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「せ、せつなさん?何言って…」
『全部、本当の話…。だけど、この世に未練が残りすぎてた。あのまま、母のもとを離れるなんて出来なかった。そしたら…。なーに?泣きそうな顔してんの~?笑ってよ…。何も出来なかった私を笑ってよっ!!』せつなさんの目から涙が溢れた。
「…。」僕は何も言えなかった。せつなさんが僕の頬に触れる。
『朔…。大きくなったね。』
「姉…ちゃん…?」
『元気そうで本当に良かったわ…。お母さんはね、毎日私と朔が写った写真を眺めてるの。見てられないの私は。そんなお母さんを…。会いたいんだと思うの。朔に…。お母さんに会ってあげて…?お願い…私のことも伝えてほしい…。』
「姉ちゃん…」
『朔が叫んだのは驚いたけど、私の声も姿も見えるなんてねっ。』せつなさんは、涙を拭いて笑っている。
「ゆきな姉ちゃんなんだろ…?」
『ふふっ。そうよ?今川雪那が4歳の時の名前かな。ごめんね。“せつな“なんて嘘ついて…。バレるのが怖くて、上からこっそり朔とお父さんの様子を見に来たかったから…。』
その時、ゆきな姉ちゃんとお母さんの記憶が頭の中をよぎった。僕の目からは涙が溢れだしていた。
『朔…?愚痴はたっくさんあると思う。だけど、楽しいことは、その100倍あるわ…。だから、私の分も生きて…。じゃあ…そろそろ行くね…。』姉ちゃんは、立ち上がった。
「行くって何処にいくんだよ!?」僕も立ち上がった。姉ちゃんは、空を見上げた。
「やだっ。行くなっ姉ちゃん!!」姉ちゃんは、少しずつ透明になっていく…。
『もう、待ってくれないみたい…あっ。これ、住所。お母さんの。じゃあね、朔…。何かあったら、ここで叫びなさい。そしたら、私が話、聞いてあげる!』姉ちゃんは、笑っていた。
「やだよっ!姉ちゃんっ!」僕は、姉ちゃんの腕を掴もうとしたが、もう遅かった…。
「ゆきな姉ーちゃんっ!」僕は叫んで、崩れ落ちた。
後日、姉ちゃんからもらった、住所を頼りに母のもとを訪ねた。
母に、姉ちゃんのことを話すと泣き崩れた。そして母は、僕のことを強く抱き締めた…。
その帰り、森へ向かった。
「 あ ゛ ーーー!」僕は叫んだ。 誰にも聞こえないように。森の中で…。
姉ちゃんだけに聞こえるように…。
これが、僕のある夏休み。
僕の声が空へ飛んで君という星に届くように…。




