sheep or sleep
「羊が一匹、羊が二匹、羊が三食昼寝付き」
「眠れるかあっ!」
夜。彼女が「羊を数えてあげる」なんて言うものだから、その言葉に甘えさせて貰ったのだけれど……一気に旅館で気になるわ。
「仕方ないなあ……羊が一匹、羊が二匹、羊が三年頑張った」
「何を!?」
「羊が一匹、羊が二匹、羊が三…匹? え? 四匹? 五匹六匹七八九十……た、助けて!」
「何で群れに襲われてんだよ!」
明日早いんだからもう寝かせてくれよ。
「気が短いとハゲるよ?」
五月蠅いわ。誰が原因だ。
「もう。じゃあもう一度ね。羊が一匹、羊が二ぴき、羊が三ぴき……」
「地味に気になるわ!」
「ひつ……じ?」
「羊かどうか自信無しかよ!」
「秘密の一匹」
「何の動物だ!?」
「秘密の二匹」
「続けるのかよ!」
「秘密のサンダーボルト師匠」
「誰だ!?」
「執事が一匹」
「ここでベタなボケ!?」
……結局、まともに羊を数えない彼女にツッコミ続けて一時間。
「許して下さい。眠らせて下さい」と懇願する俺に、彼女は仕方ないなあなどとぼやくように言ったあと、急に挙動不審に陥り、しかも面白いくらいの早さで頬を赤くしながらこう言った。
「じゃ、じゃあ『今夜は寝かさない』って言われてみたい乙女心の話とか、する?」
可愛いと思った俺は翌日睡眠不足でヤバかったとだけ言っておく。




