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魔術師は皆、可変重力場で遊ぶ。

作者: がらんどう

自作小説の魔術設定を小説風に書きだしたものです。

わりとランガージュの部分は適当なのでツッコミは受け付けないスタイルです。

「魔術師達は皆、可変重力場で遊ぶ」

  

  

   Interlude    



 ヘイ!そこの君。なんだかもの言いたげな顔をしてやがるなベイベー。私?俺のことなんかどうでもいいんだよ!僕はいつだって真面目だ!一人称だって可変するんだ!ヴァリアブルだぜ!

ーーーそんなことはどうでもいい。我が輩が何者なのか?なんてどうだっていいじゃないか?なあ君?知りたいんだろ?あれのことをさ。ん?あれって何だって?………馬鹿言っちゃあいけないよチミチミィ。わかってるんだろ?………既にさ………。某は君のその態度を見越した上で声をかけたのだよ!興味ないふりして実は興味津々♪その眼が物語っているんだYO!

 瞳孔は嘘をつけない。

 開ききっているよ君の絞りは。今なら、高感度のフィルムじゃなくても夜空の星が撮影できるネ。レリーズ解放しまくり。昼間ならマッシロさ!何も写らない。

 ………話が逸れたね。本題へ戻ろう。今から君は奇跡を目撃する!グッタイミンだよ!君の知りたがっている情報だ。しっかりと受け止めたまえ。………見返り?そんなものはいらないYO!君はただ黙ってこの情報を受け止めてくれればいい。………ってことで、いくぞ!ネクストステージッ!魂を加速させろ! 



   Lesson1 “How to be a MAGI Part 1”   



 さあ、講義の始まりだ。君が何故魔術師になりたいかどうかなんて知ったこっちゃないが、まあ、一応言っておこう。


 《魔術師なんぞエゴイストの塊で、くそったれの視野狭窄型似非インテリ野郎の集まりだ!》


 ある種、珍走族w的な位置づけだ。君の世界に照らし合わせると。そんなものになろうとすることはとても正気の沙汰とは思えない。解るだろう?そんな奴らは結局、それらしいことをして一人前になったと勘違いして調子に乗って、運が良ければ官憲に捕縛され、運が悪ければ集団リンチの餌食だ!

 イヤッホウ!気分は最高!と思った瞬間に奈落の底まで一気に墜落って感じだ。つまり、言いたいのは二つ。ひとつは魔術師志望者はロクなもんじゃないって言うことと、そういった奴らの集まりはもっとロクなもんじゃないっていうことさ。

 だが、君は違。何故かって?アーハン?解っているくせに。話の裏を既に読んでいるんだろ?そうさ、話の裏、すなわち第三の答えは、


 《魔術師にはなるべくしてなる》


 ってことさ。望んだ所でどうにかなるものでもない。下手に憧れちゃあ痛い眼をみる。そう、これは運命なんだ!宿命なんだ!君のそのやる気の無い、興味の無い眼がいい!いや、興味はあるが、それをおくびにもださないその態度がいいんだ。

 えっ?運命論で片付けられちゃああまりにも可哀想だって?志願者が?………確かにそうだが、寧ろ幸せだよ。辛いことばっかだからさこの稼業は………でも別にチャンスがゼロだなんて言ってないぞ先生は。運命論だというならば、その運命をつかみ取るがいいさ!因果律をねじ曲げろ!それが出来れば志願者も晴れてスタートラインに立てるって寸法さね。

 とりあえずまあ、そのへんのルートで魔術師になる奴のことについてはまた別の機会に話すとして、まずは君だ。なるべくしてなるルートでの魔術師になる方法論って奴を伝授しようじゃないか!






   Lesson 2 How to be a MAGI Part 2   


 


 セイ、ホーヲッ!(ホーヲッ)

 セイ、ホッホッホゥッ(セイ、ホッホッホゥッ)

 セイ、ホホホイホゥアッ(セイホホホイホゥアッ)

 スクリーィィィィィィィィィンムッ!(歓声。溢れんばかりの絶叫)


 ふいーっ。いい汗かいたぜ。さすが本場のコールアンドレスポンスは違うぜ。やっぱ、こちらの挙動にいちいち反応するあの適度なウザさが堪らなくいい感じのヴァイヴスをかもしてるぜ………。


 オッス、オラ○○。名前なんてどうでもいいな。好きなように呼べ。言っておくが常識の範囲内でだぞ。まったく、今日びの若い衆は好きなようにって言ったら本当に好きなように呼びやがるからな………高等教育とか初級教育とか以前にしつけの問題だよなー。政府はその辺のことをふまえて政策を論じるべきであって、とってつけたような教育改革なんざ結局の所なんにも役に立たねえ。税金無駄遣いだよ、この税金ドロボー!税金払ってないけどな!

 うわっ!また話が逸れちまったな。お前を魔術師の道に導く○○だ。呼び名は決めたか?何?ヒツヨウナイ、メンドクサイだって?セーッッッッッイッッッッせっかく命名権を授けたのに何ということだ君は!与えられた権利を行使しないなんて君は馬鹿だ!なんだ!牛か!反芻しているのか?それを!………何?ケンリニハギムガショウジルガジブンハソレヲリコウシテイナイシ、マタソレガナンデアルカシラナイシ、リコウスルキモナイカラケンリナンテシッタコッチャナイだって?なにを言っているんだ。せめて空白を開けるなりしろっっ!漢字変換しろとまでは言わないからさっっ。


 ………まあ、君の言うことにも一理ある。確かに、僕は君に権利を与えたが、そもそも、その権利には義務が必要不可欠であるにもかかわらず、その義務を一切君に提示していない。与えられた権利に対し、疑義を差し挟む余地は充分にある訳だ。しかも、義務が提示されたからと言って、権利を行使する必要性すら、怪しいものなんだ。

 権利を行使することは、義務を受け入れることであり、それは、自分より上位のものを設定し、それに従うということになる。あり大抵に言えばそれは社会にあたるだろう。社会という機構は君の上位にあり、君を拘束するとともに自由を与える。義務を履行する限りにおいて。

 庇護を受けるには自由の拘束が不可欠だ。権利義務という概念は、それに依拠する。ならば、それに囚われてはいけないんだ。だって魔術師になるんだろう?魔術師は、何者にも縛られない。寧ろ、縛る側になるんだ。他者に対し権利と義務を与え、自分の庇護下におくこと………君は世界そのものになり、今ある世界に成り代わるんだ。

《のを手に入れろ!》

   

 ということで、君は合格だ。人のルールを簡単に受け入れるような奴は魔術師なんかにゃなれやしねえ。自分がルール。新世界の創造だ。僕のチンケな権利に騙されちゃあいけない。甘い誘いだ。与えられる権利の裏にある君に対する僕への強制服従………それを見抜いた今なら君は翔べるさ!


