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ローリンダウンタランティーナー

 高級将棋盤の足はクチナシの実を模しているらしい。

 クチナシは“口無し”。

「対戦者以外の者が余計な口を挟んではいけない」という意味を持つのだそうだ。

 知らん。

 どうでもいい。

 どうでもいいから誰か口を挟んでくれ。

 負けそうだ。

「にいちゃんの将棋はあかんな。死に急ぎやわ」

 対戦相手の爺さんが言う。

 そんなこと言われても知らん。

 というかお前は誰だ?

 いや、それより俺は何故将棋をしてんだ?

 余りにわけがわからな過ぎて、思わず笑いが込み上げてきた。

「はは…」

 その瞬間、爺さんが盤から顔を上げて俺を見る。目が見開かれていた。

「……儂の負けや」

「は?」

「勝ちが見えたから笑ったんやろ?いや、みなまで言いな。わかっとる。儂は昔から負けてばかりやったから」

 そう言うと爺さんは将棋盤の側面――引き出しだと!? ――から一丁の銃を取り出した。

「こいつを儂の代わりにあんたの勝ち人生に乗っけたってくれ」

 何故か香車の駒と一緒にそれを差し出す爺さんの目は真剣だった。

 ……わかったよ。

 俺は爺さんの思いと共にそれらを受け取る。

 こいつを手に、香車の如く走ってやるよ。

 で……何処へ?

 見ると爺さんは俺を……見ていない。

 視線の先には……銀行?

 あ、頷いた。

 ……クソ爺。


 そして俺は走り出したのだ。

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