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白薔薇と交わした血諾
二〇一七年五月二十五日
枚数重ね白い花弁を纏った薔薇
黒刻に咲き誇る多数の白薔薇。
その華美な容姿とは裏腹に、白薔薇は歪で湾曲した刺々しい多数の茎を従えていた。
歪に絡んだ鋭い棘を持つ茎は白薔薇を囲み、私の行く手を阻んだ。
夜の黒雲に姿を現し始める青白い上弦の月。
月光に白く輝く薔薇達は残酷であり、美しかった。
私は無心で茎を掴んだ。
ぷつっと手のひらに棘が貫通し、激痛で我に返る。
反射的に手を引きそうになったが、激痛を堪えて茎を握り直す。
手首を通じて滴り落ちる私の血液は、その美しい一輪の白薔薇を赤黒く染めていった。
その薔薇の花弁を一枚一枚丁寧に染め上げた。
私は低い声で呟いた。
私は体の一部を削り、闇と契りを交わした。
渋谷にて