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そして真実に気づく

「でーでーぽっぽー、でーぽっぽー♪ きみはポッケに鳩いれて~、手品させろと泣き叫ぶ~♪」

「……泣き叫ぶのか。必死だな」


 公園のベンチに座り、戯れに鳩へパン屑を投げていたら、隣りで彼女がいきなり歌い出した。

 誰なのかは知らんが。


「でーでーぽっぽー、でーぽっぽー♪」

「さっきとメロディが違うぞ?」

「シルクハットは持ってない~♪」

「ああ、だからポケットに鳩を……」

「タネも仕掛けもありません~♪」

「いや、ポケット目茶苦茶膨らんでるだろ?」


 そもそも、たくさんベンチがある中で何故ここに座るのかを問い質してやりたいのだが、歌に夢中で話を聞いてくれやしない。

 ツッコミもことごとく無視されている。


「でーでーぽっぽー、でーぽっぽー♪」

「またメロディが違うな」

「『僕だって好きで手品をやりたいわけじゃないんだ』」

「語りだと? しかも手品やらせろと泣き叫んでいたくせに!」


 あなどれない奴だ。末恐ろしいよ。


 ……十数分後、涙ながらに27番まで歌い終えた彼女は号泣する俺にようやく気付き、そのままどちらともなく手を取り合うと……。


「「でーでーぽっぽー♪」」


 わかった。お前音痴だろ。

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