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これはどうやら魔法の話

 昨日、彼女に落とされた。


 屋上から、トンッとひと突き。あとは真っ逆様だ。

 物凄い勢いで空が遠くなり、同時に背中へ地面からの圧迫感がどんどん迫って来る。

 もうダメだと思った瞬間、下へ向かう力が弱まった。かと思うとふわり。

 地面に激突する直前で身体が浮いたんだ。

 あとは空へとふわふわふらり。2階を過ぎて3階越えて……。

 屋上よりも高い場所まで舞い上がった時に、そうだ彼女を見下ろしてやろう、見下ろして彼女に笑い掛けてやろうと思った。

 それで目を屋上へ向けてみたが、彼女の姿が何処にも見当らない。

 あれ? っと思った次の瞬間、人の気配。見ると目の前に彼女の顔が……って近い! 近いって!

 ……で、そこから先はほとんど覚えていない。それが昨日のことだ。

 今思うに、彼女は多分魔法使いで、あれはきっと彼女が魔法で俺をからかったんじゃないかって思ってる。


 さて今日、登校途中で彼女にまた会った。

 彼女も俺に気付いたらしく、真っ直ぐこっちへ歩いて来る。

 そして、手の届く距離まで近付くと、彼女は俺にこう言ったんだ。

「今日から恋人同士だなんて変な気分ね」

 まあ、何てことはない。告白してOKされて、俺が舞い上がったってだけの話さ。

 ただ引っ掛かってることがあって……。

「何で昨日、一回突き落とすような答え方したんだ?」

「ん? 一回落としてから上げた方が、喜びの度合いが大きいでしょ? ベタボレちゃうでしょ?」

 ……思ったね、彼女はやっぱり魔法使いだ。いや魔女だ。

 ……いや、ただの悪女か?

 だが、「何て奴だ!」と言いながら、それでも俺は心の中でほくそ笑んでた。

 だって昨日、舞い上がった俺と同じ高さまで彼女も“舞い上がってた”ってことはさ……。

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