 ………なんせ魔術師が立ち向かうのは世界だ。まともな神経じゃやっていけねえ………


 《己がセカイを構築せよ!されば、汝、因果律をも変容せしめること可なり》


 わかったか?つまりだ、魔術師ってぇのは、自分を規定する世界の束縛から脱却し、自分自身がセカイとなり因果律を掌握し、今ある世界に成り代わることを最終目標とする者のことを言う。例えて言うなら被造物主から造物主へ、人から神へ成り代わるってことだ。………宗教臭くなってきたな。

まあ、解りやすいたとえは宗教的概念によるからな。誰もかも皆世界の在り方に意味を、法則を求める………その最大勢力が宗教だからな。宗教は嫌いか?好きでも嫌いでもかまわんが、魔術の形式化には、宗教における典礼が強く絡んでいるものもある。知っておいて損は無いさ。

 ってぇことでお次は魔術師に必要な諸概念だ。こいつは、知っておいて損は無いって程度のことだから、話半分で聞けばいい………っていうか、逆に囚われすぎても却って害になることも多いからな………多すぎる知識は豊穣な知恵の発現を阻害することもあるからな。

 っっと、列車の時間だ。続きは後で話そう。シーUネクスト対夢!





    Lesson3 Some concepts and Some reasons for W-craft   



 

 みょんみょんむにょーんふよんふぁーっっっっンゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴスパーン!


 ………列車はいいなあチミ。心が洗われる。次々と景色のパースペクティヴが変わっていく………ヴァニシングポイントはどこだ………高速で走り去る世界と反して自分自身は静かに座席に腰を下ろし、静止した状態で世界を見つめる………魔術師の世界観みたいじゃないか?いつだって世界は他人事だらけさ。自身とは無関係に、無意味に通り過ぎ去る一瞬一瞬の時空の煌めき………

 ………ふう、どうも列車は我が輩の心をポエミィな色に染めてしまうネ!きっとその色はブルーだ。憂鬱の青だ。何?聞いているこっちの気分がブルーだって………?うん、解ってる。すぐに追いつくから、少し待ってて。………我が輩、結構繊細なのよね。傷付いた。ガラスのハートが。このダイアモンドカッタースポークンワード使いめ。スクラッチノイズが止まらない………えっ?そんなことはいいから話を続けろって?んっんん!そうだな、そろそろ始めようか。

 っっと、その前に、答え合わせだ。冒頭の擬音が表す光景だ。《みょん〜ふぁーっ》は、波打つ送電線の動き。んで、《ンゴゴ〜スパーン》はトンネルに入って出た感じの光景だ。意味の無い者だと思っていた君!そう、そこの君!どうだね?意味があると知ってびっくりしたかね?何?びっくりしないだって?………エークセレンンンンット!そうだ!そいつが真の正解だ!人の注釈、すなわち、意味付けに構うなってことさ!魔術師の基本だネ!さあ、復習も終えた所で、本題、いってみよ!


 長い前置きは終り、新しい話が始まる。日没が始まりで、日の出が終わりだ。魔術の諸概念も結局の所、怠惰に続く長い前置きの様なものさ。本題よりも、それを語る状況それ自体の方に意味があるってことさ。関係ないと思って聞き流してはいけない。メーテルリンクの青い鳥は自分たちのすぐ足下にあるってネ!違うか!どうなんだ俺?どうよ、君?


 オウッハッ!まずは心象粒子についてだ。何?いきなりわけわかんねえ造語だされちゃあ困るって?ノンノン、そんなことじゃあこの先やってらんねえぜまったく、イマドキの若ぇ衆は………いいか、心象粒子っていうのは、魔術を解りやすく説明するために作られた概念だ。粒子だなんて呼称しやがって疑似科学みたいだなんていうなよ?そんなのこっちでも解ってんだからヨ………。いにしえより、様々な魔術行使の体系、つまりは様々な宗教、哲学における世界の解読、定義ってもんは、おんなじモンを対象にしているのにバラッバラだ。これは、無数に分岐した枝葉のようなもので、こんがらがってしまって、幹までたどり着けねえほどに複雑化してしまった。相似の部分も多いが違いも多い。それぞれの関係性が複雑になりすぎて見えにくくなっているんだ。そこで、魔術行使の概念としてある種物理学における統一場理論の様なものが作られたんだ。そいつの根幹となる概念、扱う対象物が心象粒子ってやつなのさ。まあ、物理学における素粒子みたいなモンと考えてもらえればいい………ホントは全然ちがうけどなっ!


 さて、複雑化した魔術の体系を纏め上げるために考えだされた心象粒子は、魔術師が世界に対抗して構築する新たなセカイを構築する最小単位と定義される。こいつは、反物質みたいなもんさと考えている奴もいる。まあ、その辺は個人で勝手にやってくれって感じだ。こいつは、簡単にいえば、


 《存在を構築するもの》


 といえる。魔術の基本は、精神世界の事象を現実、すなわち物質世界に反映させる営為といえるから、そのために必要な媒介、精神と物質を橋渡しするものとして考えだされたんだ。存在は精神と物質の両方にまたがっているからな………うってつけの概念だ。こいつは昔、アストラル体やエーテルと呼称されてきたものと同義だ。ソッチのほうが解りやすいっていうならそいつを使え。この辺は自由だ。あくまで魔術は個人の自由だからな………まあ、ある程度の他人との共通項を知っておかないとそもそも個人の自由はわかんねえからだいたいこんな感じの他人との関係性を提示しますけど何か?ってぐらいのモンだ。そんな感じの態度で臨め………。


 さて、この心象粒子だが、こいつが構築した存在はその存在強度によって、世界に与える影響力が変わる。大別して、存在強度の弱い魔術を《概念魔術》、強い方を《実体魔術》という。


 世界への影響力っていうのは干渉度と言い換えてもいい。どれだけ強制的に、世界を、つまり因果律をねじ曲げられるかってことさ。


 《概念魔術》は、相手の精神に働きかけて、その結果、物質的な影響を与えるってプロセスを経る魔術だ。何?分け解んねえって?………ハァ、まったく、仕方の無いヤツだな………例えば、だ。対象物を燃やすといったことを考えてみるぞ。

 ものを燃やす。こいつは、炎を生成すれば出来ることだな。ここでは物理学的な生成過程は無視して、炎という存在をイメージして、心象粒子によって構築すると考えろ。こいつは、その《炎》という概念を対象の精神に叩き込む。すると、その概念を叩き込まれた対象は、精神世界から物質世界へ《炎》という概念を伝達させ、《燃える》という物質的、現実的な事象を引き起こす。こいつは、相手の精神に干渉するものだから、その対象以外には作用しない。概念魔術で作られた炎は他のものに延焼することは無いってことだ。ニセモノの炎って感じだ。

 《実体魔術》は相手の精神を経由しないで、直接、世界に事象を引き起こすものだ。例に習えば、つまりは、本物の炎を作り出し、相手に叩き込むってわけだ。こいつは、実際の炎を物理的な生成過程、つまりは、化学的な発生手順を無視する。因果関係のねじ曲げ度においては概念魔術とはダンチだ。たとえば、「炎ちゃん、いらっしゃーい」っていうだけで炎が創れちゃうって感じだ。

 すげえだろ。事象の過程において物理法則を無視しつつ、結果においてはちゃっかり物理的な影響をいただくっていう奴さ。まあ、因果律をめちゃくちゃぶっ飛ばす分、リスクも高いけどな!下手すりゃ死ぬぞ!覚えとけ。死神の鎌はひたすら重く、なまくらで、一瞬にして、軽く、鋭利になり、君の魂は、肉体から切り離されたことすら解らないまま死に至る。


 ………なんだか、真面目に話しすぎちまったな、ちっとここらで一休みといこうか。再開は一時間後。飯でも喰ってろ!アディオス!





