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 その亡霊は未来から来たと言った。


 私は彼を信じてはいないので、無視して建物を眺め続けた。

 彼は何かを伝えようとしていたが、言葉はその身体のように半透明で、私の身体をすり抜けていく。

 翌朝、亡霊はやはり自分は未来から来たのだと言い、無駄だと言った。

 私は彼を信じてはいないので、無視して建物を眺め続けた。

 それからも亡霊は未来から来たのだと主張し続けたが、ついぞ私は信用しなかった。

 何より彼の言葉はほとんど消えかけていたので、私に響くわけがなかった。

 それらはかさこそとしていて、部屋の隅でまるで埃か何かのように積もっている。

 翌日、それらを掃除機で吸い取っているとまたもや亡霊があらわれ、もう未来に帰らねばならないと告げた。

 私は今から建物に向かわねばならなかったので、ぞんざいにさよならと応えた。

「さよなら私」

 そう言って私と同じ顔をした亡霊は消え始め、私はその様子を見届けずに部屋を出た。


 数時間後、建物で私が産声をあげた。

 私は新しい私の元へ行き、私は未来から来たと伝えた。

 その言葉は半透明で、新しい私は私を信じずただ泣き続けていた。

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