王手モノポリー
「王手!」
「……何故モノポリーでそうなるのか、ちょっと説明してもらえないか?」
漂流生活も3日目。
とうとう麗しき人魚の幻覚が見えたかと思ったら本物だった挙げ句、何故かモノポリーで勝ったら陸へ帰してやるとか何だとかで今現在。
連れて来られたこの海底宮殿でモノポリーをやらされているワケなのだが……何故ここで飛車?
「えーと……王手?」
「うん。だから何故モノポリーに飛車を打つ?」
「え? だってモノポリーでしょ?」
「そう、モノポリーだ」
「だから……え? あ、じゃあ……王手!」
ぱち。
「……桂馬も違う」
「え? モノポリーでしょ?」
「モノポリーだ」
「じゃあこれで合ってるじゃない」
「いや、おかしいだろ?」
「ええ? これがモノポリーでしょ?」
「その駒は将棋のものだ」
「将棋?」
「将棋」
「……将棋って、何?」
「……え?」
説明している内にわかったことは「モノポリー」という名前の、地上のそれとは全く違うゲームが海中にはあるということだった。
で、結局……。
「じゃんけんほいっ! 勝った!」
「え? その手の形、何?」
……いつになったら帰れるのかがわからない。