   Break time , speak like a child   



 何だ君?君もここで飯を食うのか?まあいい、ここはひとつおごってやろうじゃないか?ただし、丼ものに限るぞ。定食は懐に厳しい。飲み物はひとつだけ、後は水だけ飲んでろ。………暇だな。

 

 ………少し、与太話でもするかい?


 今までさんざ君に魔術についての講義をしてきたわけだが、まあ、参考までに、こういったことを知っていると、人によっては理解しやすいと思われることを教えてやる。たとえば、構造主義だ。こいつは、簡単だな。二〇世紀の哲学さ。まあ、哲学以外への援用も多いが。ここで、重要な概念は、構造主義の言う《存在の相互依存構造》だ。

 

 構造主義においては、知っての通り、考察の対象となる主体そのものではなく、その主体を主体足らしめている周辺状況に、存在定義の重きを置くという観測方法だ。構造主義においては、絶対的な主体を想定していない。現実存在って奴だな。でだ、構造主義は、種々の物事の関係性、連関性によって、それぞれの存在が規定され、同時にそれぞれがぞれぞれの存在の定義を保管し合っているとしている。


 ………こいつは何かに似ていると思わないか?そう、世界と自己の関係を探求する魔術師の姿勢に似通っているのさ。

 世界と自己との関係を、構造主義的なアプローチを用いて探求することにより、自己を規定するものとの相互依存構造を発見し、その関係を利用して、自己から世界へ何らかの影響をもたらすっていうことだな。


 おっと、注文がまだだったな。カツ丼二つでいいか?否、君に拒否権は無い。なぜなら私がおごると決めたからには決定権は私にある。飲み物はウーロン茶だ。すんませーん、注文願いマース。


 あ、さてと、もひとつぐらい話でもするかな。今度は言語学やら精神医学だ。先に話した構造主義って言うのは、言語学のタームから発生したアプローチって言うのは常識だよな。そう、ソシュールの言う《ランガージュ》ってヤツだな。


 ランガーシュっていえば、すぐに思いつく言葉はアレだ、《ラング》、《パロール》、《シニフィアン》、《シニフィエ》だな。こいつも、魔術を解りやすくシステマチックに理解しようとするなら、ナイスな選択だ。っていうか、ほとんどの現代魔術は、根拠論理にこいつを用いている。


 まあ、要は、魔術の行使は、シニフィアン、シニフィエの関係性を恣意的に変更するってことだと考えることが出来るってわけだ。結構強引だが。

 シニフィアンを原因、シニフィエを結果と無理くり定義するなら、通常の事象の発生要因を恣意的に変更できるってやつだな。さっき話した炎の話だと、例えば、普通、炎という事象を発生しようとすれば、まあ、一番簡単なのはライターを使って起こすってことだな。火を大きくしたけりゃガス量の調整もしくは、何か可燃性のものに着火すればいい。こいつが魔術となると、さっきも言った通り、事象の発生原因を自分の自由にできる訳だから、例えば、「炎ちゃん、いらっしゃーい」って言うだけで、炎という事象を発生できるってわけだ。

 まあ、他にも自身の経験と世界の経験間の情報伝達を頻繁にし、それぞれフィードバックさせるってことも重要だな、もちろん、ネガティヴフィードバックもあるから、気をつけろってやつだな。

 情報伝達って言えば、自己と他人との境界を模索すると言った点で、ジャック・ラカンのいう《鏡像段階論》、《大文字の他者》、《小文字の他者》、メラニー・クラインの言う《対象関係理論》もいい感じのチョイスだ。なにしろ、こいつは、生まれたばっかりの赤ん坊は、いまだ、自己と他人の区別がつかず、ラカン的に言えば自らの鏡像を見ること、クライン的に言えば悪い乳房、良い乳房により自己が他者との関係性にて成立するってやつだな乱雑に言えば。

 この場合の《他者》って言うのは世界と読み替えてもオーケーだ魔術的にはな。まあ、《大文字の他者》自体が、世そのものを指すと考えられるし、人によってはこいつを神とおくものもいるだろう。ここで、重要な言葉をひとつ。


 《あなたが見る(小文字の)他者は、大文字の他者から見た自分だ》


 まあ、極めてこちらに都合良く理解しようとするならば、観測者と、被観測物の関係といえるわな。この場合における視線のやり取りは、回り回って、自己の背中にそのまなざしが向けられるってことだな。

 自分自身の背中を見ること。こいつははっきり言って不可能だ。鏡とか写真とはなしだ。そういった意味で、自己の能力のみで自身の背中を見ることは不可能である。しかし、我々は自身の背中を想像できる。他人の背中を観測することによって。自己の背中もあのようなものだと想像ができるってやつだ。しかしそいつはあくまで想像的なものであって、現実の背中を見ることは出来ない訳なんだが………まあ、ラカンにおいては、人間は象徴界から想像界の領域へ行くとなっているからな。人間の住む世界は極めて想像界に立脚している部分が多いんだろうね。詳細が語られなかった現実界についても、そいつに触れれば気が狂う、狂人は、現実界に触れてしまったから我々から見ると狂人に見えるのだ。現実に一番近づいているのはあちらで、そちらから見れば、我々の方が狂ってるんじゃないのか?っていうようなことなんだろうか?ここら辺は俺自身の希望的な推論だ。無視してくれ。

 魔術にいては、この現実界を《真理》と考えることも出来るかもね。真理に近づくものは真理を理解することは出来ない。しかし、真理を理解できるものは真理に近づくことが出来ないって言うやつさ。

 真理を理解しようとする魔術師が出来ることは、象徴界の理解および、想像界における想像化、それに使用するためにのぞき見る程度の現実界への関与だ。のぞきはこっそりとだ。見つかったら死神に殺され、見つからなくても、それに触れすぎれば精神を病む。そういった態度が魔術師の持つべき態度さ。

 ちなみに、現実界が垣間見えるようにする方法が次に説明する《結界》ってやつだ。そこでは、世界のところどころに皹が入っているように見えて、それはそれは面白い風景なんだが………おっ、カツ丼が来たようだ。続きは飯喰ってからだ!イートイーーーーーン

 




   Lesson 4 How to exercise the W-craft   



 シュッ、シュシュッシュッ。ヒョッ、ヒョッヒョッ。ズパーン。

 食後のエキササイズ、シャドーボクシングだ。ぶっちゃけ必要だべ、エミール………?エミールって誰だ?スミス?トラヴィス?………なんだか一瞬、別の人格になっちまった感じだぜ。敬愛し過ぎなんだな、多分。まあいい、講義の続きを始めるぞ。前回は………どこまでやったっけな?ええと、ああ、そう、魔術行使に関する概念を紹介したんだっけな。そうだったそうだった。まったく、年を取るとこうなるからいけねえぜ………ん?あんたいくつだだって?ンま!レディーにむかって、年齢を聞くなんてなんてぶしつけな子ナノ!キィーーーーーーーーッ!秘密よ秘密っ!………っていうか儂、女じゃねえし。おっさんだよ、君から見れば。だが、同時に君と同年代でもあり、若輩でもあり、未だ生まれず、そして既に死んでいるかもしれない。ひょっとして女かもな。………つまりだ、そんなことどうでもいいだろう?君の知りたいことはそんな些細なことなのか?違うだろう?


