桃太郎だった気がします
昔々、ある傭兵部隊にお爺さんとお婆さんが居ました。
ある日、お婆さんがいつものように川へ洗濯に行くと、上流からどんぶらこどんぶらこと桃が流れて来たではありませんか。
それはさておき、その頃お爺さんは山で屍に。作戦遂行中のことでした。
老体でやって行けるほど傭兵は甘くないのです。
孫ほど歳の離れた同僚のグレアムがお爺さんの認識票を外しました。
「爺さん、何でその歳で傭兵なんかに……」
グレアムはそう言ってほんの少しだけ泣くと、後は兵士の顔になって作戦に戻りました。
その頃犬は自分の尻尾を追いかけてぐるぐるしてました。バターになるまで後少しです。
さてお婆さんはと言うと、お爺さんに起こったことを知らないまま、不審な桃を見つめ続けていました。
ちなみにその頃、猿はボスでした。
数秒間の膠着状態。そして一瞬。お婆さんの眉がぴくりと動いたかと思うと、懐から取り出した大口径の銃で桃へ6発、鉛弾をお見舞いしました。
銃声に驚いて雉が飛び立ちます。
桃に開いた弾痕から流れ出る血を見て「やはりゲリラか……」と呟くお婆さん。
その後、お婆さんは幾多の戦場を渡り歩き、「ピーチ」と仲間内でからかわれていた若い敵兵に射殺されるまで、「戦場の鬼」と呼ばれ恐れられたのだそうです。