疾走する裸エプロン
身ぐるみをはがされてしまったので、全裸にて街中を疾走中。
右手には「これで助けでも呼べば?」とお情けで返してもらったケータイがあるが、残念なことに電話をかけて助けを待つ暇もなく通行人(うら若き女性)に見つかってしまった。
というわけで、現在全裸で全力疾走しているわけなのである。
かれこれ数十分。
ここまで走り続けたことで気づいた事実がある。
そこで確認の為、おもむろにケータイを開くと、アドレス帳から適当に選んで電話をかけた。
「もしもし?」
「これはランナーズ・ハイか?」
「は?」
「それとも新たなる性癖の目覚めか?」
「……ええと、」
「うるさい黙れ」
発言を許した覚えの無い友人との会話を一方的に終了させる。
そしてパ●ドラで暇つぶしすら出来ないような旧式に用など無い、とケータイを豪快に投げつけた。
「ストライク!」
日本球界も震撼の時速168kmを叩き出した瞬間である。
無論、全裸で。
勝利投手となった私はヒーローインタビューで「とりあえず着るものが欲しい」と訴え、ようやく手に入れたのが今着ているエプロンである。
故に変態などではない。
おわかり、いただけたであろうか。警官のおふた方よ。