 ふうっ。ってことで、講義、続き、初めっぞウラーッ!

 

 んじゃあまず、《結界》についてだ。魔術の行使プロセスについてはもう説明したな。心象粒子を存在定義の基本単位として用いることで、精神世界から物質世界へ影響を及ぼす………この過程が、つまり、現実の因果律をねじ曲げた事象の発現を可能にする魔術の基本原理ってことだな。こいつを成すのに必要となるのが《結界》だ。

 《結界》っつーのは、言うなれば格闘技におけるリングみたいなもんだ。その、リング内においては、その格闘技の規定するルールを守らなければならない。誰でもだ。ルールを破ったらペナルティがある。そういった類いのもんだと考えてくれればいい。魔術の行使は、自分の今生きている世界に対抗して、新しい世界を構築することで、様々な因果関係を恣意的に設定できるようにするものだから、この《結界》っつーのは、《世界に対抗するための自分の世界》って感じだな。


 《結界》の構築によって、術者は、既存の、自身が縛られている世界かと決別し、自分自身が神となり自由に因果を設定できるようになる。こいつは、自分をいったん分解して、自分自身のルールで再構成するという過程を経る。自己否定ってやつと似てるかもな。生まれ変わるといいかえてもいいかもだ。とにもかくにも、《結界》は魔術を行使する際に、基本となる《場》だ。魔術師になるなら必須の技術だ。自分を中心にして、上下左右三六〇度球体が広がっていくイメージを持って展開するんだ。この辺は、まあ、実践あるのみだな。


 ところでだ、魔術っていうものは、別に、結界を展開しなくても行使できる。因果律をねじ曲げて現実世界に影響を与えるなら、先に説明した心象粒子の活用によって可能だ。別に結界が必須だとは言っていない。

 だが、だ。結界を展開しないで魔術を行使するとどうなるかっていうと、まあ、かなりの確率で、《世界の修正力》によって処理されるだろう。ん?《世界の修正力》って何だって?そうだな、さっきリングの話をしたな、結界はリングのようなものだと。結界をリングとするなら、君の存在している世界は社会のルールみたいなものだ。リング上では人を傷つけて殺してしまってもルール上は問題ないけれど、リングの外で、人を傷つけたり、殺してしまったりすれば、まあ、刑事処罰をうけるわな。………そういった話だ。

 世界が許容しない事象、つまり、世界の因果律にそぐわない事象は、その世界自体をひどく不安定にさせ、存在が危うくなる。そういった場合、その不安定の影響となるイレギュラーな事象、すなわち、結界を展開しない魔術の行使によって引き起こされた事象並びにそれを生み出したものは、世界によって殺される。一度狙われたらちょっとやそっとのことじゃあ逃れられない。こいつを俗に《死神》て呼ぶ。危険だかなりキテる。こいつをなるべく回避するために必要なのが結界ってわけだ。


 つまるところ、《結界》は安全に魔術を行使する為の世界の修正力に対する隠れ蓑、欺瞞装置ってことだな。だが、それだけじゃない。さっきもいったが、自身と世界を切り離した新しい世界とすることで、魔術の行使における威力、精度は極めて高くなる。そういった意味でも大事なもんだ。

 っても、結界だって万能じゃない。その、展開には膨大なエネルギーが必要だから、長時間展開するには相当の修行が必要だ。しかも、長時間の結界の展開は、結界の欺瞞効果を弱め、死神に見つかりやすくなっちまうからだ。だからよ、くれぐれも、引き際ってのをよーく考えておくんだな。熱くなりすぎて、世界に殺されるなんてまっぴらだろ?君?

 結界についてはこんな所だろう。まあ、世の中には例外ってのもあって、結界なしに魔術を行使しても、世界に修正されることの無いやつもいるもんさ。そういった奴らのことを《異能》って言ったりするがな。まあ、世界に愛されているんだろうそういった奴らは。魔術師達は世界に愛されているか?否!世界に反旗を翻した時点でダメに決まっているだろヴォケが!次はどうよ。魔術に使うエネルギーについてにするか。


 さあ、盛り上がってきて参りましたー。何?盛り上がってない?長い話でうんざりだって………?シャラァァァァッァァァップ!聞け、若人よ!Have you ever felt your own cosmo?

 どうでもいいさそんなことは。エネルギーだ!つまりパッションだ!情熱を持て!

 魔術に使用するエネルギーは、大別して二つに分けて設定、定義される。ひとつは、術者自身のエネルギー。もうひとつは、術者以外のエネルギーってやつだ。ここでは、シンクレティズムの用語を拝借して、前者を《オド》、後者を《マナ》と言うことにしよう。まあ、名前なんてどうでもいいけどさ。

 

 さて、《オド》についてだが、こいつは術者の体内で生成される生命エネルギーだ。こいつを生成する器官は誰にでもある。まあ、生命エネルギーだしな。生きてる限り、エネルギーはあるだろ。んでだ、重要なのがこのエネルギーを魔術に使用するための器官だ。こいつは《魔術行使器官》と言う。こいつは、誰にでもあるって訳ではない。しかし、こいつが無いと魔術を行使するための結界すら展開できない。だが、自分に《魔術行使器官》が無くても嘆く必要は無い。なぜなら魔術行使器官は、後付け可能だからだ。こういったものには、身体に埋め込む内蔵式のものと、外付けのものがある。まあ、内蔵式は、人によっちゃあ、オススメしない。だって、身体に無い器官を新たにいれるんだぜ?背中に羽が生えるみたいなもんだ。脳のコントロールが出来ねえよ!人によっちゃあ、大丈夫らしいが、まあ、適性が無ければやらない方が懸命だろう。外付けはそういった意味では安心だ。だって身体に入れないんだもんよ。でも外付けタイプは、その都度使い切りの道具タイプがほとんどだから、使い切ったら補給する必要がある。なくなっちまったらアウトってやつだな。気をつけろ!


