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さいごのまほう
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とても愛されている魔法使いがいました。
ですが、その魔法使いは病に冒され、もう永くはありませんでした。
魔法使いが亡くなればたくさんの人が悲しみます。
悲しい顔が嫌いな魔法使いは、だから最後の魔法を唱えました。
数日後、魔法使いは静かに息をひきとりましたが、その時にはもう、誰も魔法使いのことを覚えている人はいませんでした。
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とても愛されている魔法使いがいました。
ですが、その魔法使いは病に冒され、もう永くはありませんでした。
魔法使いが亡くなればたくさんの人が悲しみます。
悲しい顔が嫌いな魔法使いは、だから最後の魔法を唱えました。
翌日、魔法使いは苦しみながら息をひきとりましたが、人々は「憎き魔法使いが死んだ」と喜び、街はお祭のような大騒ぎになりました。
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「ねえ、どちらのほうがやさしいまほうつかいなの?」