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モノクロストーリー
モノクロストーリー
人はショックが強くなりすぎると視界から色彩が消え、一時的に聴覚が失われるという。
人は激怒すると心が焼けるような感覚を覚え、周りが見えなくなるという。
気を失ったり、心変わりしたり...。
人生よりも人間自体の方が奇なり。
人の中には闇がある。
その闇が強くなると人は変わる。
筋肉の構造も、人相も変わる。
だから私は待つ。
闇の中で光が降り注がれると信じて。
必ず光が私を輝かせてくれるだろう。
鮮やかな色でさえ、その目映い光にはかなわない。
その光は鎧の様に固く、重い体を立たせ。
私の体に入り、心を清くする。
眉間に皺を寄せていた私の表情は柔らかくなり、尖った瞳は暖かくなる。
私は輝き放つ白い生糸のローブを羽織り、天高く浮かぶ。
そして私の様に闇に苦しむ人々に光を注ぐのだ。
平和と栄光を望み。
その時が来ることを、私は祈り待つ。