 次は、《マナ》についていってみようか。マナは、術者自身のエネルギーでなく、自分以外の世界がもつ生命エネルギーってかんじかな。通常、魔術師は、結界をオドによって展開し、魔術行使には、オドとマナを併用するって言う形をとる。オドだけで何でもやろうとしたら、すぐにエネルギー切れになっちまうからな。オドよりエネルギー量がおおいマナを利用するのは当然の選択だろうな。オドをイグニッションとしてマナをガソリンとしたエンジンをまわして魔術という車を動かすってわけだ。

 しかしな、マナっていうのは術者が袂を分かつた世界に属するもんだよな。んで、術者の展開する結界っていうのは、世界と自分を隔離するシェルターのようなもんだよな。こういった関係なのにどうやってマナを使うんだ?結界で隔てられているのに?まあ、何にでも抜け道はあるってわけさ。そいつは結界の構築技術、構造に関することさ。

 

 結界を展開するに際し、結界内の空間の所々に《皹》が出来るように構築する。この《皹》は、結界外の世界のエネルギー《マナ》を取り込むための呼吸孔のようなものだ。こういった結界の構築をすることで、適宜、結界内に視認できる《皹》からマナを供給し魔術の行使を行うことが可能になる。

 

 だが、注意しろよ。さっきも言ったが、世界の修正力っていうのはマジハンパネエからな!皹の数、大きさが大規模になるほど死神に眼を付けられやすくなるぞ!気をつけろ!………余談だが、結界内は、空間の所々に皹があるってことで、かなり異様な空間だ。結界の種類によっちゃあ、正確な距離感が掴みにくかったり、時間の流れが微妙にずれたりと、《時空間の軋み》ってのが強くでるものもある。こういった手合いとはなるべく手合わせしない方がいい。魔術の中でも、時空に関する魔術は、高度でしかも実体魔術に属するものがほとんどだ。説明してなかったが、概念魔術よりは実体魔術の方が強力な分、世界の修正力に補足されやすい。ってことは、そういった類いの魔術は、危険だってことだ。リスクを避けたいなら避けるのが懸命だ。

 まあ、逆に言えば、高度な魔術を行使できる奴も、世界の修正力を恐れて、そう簡単には行使できないってわけだから、君がレベル一の時に、ラスボス級の奴がでてきても、そうあっさりとはやられないってわれさ。………まあ、レベル一なら十中八九死亡だけどな!


 あとはなんだな、まあ、豆知識程度にすっか!羅列だ!羅列。


 結界内で行使した魔術は結界内でしか効力を発揮できない。


 二人以上の人間が結界を展開しているとき、魔術の効力は、相手と自分の結界が一部でも接していれば効力を発揮できる。


 結界を展開するものの力量差によって、自分の結界内だけで魔術を行使するより、威力が低下する。増加することは無い。減衰値は力量差。


 実体魔術は結界外でも機能するがリスクが高い。


 実体魔術は万物生成の魔術ともいえる。また、概念魔術は、既存のものの存在強度を変化させるものともいえる。


 概念魔術は、例えば、実体魔術による攻撃に対し、その攻撃の存在強度を弱めることによって威力を低下させることできる。


 実体魔術は、概念魔術に夜攻撃を防御することは難しい。なぜなら、概念魔術の発動プロセスは、対象の精神を浸食し、その結果、現実に事象を起こすものであるから。概念魔術を防御するには概念魔術にて、精神防御をすることで防ぐしかない。

 

 概念魔術は、結界内においてもっとも威力を発揮するものであるから、結界を解くと威力が低下する。また、概念魔術によって受けた傷も結界が解かれると、その存在強度が低下するので、通常の傷よりも遥かに早く治癒する。よって、相手を殺そうと思うなら、相手が死ぬまで結界を解かないことが必要となる。


 実体魔術によってつけられた傷は、結界の展開、解除を問わず、物理的な通常の傷として残る。特別治癒が早い、遅いといったことは無い。


 概念魔術によって損傷した無機物(建物等)は結界を解除すると、ほぼ、原型に戻る。これは、世界の修正力による作用である。


 実体魔術によって損傷した無機物(建物等)は、結界を解除しても、そのままである。


 マナは、オドに変換することが出来るが、逆は出来ない。


 結界、概念魔術による魔術の減衰率はマナに対し大きく影響する。オドに対しては、減衰率は低くなるので、相手の防御能力に左右されにくい魔術発動が期待できるが、オドの量は概して少ないため、マナより威力が低くなる傾向がある。また、マナをオドに変換する効率が悪くなるので、少ない潜在オド量を適宜マナ=オド変換をすることで補うタイプの魔術師にとっては、スタミナの消費が激しくなり、不利である。


 魔道具、マジックアイテムというものがあり、これによって、自分に足りない能力を付与したり、補ったりすることが出来る。ただし、高価。その能力については、楽器のエフェクターの種類に準している。


 ………まあ、こんな所だろうな。とりあえずのところはだ。んじゃ、今日の講義はここまで!再見!アミーゴ!




   Lesson 5 What were you able to? When you became the MAGI.   



 あ、さて、魔術師になる準備は整った。お次は、魔術師になって何が出来るか?と、何をするか?だ。まあ、ぶっちゃけると、コロシアイだね☆

 通常のホモ・サピエンス以上の力を持つことになるのだから、まあ、当然

っちゃあ当然ダネ☆人間は、生まれてこのかた、他人より強い力を持てばまずやらかすのは戦争だからネー。まあ、魔術師もご多分に漏れずってことだね。一部では、魔術の行使そのものが、他者を排斥しようとする行使だから、自然に、闘争心なるものが増幅される結果だと言われている………。まあ、とはいっても、魔術師に必要なのは、真理を探究する冷徹な精神だ。激情に任せた怒りに満ちた闘争心は抑えなければならない。むしろ、それが出来なければかなーりマズイのよ。魔術師は。つーことで、魔術師はよけいな、場当たり的な闘いはしない。寧ろ、自己防衛ぐらいだろう。魔術師が闘う時は。しかし、魔術師は、自発的に闘うこともある。こいつは激情に流されない、両者共に了解済みの《決闘》だ。冷徹な、真理探究の精神によりその正当性が担保される在り方………そいつは、プライドの問題。削り合うのは、肉体ではなく、精神だ。


 《決闘》………戦闘ではないところがミソだ。殺人と人殺しの違いにちかい。殺人は、条件付きの行為だ。条件に適合する範囲内ならば、人を殺しても罪に問われない。しかし、人殺しはいかなる場合でも罪だ。一方的な敵対行為は、紳士的ではない。………人の生き死にに紳士的って言うのは変かもしれないが、まあ、この辺は、理性と本能のせめぎ合いの中で生じる自己欺瞞的な状況説明のための論理ってことだな。何言ってるか解んなくなってきたぜ!沸いてきたな!ヘッドが。

 決闘は、互いに、了承済みのルールの下で行うものだ。こいつには利点がありありだ。まずひとつ、目標物の限定化だ。こいつは、周辺の関係者以外のものへの被害を大幅に低下させる効力がある。周辺被害はゼロってわけにはいかないがな………それでも被害の縮小率は決闘の形式をとるのととらないのではダンチだ。其の二、条件次第では、死ななくて済む。あらかじめ、勝利条件、敗北条件を決めておけば、そいつが満たされた時点で決闘はおしまいって訳だ。まあ、を取られない分、それ相応の対価を支払うことになるだろうがな………まあ、せめぎあう結界同士、すなわち、世界同士の衝突は、それなりの共通ルールがないと、エライことになるわな………そう、世界の修正力、《死神サン》のご登場だ。

 

 決闘の最大利点は、世界の修正力に感知されにくくなるってことだ。結界、すなわち、自己の世界を構築する魔術師にとって、世界は厄介だ。自分の体内に新たに発生した自分以外の世界を排斥しようという力は、至極自然で、当然だが、そんなのにいちいちつきあっていたらこっちの身体が持たない。っていうか、存在そのものが消されるし。よっぽど、自身の結界、世界に対抗しうるだけの能力が具備されてないと、持ちゃしねえ。ほとんどの魔術師は、世界に対抗できないんだから、お互いに、ルールを決めて、決闘とうい形式をとるのは当然の帰結だよな。お互い、利害が一致してる訳だな。

 ………そうじゃなかったらわざわざ正々堂々とした戦いなんてしねえよな。戦いに勝つ秘訣は不意打ちだからな………ってもやっぱり不意打ちする奴もいる。まあ、ご多分に漏れず、そういった奴には死神の鎌が振り下ろされるってネ! 危険なことはヤメようネ!


