see you,lover.
ドアを開けてすぐに閉めた。
あー……何つうか、忘れものだ、うん。今週のジャンプまだ立ち読みしてねぇよ。とりあえずあそこのコンビニでいいか? 駅前の本屋までは……行った方がいいか。
しかし疲れてんのかなあ、膝がガクガクしやがる。
そういや最近歩くことが多かったからなあ。今も何だかんだで本屋の方に歩いてるし。
しかし暑い。
いや寒い。
汗かいてそれが身体を冷やしてるようだな。
風邪? ひいてる場合じゃねえよ……。
やがて駅前のさほど大きくはない本屋に入り、ジャンプを手に取った。
……が、内容が全く頭に入って来ない。
何でだ? やっぱ風邪か?
いや、違うけどさ。
……1時間程立ち読みして時間を費やした俺は、さらにゆっくり時間をかけて帰路につき、そして部屋のドアを開けた。
「……」
見間違いじゃなかったか……。
そこには恋人が氷の表情で座っていた。
ふたりとも。
俺はもう一度静かにドアを閉めようとする。
「「ちょっとっ!」」
2人の恋人が厳しい声をハモらせる。
膝の震えは最高潮。
冷たい汗がだらだら流れ始める。
see you,lover.
修羅場が俺を待っていた。