼んでくる。


「吉田はダブルマックか。じゃあ、俺は…」


 吉田の取り巻き二人衆のちびの鈴木と山田も注文する。


 ぼくは1年の2学期からこいつらのパシリをしている。

 この工業高校は1科1クラスのため3年間同じメンバーなので、ぼくはずっとパシリである。まだ半年ある卒業まで続くだろう。


「おい、ラード。これ金」


 吉田は変えたばかりの新しいブランドの財布から3千円出す。

 吉田の家は、半農のぼくの家と違って金持ちで有名だ。

 なぜなら、父親は土建屋と設計事務所を経営しており、別荘にはシャガールの絵がかかってるらしい。偽物だったら面白いなと思ったが、今のところ真偽に関する話は聞かない。


 吉田にお昼代金を出してもらってへらへら笑っている鈴木だが、その父親も吉田のとこで働いてるらしいのでずっと子分だろう。

 山田は2年の終わりまで柔道をしていて、そのがたいの良さから用心棒みたいな存在だ。

 たまに、アピールなのかシャドーボクシングの真似事をしている。


 買い出しに行くために廊下を歩いていると背中をバシッと叩かれた。

 見ると話したこともない奴が、やはりニヤニヤしながら「パシリお疲れさん」と手を挙げた。


 ただ、正直今日の買い出しは嬉しかった。

 実は今日発売の漫画雑誌に、こっそり応募した漫画賞の発表が載っている。

 描いてるうちにノッてきて、規定の31ページを大幅に超えてしまったが、そこは熱意と取ってくれることを願おう。


 おっと、信号が青に変わる。

 右にコンビニがあるが、先にマックに行ってから帰りに寄ろう。

 ぼくはガラス越しに見える雑誌の裏表紙のグラビアタレントを見ながら、横断歩道に一歩足を踏み出した…………。





 一瞬眩い光に覆われた。

 なんだ?と思った瞬間、辺りは乳白色の広い世界になった。コンビニもなければ、笑顔のFカップも消えている。

 そして、無音。


 驚く事が起こると人はフリーズするらしい。長い長いフリーズ状態から、ようやく力の抜けた「へ?」という言葉をがぼくの口から出た。


“志村、後ろ”


 頭に直接声が響いた。

 驚きながら後ろを見ると、全裸の男性が立っていた。

 ややオジさんだが、白人特有の彫りが深く、味のあるタイプのイケメンだ。いわゆる、チョイ悪オヤジ。

 頭の上に金色の輪があり、背中から翼が見えるが、そんな事より神様の立派なムスコに目が釘付けである。


“私は全知全能・神セブンの中の生命神である”

“実は今回神セブンの宇宙神のミスにより、本来なら日本に落ちる事のない隕石の落下に巻き込まれて、お前は絶命した”


挿絵(By みてみん)


 ごめんなさい。

 神様の立派なムスコが気になり聞いてませんでした。

 すると、上記の言葉が再び頭に響いた。


 要約すると、神様のミスでぼくは死んだので、復活させてあげますよという事だった。

 しかもお詫びとしてなにやら超能力をくれるらしい。

 

 いやいや、こんな機会滅多にない。

 どうせ復活させるんならイケメンにしてください。

 スマートにして、頭も良くして、家の畑から石油出して、逃げたポチーを帰してくださいよ。

 あ、それより、えーと…ぼくの包茎・短小を治していただけませんか?

 できれば神様みたいな立派なムスコにしてください! とお願いした結果、神様からこのようなお言葉をいただいた。


“イケメンには無理だ。肉体の変化は神規定により認められない。よって整形しろ”

“スマートも規定により認められない。よって運動と食事制限をしろ。膝の負担を考えるなら水泳がいいぞ”

“頭の良さも規定により認められない。よって塾に通え”

“畑からは石油は出ない。よって近所で購入しろ”

“ポチーは余所でセバスチャンとして飼われている。本人の幸せを考えればそっとしてやれ。それになぜポチじゃなく、ポチーと伸ばすんだ。おかしいだろ”

“肉体の変化は認められない。よって包茎は手術しろ。お前の場合は仮性なので、保険はきかないぞ”


 有難くて涙が出る。

 さすがは神様だ。

 でも、まだ短小問題が残っております。

 最後に付け加えたように感じるかもしれませんが、実はこれが一番深刻なんです。

 どうすればいいでしょうか?

 雑誌の広告に載っている1cmや2cm伸びたところで、ぼくにとっては焼け石に水。のれんに腕押し。あと、なんだ。


“ええい、うるさい。今、考えておる”

“……お前の短小の解決方法は、地球では無理だ”


 そんなーーーーー!!

 まじかーーーーー!!


 ………!?

 地球では無理って事は、地球以外なら解決方法はあるんですか?

 もしかして宇宙? 仮性だから火星とか?


“いや、異世界だな。例えば魔法のある国ならば、あるいは……”


 キ、キターーーーー異世界! 魔法! 夢の国!

 行きます!

 短小問題が解決するなら! というか、魔法のある国なら全部叶って帰れる気もしますが、神様どうなのでしょうか?


“分からん”


 ですよねー。

 何でも神様に聞いてちゃダメですよね。

 良し、決めました! 復活は魔法のある国でお願いします。

 あと、超能力くれるって言ってましたよね? それって、どういう超能力ですか?

初めまして。

下ネタ入ってますが、読んでいただきありがとうございます。


神様との会話はこれにて終了です。

閑話を1話はさみ、第2話は冒頭から異世界に再生します。


読専でしたが、書いてみたくなり参加させていただきました。

稚拙な点はご容赦ください。

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