っと、魔術師が結界の中で、何が出来るかと、なにをするかだったな。何が出来るかっていえば、今までさんざ言ってきたように、因果関係の恣意的制御によって、事象の因果律を操れるってことだな。こいつは、結界の中で行使することによって、より安全かつ、強力にその高価を発揮する。例えば、だ、結界内での自己にかかる重力の制御なんてとてつもない芸当も出来る。かといって、空を飛ぶって言うのはめちゃムズイ。飛躍し過ぎなんだよな。重力制御によって宙に浮くってことは、絶えまざる引力と斥力の制御であって、非常に困難だ。だから、通常は、地平の制御、すなわち、自己にかかる重力の向きを偏向させることで、軽妙な動作を可能にする。えっ?何を言っているのか解らないだって?んーまあ、例えばだ、逆さまになって天井を歩けるとか、壁に垂直になって歩けるとかだな。こういった空間内の重力制御は、自己鍛錬のひとつだ。魔術師が何をするか?というのにも触れることだが、真理に到達するためには、世界の事象をすべからく理解し、かつ、分解し、かつ、再構成する必要がある。重力制御は、そのためのひとつの鍛錬と考えていいだろう。まあ、極めれば、空もとべるかもな。



   Lesson 6 Who’s care about what you do? Etc about W-craft   



 セイッ!気合いを入れろ!魂を加速させろ!アクセラレイト!スピリット!

 最近、真面目に講義していたから、なんだか元気が有り余ってしょうがないっつーの!結界の構築とか何とか言ってさ、面倒だよ!魔術の行使は。そもそも、結界を展開しなけりゃ魔術を安全に行使できないってどうよ?真理に到達するために、毎回毎回展開するのはつかれるっつーの、面倒いし。てな人のために、ちゃんと用意してある話があるのよお客さん。いいかい、ここだけの秘密だよ?(嘘)


 そいじゃあ、ここで、《魔法円》のお話だ。魔法円っていうのは、結界の一種というかまあ、ぶっちゃけ、魔法円の一種なんだよ結界は。個人の展開する魔術行使の場、魔法円を限定的に結界と呼ぶだけで、魔法円と結界は同義であると言える。しかし、あえて、結界と魔法円と区別して分けるとき、両者の違いを表す意味内容を持つ言葉となる。………面倒だな。ってことで、実践、いってみよ!


 結界を個人に起因するものとすれば、魔法円は、個人以外のものに起因するものだ。あり大抵にいえば、土地とか、建物それ自体が展開する結界を魔法円という。こういったものは、個人が展開する結界と違い、常に、結界としての能力を発揮している。まあ、とは言っても全力って訳ではないがな。まあ、個人が、結界を展開していない時を電源オフの状態とすれば、魔法円は、電源オフにはならず、スリープモード、待機電力維持状態になっているってことだ。つまり、ちょっとした刺激を加えれば、場が励起されて、結界としての権能を示すってわけだ。こうした、魔法円は、いわば、霊脈とか、竜脈とかいわれるようなものが集中している土地なんかが該当する。こうした場は、マンホールひとつ分といった非常に小さいものから、町ひとつ飲み込むくらいの大規模なものまで沢山ある。こうした魔法円の該当箇所に魔術師個人の制御下におくことで、魔法円として機能することになる。魔法円は、その個人以外のものつまり、世界に近しいものに起因するものであるから、こうした場では、世界の修正力の影響を受けにくい。常時発動していても、自己鍛錬に使うくらいならば、まったくと言っていいほど死神に感知されない。そのため、有力な魔術師は、そういった場所を根城にして、拠を構えていたりする。土地の管理者という立場は、その管理する魔法円内での魔術行使において、その他の魔術師の魔術行使より、優位に立てる。まあ、自分ちの庭先では、家主のほうが勝手知ったる我が家よろしく、有利って理屈だな。

 

 そんな訳で、魔法円の構築は、魔術師が自身を世界や、その他の魔術師等から身を守るにはうってつけのものであるともいえる。強力な要塞を管理するようなものだ。だから、かつては、この魔法円の構築可能な場を取り合って、壮絶な戦いが行われたこともある。今も、小規模ならば、たびたびあるんじゃあ無かろうか?どうだろう。あっ、そうそう、四畳半くらいの魔法円なら、個人が、様々な工夫、例えば、マジックアイテム、祭壇とかだな、を使ったりすることで作り出すことが出来る。たいていの魔術師は、自身の根城に、こういった魔法円を構築した部屋を持っており、普段の修行はそこで行うといったことをしている。まあ、土地の管理と比べて他の魔術師に対する優位性は発揮できないだろうが、(小規模すぎるわな)修行には十分かと。

 まあ、魔法円に関してはこんなもんかね。でかい魔法円を掌握することはでけえアドバンテージってことだな。





   Lesson 7 Have you ever felt signs and wonders?   



 さあてと、そろそろ終盤だ。ここはひとつ、細かいことでも講釈してやっかな。まずは、そうだな………《奇跡》について話すかな。

 《奇跡》っていうのは、世界を起源とする魔術的事象の発現だ。魔術的と言ったのは、まあ、色々と複雑で面倒なんだが………まあ、その辺はおいといて、要は、世界の修正力に影響されない、寧ろ、世界に歓迎されているともいえる魔術の発現が奇跡と呼ばれる。こいつの発生要因は、いろいろと面倒なんだが、まあ、古くから存在して、発生当初は世界の修正力に駆逐されうる存在だった魔術行使が、いつの間にか時を経ることで、世界の一部として認識されるようになったものをいう。宗教をその魔術行使の母体とするものにはこういった手合いが多い。いわゆる《典礼魔術》ってヤツだな。対して通常の魔術師が個人で結界を展開して、それぞれの方法で魔術行使をするってヤツを、《混沌魔術》っていうんだな。形式、つまり典礼を重要視した魔術行使は制約が多い。何しろ、世界の修正力に対しての親和性が高い分、魔術発動のプロセスおよびリザルトが制限されるのは道理だな。対して、個人が自由に構築した魔術は、自由だが世界の修正力の危機に常にさらされることになるわな。まあ、典礼魔術と、混沌魔術の折衷点を探して、自分なりのバランスを見つけるがよろし。


 次は、《澱》についてでも話そうか。澱っていうのは、いわば、人の抑圧された悪意が、エネルギー場となって存在するようになったものをいう。こいつは、ものによっては、結構厄介だ。たとえば、地縛霊とかよくいうだろ

?そういった類いのものは、形をなして、現実に形をなし、人々に危害を加えることもある。まあたいていの澱は、ご存知の世界の修正力とやらに修正され、消滅するんだが、厄介なのが、魔法円の中に発生してしまった澱だ。

