表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/132

願った日々と未来

 私ね、山とか川とか、自然の多い田舎で生まれたの。

 見えないでしょ?

 木に登ったり、走って、転んで、泣いて。

 岩から川に飛び込んだりして。

 小学校では授業中、友達に小さな手紙を回して先生に見つかって怒られたりして。

 初恋もその頃で、小学生の頃って何故かスポーツも勉強も出来る子っていたでしょ? そんな子を好きになって、でも何も言えないままで……。


 中学生になるとその子も含めて同級生の男子が子供っぽく見えて、先輩を好きになったりするの。

 でも、憧れみたいなものなんだよね、それって。

 でね、その頃親友だって思える子に出会うの。

 凄く綺麗なのにどっか抜けてて、よく忘れ物して私が貸すの。でもとても聞き上手で、よく相談に乗ってもらったりして。


 高校も2人同じところに行くの。

 でも同じ人を好きになっちゃってちょっと険悪になって、色々あってまた仲直りして……。


 そこで彼女は大きく息を吸い、そして続けた。


「そんなふうに……生きたかったな」


 それは弱くかすれた声だったけれど、彼女の、精一杯の、悲痛な叫びだったのだと思う。

 生まれてから12年、彼女は最期まで外を知らずに生きた。


 過ごせなかった日々と過ごしたかった未来が、住人の居なくなった病室に響いている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