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不幸の手紙
毎日毎日、不幸の手紙が届きます。
「この手紙に良い返事をしなければ貴方は不幸になります」
『返事』とあることからわかる通り、差出人はわかっています。
その手紙には二枚目があって、そこにはこう書かれています。
「好きです。付き合って下さい」
だから私はこう返事します。
「無理です。わかれ妹」
妹が交際を申し込み、兄がそれを断る。毎日これを繰り返しています。
「好きです。付き合って下さい」
「無理です。わかれ妹」
毎日ひとりずつ私の周りから女性が消えていきます。それは妹のせいです。
「好きです。付き合って下さい」
「無理です。わかれ妹」
毎日毎日、不幸の手紙が届きます。
私は今日も断りの手紙をポストへ投函すると、先日出会った女性へ電話を掛けます。
今日も分からず屋の妹のせいで、私が不幸になるため女性がひとり消えることになるのでしょう。
「好きです。付き合って下さい」
「無理です。わかれ妹」
いつか、妹以外の女性が居なくなるその日まで。
「好きです。付き合って下さい」
「無理です。殺しに行きます」
「嬉しい。お待ちしています」