 こいつは、魔法円の説明の時に言ったと思うが、魔法円の中での魔術行使は世界の修正を受けにくいてことと関係がありありだ。まあ、いわなくても解ると思うが、澱のエネルギーと、魔術の使用するエネルギーっていうのは同じだ。っつーか、エネルギーが同じっていうと、ほんとは語弊があるんだが………ほんとは、世界に対する存在の定義ってことになるんだが解りにくいのであえてそういうことにしておきな。こういうヤツは、人の悪意を喰らい、どんどん増長する。まあ、魔法円で隠しきれないぐらいでかくなれば世界の修正力に引っかかるんだが、こいつは実は、魔術師にとって都合が悪い。

 世界の修正力が発動すると、その周辺は、世界の監視力とでもいうべきものが強くなり、魔術行使がしにくい場になってしまう。まあ、ブラックリストに載るみたいなもんだ。こいつを避けたいのは誰だ?そう、でかい土地の魔法円を管理している魔術師だ。こういった奴らは、その、魔法円の掌握率を高めることで、他の魔術師よりもアドバンテージを大きくとることが出来ている。しかし、澱が大きくなって、世界の修正力が働いちまったら、相対的に、その土地の魔法円の掌握率が落ちてしまう。ケースによっては、魔術師個人の魔術行使の性能も落ちることもある。そんな訳で、こういった魔法円を管理している魔術師は、定期的に澱を駆逐している。自分の庭を掃除しているようなものだね。まあ、面倒な仕事だが、それに応じた力も得られている訳だから、仕方ないっちゃあ仕方ないね。………余談だが、こういった広大な土地規模の魔法円を管理している魔術師は、いわゆる名門といわれる一族が多い。歴史も古い場合が多いから、プライドが高く、しかも澱の駆逐は、間接的には、魔術師以外の一般人の被害を未然に防ぐっつーことで、変に正義感が強い奴が多い。中には、司法機関等、政府機関や、民間の機関と協力してこの仕事にあたっている奴も結構多い。魔術の秘匿性という観点では疑問がのこるが、まあ、こういった形も古くからあるものだし、まあ、いいんでないの?


 他に、《レンズ》ってものもある。こいつは、物を表すこともあるし、人を表すこともある。レンズという名が示すように、こいつは、あるものの収束もしくは拡散をするものだ。何を収束、拡散するかだって?曽於いつはもちろん魔術だな。まあ、魔術については、自身の魔術を強める目的で収束レンズ効果のあるものを使ったり、相手の魔術を弱体化する目的で、拡散レンズ効果のあるものを使ったりもする。しかし、こいつのタチが悪いのは、澱にも、影響を与えるってことだ。レンズによって拡散するぶんにはいいが、収束されると厄介だ。魔法円の管理者は、レンズの存在にも気をつけなければならないってわけだな。


 最後に。こいつは気をつけなければならねえっていうコトを教えてやる。そいつは《蝕》と呼ばれる現象だ。まあ、こいつには、自然発生的なものもあるんだが、そいつはまず、おいといて、一番危険なのが、魔術行使の暴走によって発生するものだ。

 魔術の暴走っていったが、実際には、魔術師が、蝕を起こすってのはほとんどない。ってか稀だ。問題なのは、魔術行使の素養があるにもかかわらず、その自身の能力を制御する方法を知らず、暴走させてしまう奴だ。こういった奴らは、《異能》と呼ばれる。まあ、魔術師も、一般人からすれば、十分異能と呼ばれてもいいくらいの危険因子だが、ここでいう異能は、魔術師から見て異能ってことだ。

 魔術師っていうのは、才能も必要だが、ぶっちゃけ、めちゃくちゃ努力すれば誰にでもなれる。まあ、色々な道具を使って、自分の能力を底上げ、補助したりする等して、だが。まあ、魔術師としての性能はピンからキリまであるが、魔術が人の業である以上は、訓練の賜物としての業だ。この辺は、武術みたいなものだ。どえらい強くなるには才能が必要だが、努力次第で、そこそこその武術の成果を出すことが出来る。しかし、《異能》っていうのは違う。天賦の才が彼らには備わっている、それも、因果律の制御、すなわち、魔術行使に関する才能だ。


 《異能》は、生まれつき、因果律をねじ曲げるほどの能力を持っている。こうした奴らのほとんどは、古くから自己の能力を知っており、○○一族みたいな感じで、存在している。古い魔術師の一族には、その先祖に異能者がいることもある。こういった奴らは、結界の構築方法をアプリオリに知っているため、蝕を起こす可能性は低い。世界の修正力に対する態度もきっちり持っているしな。

 また、魔術師でない異能でも、その起源を世界に持つもの、たとえば、星造兵器として生み出されたものの末裔なんかは、たとえ、その能力が暴走したとしても、世界を起源に持っている以上、世界の修正力の対象になり得ない。何回も説明しているように、世界の修正力は、自分に対抗する新しい世界=魔術師の結界をつぶそうとする、ある種生物におけるホメオスタシスのようなものだからな。自己に害がない以上、安心だ。

 が、そうでない奴ら、異能の中でも世界を起源としないもので、結界の構築方法を知らないまま、能力だけが発現してしまっている奴は、非常に危険だ。従って、人為的な要因の《蝕》は、こういった異能の奴らが原因で起こるものが多い。


 ここで、結界について補足しておこう。結界を展開するひとつの理由は、効力を発揮できる場を限定することによって、術式の精度、威力等を安定させるためだ。範囲を指定しないと、魔術行使のエネルギーは、際限なく広がる空間に、散逸してしまうからだ。もうひとつの理由が重要で、魔術行使、すなわち因果律の構築=既存の世界に代わる新世界の創造を世界から隠すことで、世界の修正力から逃れるための方法としての理由だ。

 この、第二の理由における結界の世界に対する効果を《死角効果》という。文字どおり、世界の死角に入り込むことで、安全に魔術を行使するって理屈だ。この、結界は、高度な魔術を発現するには必須のものだが、比較的低級な魔術、たとえば、暗示、催眠術、思考操作、肉体、運動能力、感覚の強化などといったものは、結界を行使しなくとも、世界の修正力の対象とならない。まあ、こういう魔術は、普段使われていないホモサピエンスの能力を、一〇〇パーセント使えるようにしただけだし、少しくらいホモサピエンスの能力を超える芸当をやらかしても、経験則からして、世界の修正力をくらうことは無い。

 しかし、だ。《異能》の奴らは、通常の魔術師ならば、修行を重ねることによって行使が可能になる高度な魔術を、なんの修行も必要なく最初から使用可能な状態にある。そのため、一度、能力が暴走すると、その、暴走する魔術エネルギーは、未熟な魔術師が結界の構築に失敗したケースとは段違いの規模の危険度になる。そこで、発生しちまうのが人為的な《蝕》だ。

 《蝕》は、人為的なものにせよ、自然発生的なものにせよ、その影響下にあるものの存在の境界を曖昧にする。アイマイミーマインじゃないぞ、曖昧だ。………スマン。ふざけたくなる年頃なのよ。勘弁。プリーズ。ヘイ、ってことで続ける。存在の境界が曖昧になるっていうのは、つまるところ、彼我を分け隔てるものがなくなっていって、次第にひとつになってしまうってことだ。まあ、乱暴にいえば、料理に使うミキサーが蝕で、その中に入れられる食材が、存在、つまりは人だったり、単なるものだったり、だ。ミキサーの中に入っているものは、ミキサーが作動したら、全部混ぜこぜになってひとつのものになってしまう。そういった状態だ。まあ、完全にひとつになるには時間がかかるわな。ってことで、ヤバいと感じたら、ミキサーの外へ脱出すればまあ、なんとか助かるんだが……蝕によっては、その発生から消滅までの時間が極端に短いものもあるから、そういったケースの場合は腹をくくれ!あきらめろ!

