表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/132

月の話

 死ぬ事ばかり考えながら部屋を右往左往していると、机の引き出しから風船が出てきた。

 黄色い風船だったので「月」と呼び愛でていたところ、どうやら想像妊娠したらしく膨らみ始めてしまった。

 いつ破裂するかとびくびくしていたが、一向に割れる気配が無い。気づけば部屋を埋め尽くさんばかりの大きさになってしまった。

 仕方なく部屋を這い出て、死ぬことばかり考えながら街をふらふらとしていると、ふいに賑やかな場所へ出てしまった。


 嗚呼、今日は夏祭りか……。


 遠い昔を思い出しそうになり、必死に死ぬことばかりを考える。

 思い出してしまえば、本当に死にたくなってしまうことだろう。

 聞こえてくる声に耳を塞ぎ、逃げるようにしてその場を後にした。

 家路に向かう私を月が追いかけてくる。

 月は私への罰なのだ。

 私は死ぬことばかり考えている。

 もう、死ぬことしか考えることが出来ない。

 きっと、部屋には月が満ちていることだろう。

 私は月に埋もれて死ぬのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