ひきだしから宇宙まで
……ええと、何から説明すれば良いものやら。
机の引き出しが開いたんです。勝手に。
で、「ロボット付き便利ポケットが!?」と期待したら出て来たのは女の子。ポケット無し。
さらに出て来るなり「ワレワレは宇宙人だ!」と叫んだ。
引き出しから宇宙人なんて聞いたこと無いし……どう見てもひとりですが?
「何を言う! この大軍を……って誰もついて来てない!?」
帰れ。
「ちょっ! マッピングは最後尾の役目だったから私は道を知らんのだ!」
迷子なら警察行け。
「地球人程度に我が星までの道がわかるわけなかろうがっ!」
兎に角出ていけ。
頭を掴んでぐいぐい引き出しに押しつける。
「いたたっ! お前はひどいな? これってある意味外交問題だぞ?」
外交に関してどうこう言いたきゃ、ここじゃなく首相の机から出直せ。
「そう言われてもな……」
「何騒いでるの?」
ガチャリとドアが開き、お盆にコップをふたつ載せた彼女が顔を出した。
「……誰?」
ええと……。
気まずい空気に一瞬時が止まるが、彼女は何事もなかったかのようにテーブルへ置いた。
「まあいいわ。その子は後。まずあなたの話から続けましょ」
そして彼女は僕に向かってこう言ったのだ。
「机から出て来たあなたは何者?」