 ………と、ここまで蝕の危険性について語った訳だが、蝕に、存在の再構成装置としての機能を期待する奴らもいる。通常、忌避すべき蝕を、自らの手のうちに入れ、有効活用しようって動きだ。こういった考えの下、人為的に、蝕を発生させ、かつ、制御下においたものを《匣》っていう。次はこの《匣》についてだ。結構重要だ。ドントミスイット!チェキラウト!





   Lesson8  Is artificial matrix able to dream about electrical seep?   



 あ、さて、《匣》についての講義の始まりだ。わざわざ、ひとつのコマをこの話題に消費しているのには意味がある。いや、ない。嘘。ある。何故に?それは秘密。………ってわけにもいかないので仕方なしに説明してやると、《匣》っていうのは、《蝕》を魔術師が行使する《結界》と同じものと看做し、取り扱うことで、その機能………つまり、存在の再構成装置としての機能を結界行使のごとく、ロジカルに管理、制御しようとする試みだからだ。《結界》を行使する魔術師としては、《蝕》の結界的解釈ともいえる《匣》についての話は、有用かどうかは知らないが、実に興味深い話だとは思わんか?んん?コラッ!そこっ、興味の無いふりしてんじゃねえ!ハッ倒すぞおめえ。いいから聞け、感じろ!うらあっっっっっ!


 ヘイ、《匣》を結界化された《蝕》だと看做すなら、《蝕》の状態は、ケ結界になる可能性のある、構築途中の結界、いうなれば《無記名状態の結界》っていう風に考えることが出来る。この場合、通常の魔術師の結界は、《記名された結界》ってことになるわな。で、だ、それでは《匣》の状態はどういった結界と考えることが出来るだろうか?………無記名、つまり誰のものでもない結界でもなく、個人の独占している結界でもなく、その中間地点………そう、誰のものでもあって誰のものでもない結界、いわば《複数記名状態の結界》と考えることが出来る。つまりは、誰もが使える共有空間としての機能を持つということだ。ここから、ひとつの可能性が引き出せる。それは、つまり、


《自ら結界を展開できないものでも、匣の展開された場においては、通常、結界の死角効果の範囲内でしか行使できない高度な魔術を、世界の修正力の干渉なしに行使できる》


 ってことだ。なんだか長ったらしいが、ようは、《匣》っていうのは、誰でも使える結界ってことだ。通常、魔術師の結界は、その機能を使用できるのはその結界の管理者に限られる。この、管理者は、結界の構築者ならびに使用者とイコールだ。しかし、《匣》においては、管理者と、構築者と、使用者は別々のものとして存在できる。通常、魔術師にしか出来ないのは、管理者と構築者の役割であるから、その部分を魔術師に担わせて、使用者を限定しない結界にすることが出来れば、魔術師じゃなくても、その結界内においては、魔術師のごとく振る舞えるってことだ。

 こいつが意味するのは、魔術師の素養が無い者でも、魔術師に対抗できる力を行使することが出来るってことだ。つまるところ、一般人に悪さする困ったちゃん魔術師を、一般人がギュッと懲らしめるために考えだされた対魔術師迎撃装置の核になるのが《匣》ってわけだ。ってことで、《匣》の研究ってのは、魔術師発でなく、一般の学者さん連中発だ。その学者さん連中の研究に乗っかる形で魔術師が手を貸し、《匣》を制御する基本システムとしての管理者、使用者に限定された結界を提供し、《匣》の完成にこぎ着けたってことだ。

 しかしながら、この《匣》にも問題が無い訳ではない。っていうか、アリアリだ。

 その一、安定性について。

 大有り。そもそも《蝕》の完全な制御は難しい。安定した《匣》の生成は

難しい。


 その二、核となる結界について。

 魔術師が構築している以上、魔術師の協力なくしては構築できない。また、管理者権限によって、《匣》の機能停止が出来るので、《匣》の核となる結界を作った魔術師には、《匣》の機能を発揮させることが出来ない。


 その三、結界維持エネルギーの供給について。

 通常の、オドを使用する魔術師の結界と違って、マナを使用するので、その使用する場によっては、効力の持続する時間がまちまちである。


 その四、使用者について。

 魔術師の素養が無くても魔術が使える場とはいっても、やはり、それなりに、知識、及び、訓練、才能が必要とされるため、言葉通り、誰でも使えるという訳ではない。


 と、いったところか。ああ、そうそう、説明し忘れていたが、《匣》には二種類あって、ひとつは、結界を構築する道具としての《匣》、もうひとつは、その影響下にある存在を別の物に生まれ変わらせる人工子宮としての《匣》がある。今までの説明は、前者についてだ。っていうか、後者の《匣》は、はっきり言って、理論は提唱されているが実現していない技術だ。一種の、魔女の大鍋、錬金術師の巨大フラスコのようなもので、様々なものを自由自在に生成するといった機能を期待されている。まあ、仮に完成したとしても、その生成物が世界の修正力に干渉されない確証もないし、不安の残る技術だ。まあ、この後者の《匣》の機能っていうのは、実際に、《蝕》の発生に立ち会って、生還した者に稀に起こっていることを人工的に行おうとする試みだから、まるっきり無理って訳では無いが………おおむね《蝕》に遭遇して生還した奴は、《異能》になることがほとんどだ。そして、たいていの《異能》は、その授かった力の制御方法を知ることも無く、暴走の憂き目に遭い、第二の《蝕》の発生要因になるといったケースがほとんどだ。親切な魔術師に、拾われて、力の制御を教えてもらわなければ生きちゃいられねえだろうな………まあ、そういった物好きな魔術師連中もいるし、仮に、《蝕》の影響で《異能》になっちまっても、能力が発現しないまま人生を終える奴もいるから、そう悲観することも無いかな。まあ、いうても《蝕》の影響を受けたものを野放しにする魔術師もいないだろうから、結局は、魔術師に遭遇し、そいつがいい奴だったらラッキー。力のコントロールを教えてもらえる。しかし、そいつが悪い魔術師だったら残念。多分あなたは無理矢理、力を引き出されて世界もしくは魔術師に殺される。まあ、運次第だ。その辺は。

 ………まあ、ゆうても、いい魔術師とやらに拾われたとしても、たぶん、牛馬のごとくこき使われると思うが。コッチの世界に来ていいことなんかありゃしないんだから実際。巻き込まれた君。残念!と肩を叩いてやるしか出来ないね。………そういった世界にわざわざ飛び込もうとする君のような魔術師志願者っていうのは………相当、アタマイッチャッテルンダネ!

   

                             


                         了




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