6月24日
「幼い頃、大きくなったら宇宙飛行士になりたいと思ってたの」
風に遊ぶ髪を押さえながら彼女がそう言って笑うのを、僕はずっと見ていたいと思った。
6月24日は全世界的にUFOの日。
部屋に来るなり彼女はそう言って僕を屋上まで連れ出した。
「少しくらい手伝ったらどうだよ」
「あら? こんなにか弱い女の子に?」
「……わかったよ」
やがて、作業を終えた僕は空気入れを放り出して彼女の隣りに座る。
「疲れた……」
「お疲れ様」
しばらくふたりで風を受ける。雲が少し速い。
「私ね、宇宙人を探しに行きたかったんだ。
だって、宇宙人って地球より進んだ技術を持ってるんでしょ?」
そう言った彼女を、僕は笑えなかった。
「そろそろ、始めようか」
それくらいしか言えなかった。
パシュッ!
ペットボトルロケットが真っ直ぐ空へ向かって行く。
「バイバイ」
きっとそこには、彼女の幼い頃の夢が乗っていたんだと思う。
その後、ロケットを手にした看護婦が僕らを病室へと連れ戻しに来るまで、ずっと空を見ていた。
6月24日は全世界的にUFOの日。
ふたりでずっと、空を見ていた。
6月24日にアップしようとして忘れていたという……。




