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絶対音感
今朝から父さんは死んだり転移したりを繰り返している。
「ううん、失敗したなあ。これじゃ父さん、母さんだよ」
手首をずばー。ばたり。しーん。
「ただいま! これでどうだ?」
「……犬が父親って、何かのCMじゃないんだから」
「そうか……面白いと思ったんだけどなあ」
道路にどーん。キキーッ。ぐちゃー。
「よしきた! どうよこれ!?」
「……うち、お風呂無いけど……」
「ああっ! 銭湯って刺青禁止か!?」
ぱーん。ワレこらどこの鉄砲玉じゃー。ぱぱーん。
朝からこの調子だから家の中は死体だらけだし、近所の交通網は四方八方麻痺状態。今さっきので血で血を洗う抗争もスタート。
そもそも、何でこんなことになっているのか、起きたら既にこうだったから全くもってわからない。
「ううん、なかなか難しいものだなあ」
父さんはランドセルを肩から降ろすと、たてぶえを引き抜いてピーと鳴らした。
僕は呆れながらもそれはラの音だなあなんて思った。




