途方に暮れる
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目が覚めたら異世界だったりしたらいいのにと思いながら布団に入り、目が覚めたら本当に異世界だったりした朝。
俺は溜め息混じりに辺りを見回すとひとり呟いた。
「……どうするよ?」
見渡す限り何も無い、大砂漠のド真ん中に布団が敷かれているこの状態。
山すら見えない。
というか生き物の気配がしない。
いくら願ったとは言え、流石にこれは想定外にも程があるんじゃなかろうか。
とりあえずどこかに向かおうにも、その足がかりになるようなヒントも無い状態で途方に暮れるしかなかった。
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自分がアンデッドになるとは思わなかった。
……ゾンビ?
いや、どちらかといえばゾンビの方が正しいような気もするが、ゾンビだと思考停止で「ア゛ー」とか言いながら徘徊するだけのようなイメージがあるからな。俺としてはアンデッド、だ。
……まあ、どっちだっていいか。
とにかく、死んだはずの俺は何があったか甦ってしまった。
なってみてわかったが、この身体はなかなか便利で、まず暑さ寒さを感じない。おかげでこの夏の炎天下でも汗ひとつかかず快適だったりする。
次に腹が減らない。人間を襲って喰わなきゃいけないのかと思いきや、食欲自体が湧かないのだ。
正直な話、生前よりもメリットが多い身体に不満なんてあるわけも無く、あるとすれば――
「この街もか……」
――誰も居ない、ということだ。
いや、消えたわけではない。死体としてなら腐る程居る。実際腐っている。
ただ、生きた人間も、俺のようなアンデッドも居ないのだ。
生物の滅んだ世界で、ただ独りアンデッドとして甦ってしまった俺は、アンデッドであるが故に死ぬことも出来ず、彷徨い途方に暮れている。




